表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二度目の異世界転生、ざまぁを助太刀させていただきます?  作者: 西園寺百合子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
41/50

41 壊れるヒロインでして

皇太子妃候補 メイヴィス・モルゲンシュテルン

皇太子  アルフレート・フローリアス(ローゼンタール)

伯爵令嬢 エレオノーラ・ヴァランティーヌ

子爵令息 クロード・ヘイスティングス

伯爵令息 セドリック・リヴェンデル

伯爵令嬢 ルシエラ・リヴェンデル

廃皇太子 マルテロ

「あの子から…マルテロから、話が聞けました」

王妃がそう言って、小さく息を吐く。

静まり返った会場の中で、その吐息だけがやけに大きく聞こえる。


「あなたは、言葉巧みにマルテロにギャンブルをさせて、散財させて、貧民街へ追いやったのね。護衛をつけさせないために。そうして、命を奪うために」

王妃がそこまで、一気に言い切った。

厳しい眼差しがまっすぐエレオノーラへ向けられる。

王妃の背後に控える護衛たちも表情を引き締め、いつでもエレオノーラを捕らえられる準備ができているようにも見えた。


「クロード・ヘイスティングス子爵令息からも、私が話しを聞きました」

付け加えるように、王妃がそう言った。

その言葉が決定打だったのだろう。

会場のあちこちから小さなどよめきが起こる。

私たちがつきつけた証拠を、王妃が証明してくれたことになった。


それはつまり、言い逃れが難しいということだ。

「皇太子妃候補ならびに、王族を毒殺しようとしたその罪は実刑に値します」

王妃がそう言うと、エレオノーラの体がゆらりと揺れた。

まるで足元が崩れたかのようにふらつき、顔から血の気が引いていく。

先ほどまで怒りで紅潮していた頬は真っ白になっていた。

「どうして…こんな…」

そう呟いたような気がした。

か細い声だった。


けれど次の瞬間、その表情が歪む。

「どうして?私、銀恋ぎんこいのヒロインなのに!」

はっきりと、エレオノーラがそう叫んだ。

甲高い声が会場に響く。


銀恋。

そう、この世界は『白銀のティアラ〜紋章が繋ぐ恋の調べ〜』だ。

でも、それを知っているということは、やっぱりエレオノーラは転生者ということ。

ずっと疑ってはいた。

けれど、本人の口からはっきりと聞くと重みが違う。


「おかしいじゃない!私、皇太子妃になるはずなのに。どうしてだか、廃太子になるマルテロの婚約者になってたのよ?」

エレオノーラがそう叫んだ。

両手を振り回しながら訴えるその姿は、優雅な令嬢とは程遠い。

髪も乱れ、ドレスの裾も踏みそうになっている。

いや、たぶん踏んでる。

裾もぐしゃぐしゃだ。


たしかに、エレオノーラがマルテロの婚約者だったと講師からも聞いている。

周囲の令嬢たちは困惑した表情を浮かべていた。

銀恋だのヒロインだの、意味が分からないのだろう。

「だから、私が!この、私が!ストーリー通りになるように、マルテロを廃太子になるようにしてあげたんじゃない!」

そう自慢げに語った。


けれど、その言葉の内容に会場の空気は凍りついていく。

廃太子になるようにしてあげた。

つまり、それは意図的だったということだ。

「私がせっかく、ストーリー通りになるようにお膳立てしたのに、このモブが!このモブが出てきて、おかしくなったのよっ!」


そう言って、エレオノーラが私の肩を押す。

不意を突かれて一歩よろめく。

ちょいちょい、暴力的なんだよね、このエレオノーラ。

周囲から悲鳴にも似た声が上がった。

「やめろっ」

アルフレートが慌てて私とエレオノーラの間に入ってくれた。


素早く私の前へ立ち、その腕で庇うように距離を取らせる。

その背中がとても頼もしく見えた。

「あなたもよ?どうして、アルフレートが、ヒロインである私を拒絶するの?おかしいじゃないっ!」

エレオノーラがそう言って地団駄を踏む。

高価な靴が床を打つ音が何度も響く。

それは、あなたが未来でアルフレートを殺すからだよ、とは言えない。

言ったところで誰も理解できないだろう。


「せっかく私が、ストーリー通りにしてあげようとしてるのに、全部、全部、全部!全部無駄にして!!」

エレオノーラが机をひっくり返した。

ガシャーン、と派手な音が響く。

ティーカップが床に落ちて砕け、紅茶が飛び散る。

焼き菓子が散乱し、白いクロスがぐしゃぐしゃになった。

令嬢たちが悲鳴を上げながら後ずさる。


「ストーリー…というのはわかりませんが。それがマルテロの命を狙った理由とは…」

王妃がそう言って表情を曇らせた。

理解できないというより、理解したくないという顔だった。

目の前の少女が、自分の息子を弄んだ理由があまりにも身勝手だったからだろう。


「は?何言ってるの。マルテロの命を狙ったのはね、私じゃなくて、王様よっ!」

エレオノーラの言葉に、一瞬、めまいがした。

耳鳴りがした気がする。

突然、なぜ、王様が出てきたんだろう。

王妃も固まっているようだ。


「気がつかれてないと思った?マルテロが自分の子じゃないって、王様は気づいてたのよ」

エレオノーラはそう言って笑った。

口元を吊り上げ、勝ち誇るように。

今度は王妃が、顔を青くしている。

その場に立ったまま微動だにしない。


絶対に知られてはいけない秘密を。

まさかの、逆ざまぁ展開になってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ