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「はいはい二人とも、朝っぱらから喧嘩はおよしなさい。ほこりがたつでしょう?」
今にも殴り合いを始めてしまいそうな私達の間に、高く、やわらかい質の声が割って入る。
私が目覚めた時に一番先に会った人。
一つ訂正。最初に20歳くらいの人って言ったけど、実は二児の母で、御歳42歳。その名も咲湖お母さん。
すごく若くて、美人で聡明で優しい秋都さんと海都のお母さん。二人の美形な顔はたぶんお母さん譲りなんだと思う。
「ほら秋都、海都、もう時間よ? 早く行かないと遅刻してしまうわ。早くおゆきなさい」
壁側に置いている鞄を二人に渡し、背中をポンッと叩き笑顔で見送る。私も秋都さんには笑顔で手を振り、海都にはあっかんべーで見送った。
二人を見送り、私は片付けを始める。あらかた皿を洗い終え、食後のお茶を入れていると流しに咲お母さんが現れる。
「あ、今お茶いれてますから」
「ええ、ありがとう」
「いいえぇ」
「ごめんなさい、海都ったら貴方に失礼な事ばかり……」
「えっ? あ、いえ、そんな、気にしないで下さい!」
悪いのは、あ! の! バカイトなんだから!!
「そうそう神楽ちゃん、あとで私のお部屋に来て下さるかしら?」
「え?」
「見せたい物があるの。だから……」
見せたい物……かぁ。何だろ?
「わかりました。じゃあお茶、お部屋にお持ちしますね」
「ええ、お願いします」
咲お母さんは優しく微笑むと、会釈をして流しから出て行った。
見せたい物って何だろ?
ここに来てから本当に驚く事ばかりが続いてる。まずはTV。あの黒い箱で、いろんな人達がお芝居をしているのを見てすっごく驚いたわ。最初はあの中に人が入ってるのだと思っていたんだけれど、秋都さんが言うには電波がどうのこうのって……難しい事は理解らなかったけれど、ラジオと同じものなんですって。
次は洗濯機と言うもの。衣服や汚れ物を、私の腰辺りの背丈の箱にいれて、洗剤を入れてボタンを押す。すると一定時間が経った後には、綺麗になったお洗濯物が出て来るっていう摩訶不思議な箱なの!
寒い時にお洗濯物をしなくていいのは本当に助かるわ。お水も井戸から汲み上げなくても勝手に出て来るしね。




