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「神楽さん、お醤油をとってくれるかの?」
「はい、当主」
目の前にあったお醤油をとると、私の右斜めに座った老人に手渡す。
あ、紹介してた方がいいかな? 今私がお醤油を渡した人、名前は雪都おじいちゃん。
秋都さんと海都のお祖父ちゃんであり舞いの師匠。そして、神宮家の元当主。御歳70と言う元気なおじいちゃん。
『まだまだ若いもんには負けんぞ!』
が、口癖。明るくて、面白いおじいちゃんなんだけど……。
「今日もでりぃしゃすじゃ! わしがもう少し若けりゃのぉ……」
そう言いつつ、私の手を握る。
元当主、別名・変態当主(命名・海都)。
いい人なんだけど、少しスケベ。お尻撫ぜは日常茶飯事。その他お風呂は覗くし、着替えも覗くし……。本当にしょうもない人。
でも舞いの事にかけては、当主の位に等しい程の実力の持ち主。
「クソジジイ! セクハラしてねぇで、こっちにも醤油よこせよ!」
ベチャッ
当主の顔を目掛け、台拭きが飛んで来た。投げ付けたのはもちろん海都。
「こら海都!」
その台拭きを秋都さんが受け取り、海都に投げ返すが、海都は寸前で避けた。
台拭きは、その後ろでおかわりの御飯をよそっていた私の顔にクリーンヒット!
「あっ……」
「あ~あ…俺知~らね」
「ごっ、ごめん、神楽ちゃん!」
拍子に落とした茶碗を拾いながら、おろおろと声を掛けて来る秋都さん。
「いいえぇ、気にしないで下さい。どっかのバカイトが避けたのが悪いんですから」
秋都さんにはニッコリと応対し、何事もなかったかの様に食事を続ける海都を睨み付けた。
「誰がバ海都だって? テメェこそ多重人格女じゃねぇか!」
「誰が!? いつ!?」
「秋都さ~ん。うぇ、きもっちわるっ」
両手を合わせ、秋都さんにすりよる。
今の私の声真似?
「失礼ね! なによその声!! 私そんな低い声じゃないもん!!」
「誰が声の事言ってんだよ!!」
「何よ!!」
「何だよ!?」
バチバチバチバチッと、顔をこれでもかと近付け、睨み合う私達。
秋都さんだったら赤面する私も、海都相手じゃ赤面するどころか一発殴りたくなる。同じ顔でも、性格はこうも違うものなのかしら?




