表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二度目の異世界転生、ざまぁを助太刀させていただきます?  作者: 西園寺百合子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/12

07 超豪華な舞踏会で踊ることになりまして

伯爵令嬢 メイヴィス・モルゲンシュテルン

伯爵令息 アルフレート・ローゼンタール

伯爵令嬢 エレオノーラ・ヴァランティーヌ

キラキラと豪華なシャンデリアが視界に入る。

天井高く吊り下がったそれは、無数のクリスタルを揺らしながら、舞踏会場全体に虹色の光を散らしていた。

足元の磨き上げられた大理石にまで光が反射し、まるで会場そのものが輝いているように見える。

そこを、まるでいつも歩いているような足取りで歩く。

いや、ドキドキですよ。


豪華な食事、スイーツ。

長テーブルには色とりどりの料理が並び、香ばしい肉料理や繊細な焼き菓子、宝石のように艶めく果物が整然と配置されている。

甘い香りと香辛料の匂いが混ざり合い、空腹でなくとも心を浮き立たせるほどだった。

いつもなら、真っ先に行く。

現世であったなら、花より団子だもの。

まずは料理をチェックしちゃうんだけど、今日は我慢。


そして、楽団。

舞台の一角では、統一された衣装の楽団員たちが弦を鳴らし、管楽器が華やかな旋律を重ねている。

ワルツのリズムが床を伝い、踊る者たちの足取りさえも自然と軽くさせていた。

それほど得意ではないダンスだけれど、アルフレートのために日々努力はしている。


そんな、無駄にお金がかかっている、皇太子主催の舞踏会。

社交は大切だけど、これほどお金をかける必要性を感じない。

私はシャンデリアを見上げながら、内心でそっとため息をついた。

前世の感覚が抜けないせいか、どうしても「費用対効果」という言葉が頭をよぎってしまう。


この豪華な豪華な舞踏会、前回はもっと後に開催されたはずなのに。

だから、少しだけ嫌な予感がしている。

思い過ごしであってほしいのだけれど。


ただ、無駄に豪華な舞踏会で踊るアルフレートはカッコよかった。

アルフレートは、少しも緊張した様子を見せず、自然体のままステップを踏んでいる。

視線の動かし方ひとつ取っても洗練されていて、きゅんきゅんする。

もう、スチルにして…

だめだと思っているのに、オタク心が揺さぶられた。


前回は、アルフレートとエレオノーラが華麗に踊る姿を見てトキメイテいたものだ。

そのときは観客の一人として、少し離れた場所から眺めていただけなのに、胸が高鳴って目を離せなかったのを思い出す。

もちろん、ゲームではその様子はスチルになっていたわけだけど。


今回は、私がアルフレートと踊らせてもらっている。

これはスチルになるのか。

いや、ならないよね。

ゲームの中では私はやっぱり、モブなんだもん。


そんなわけで、夢にも思わなかった状況に、手のひらが少し汗ばむのを感じる。

ひぃってなりながら、必死にリズムを合わせている。

周囲の視線が刺さるようで、落ち着かない気持ちもあった。

相変わらず下手くそな私を、アルフレートがわからないようにフォローしてくれて申し訳がない。

これでも、頑張ったんだけどね。


優しくて素敵な推しのため、これからも頑張ろうと心に誓う。

舞踏会は滞りなく終わりそうだ。

音楽も途切れることなく続き、誰もが笑顔でグラスを傾けている。

表面上は何事もなく、平和そのものの空気が流れていた。

主催者である皇太子が出てきて挨拶を始めた。

無事に終われと、それだけを祈る。


高い壇上に立ち、両手を広げるその姿は堂々としているが、どこか芝居がかったようにも見える。

こういう、わざとらしいとこがダメだと思うんだよね。

乙女ゲームの皇太子だから、そこそこカッコいいのに。

まあ、推しには勝てないけど…


皇太子は満足そうに会場全体を見渡している。

主催者が皇太子ということで、王と王妃も顔を出している。

王族席には厳かな空気が漂い、周囲の貴族たちも自然と背筋を伸ばしている。

普段よりも緊張感のある静けさが場を支配していた。

そんな中で、皇太子は、ただの自慢話を語っていた。

内容としては中身の薄いものばかりだが、本人は得意げに語り続けている。

誰か、止めてよ。

見ていてイタイ…


ただ、この時点ではみんな、皇太子はいい人だと思っているから「さすが皇太子」と褒めたたえている。

周囲の貴族たちは作り笑いを浮かべながら拍手を送り、空気を壊さないように同調していた。

民のことを考えて行動する、生まれながらの皇太子に、みんなが称賛の拍手を送っている。

ちょっと違和感があるけど、今はこれでいい。

チラッと、皇太子と視線が合ったような気がした。

彼は、私たちが周辺を嗅ぎまわっていることに気がついていたはず。


だから、あえて、微笑み返した。

できるかぎり敵意をみせないように、周りにあわせて拍手を送る。

御前会議までは、これ以上の妨害をされたくない。


すると「皇太子殿下、ちょっとよろしいでしょうか」とエレオノーラが声をあげた。

エレオノーラの澄んだ声が会場に響き、ざわりと空気が揺れる。

私は思わずアルフレートと顔を見合わせた。

嫌な感じがする。

これは、前回と同じ流れだ。

皇太子が得意げに話しているところで、エレオノーラが声を上げる。


でも、今回は違うはず。

違う流れにならなければいけないはず。

それなのに、どうして、前回と同じ場面がくりかえされているんだろう。


ドクドクと鳴る心臓の音が、警鐘を鳴らしているようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ