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次に町並み。私がいた広島と違って、ここの広島はたくさんの家やビルが建ち並んでいる、少し騒々しいけれど、裕福な場所。
店にはいろんなお野菜が売ってあるし、お肉もお米も欲しいと思えばすぐ手に入る。
夜も空襲警報に怯える事なく、ゆっくり眠る事が出来るし……。
でも……ここにはお母さんがいない。お父さんもいない……。
いくら食べ物があっても、いくら住むとこがあっても、いくら怯えず眠る事が出来てもお母さんとお父さんがいない世界なんて……。
今、私がこうしている間にも、もしかしたら二人は危険な目にあってるかもしれない。
敵軍に襲われて、怪我をしてるかも! お腹だって空かしてるかもしれない!
だから私は、どうにかして元の場所に戻らなきゃ……。自分がいた場所へ。
──でもどうやって?
問題はそこなのよねぇ。さぁ帰ろうか、はいそーですね、で帰れたら今こんなに悩んでなんかいないし、大体ここ自体どこなのかもわからないし……。
まぁ、家宝は寝て待てってゆうし、急がば回れとも言うし。
要は焦っても仕方がないから、腰を落ち着けて考えようって事で。
「はいはい、考え終わり!!」
首を左右に振り、頭にたまったモヤモヤを振り払う。
私は帰る。その気持ちと意思があれば、いつか帰れる! はず!
「よぉぉし!がっんばっるぞぉお!!」
えいえいおーっ! と拳を振り上げる私。
すると同時に私の耳に届いた誰かが吹き出す声。
「へ?」
振り向くと、そこには先程学校に行ったはずの海都の姿。
「何……やってんの?」
「別に。ただの忘れ物」
足早に入って来ると、流しに置いてあった包みをとる。
それは今朝、不味い下手くそと、散々けなされた私が作ったお弁当。
朝御飯を作り出して、秋都さんと海都のお弁当作りも私の役目になった。秋都さんは受け取ってくれるんだけど、海都は絶対持って行こうとしなかった。
だからお昼になると、お庭で花を観賞しながら私が食べてたんだけど……。
「それ、私が作ったお弁当なんだけど?」
「昼飯買う金がねぇんだよ。向こう三ヶ月、小遣い抜きの上にバイトもクビになっちまったし」
バイトと言うのは短期間の仕事の事。海都がしてたのは、ホストって言う奴。どんなのかは知らないけど、お金がいっぱい稼げる仕事なんだって。




