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二度目の異世界転生、ざまぁを助太刀させていただきます?  作者: 西園寺百合子


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36/50

36 断罪を計画しまして

皇太子妃候補 メイヴィス・モルゲンシュテルン

皇太子  アルフレート・フローリアス(ローゼンタール)

伯爵令嬢 エレオノーラ・ヴァランティーヌ

子爵令息 クロード・ヘイスティングス

伯爵令息 セドリック・リヴェンデル

伯爵令嬢 ルシエラ・リヴェンデル

廃皇太子 マルテロ

疲れ切った様子の王妃にお礼を言って、部屋をあとにした。

扉が静かに閉まる直前、私は一度だけ振り返る。

薄暗い室内では、王妃がマルテロのベッドの傍らに座ったまま、その手を握り続けていた。

暗くなってきた部屋には蝋燭が灯され、その光が王妃の横顔を照らす。

ゆらゆらと揺れる影が、その疲労の色をより濃く浮かび上がらせていた。


マルテロは、あの一言を言った後、全く話さなくなってしまった。

まるで自分の口から漏れてしまった言葉を後悔しているかのように、固く口を閉ざしてしまった。

何度呼びかけても視線を伏せるだけで、それ以上は何も語ろうとしなかった。


傷ついたマルテロには申し訳ないけど。

エレオノーラがマルテロに毒を飲ませたことは確かになった。

本当は、マルテロを陥れたのもエレオノーラだとわかったらよかったのだけれど。

そこまでの証言を引き出せなかったことに、小さな歯がゆさは残る。

でも、あれ以上は強く聞けなかったんだもん。


廊下を歩きながら、私はゆっくりと息を吐いた。

もし、これから何度か部屋に通って話ができたとしても。

マルテロがどこまで私たちに話してくれるかわからない。


それに、事態はもう少し深刻になってきているような気がする。

窓の外では日が傾き始め、城の庭園を長い影が覆っていた。

その景色を眺めながら、胸の奥の不安が大きくなる。


エレオノーラがマルテロに毒を飲ませたということは。

なりふり構わず、邪魔者を殺し始めたということかもしれない。

王と王妃も危険だし、アルフレートもまた、危険にさらされていることになる。

考えれば考えるほど、背筋が冷えていく。


じっくりとエレオノーラの罪を暴きたかったけど、あまり時間は残されていない気がした。

けれど相手がすでに王族を狙ってきている以上、悠長なことは言っていられない。


「エレオノーラを、断罪いたしましょう」

私は足を止め、アルフレートへ向き直ってそう告げた。

アルフレートも賛成してくれた。

その表情から、私と同じ危機感を抱いていることが伝わってくる。


ただ、どうやってエレオノーラを呼び出したものか。

王城に呼び出して、素直に応じるとも思えない。

私たちは歩きながら作戦を考える。

磨き上げられた廊下の床に、二人分の足音だけが規則正しく響いていた。


やっぱり、ざまぁの王道で、舞踏会でも開くべきか。

豪華な会場に人を集め、そこで全てを暴く。

大勢の人が証人になってくれるし、わかりやすく断罪できる。

物語ならよくある展開だ。


いやいや。

私はすぐに首を横へ振った。

エレオノーラは転生者である可能性が高い。

だとしたら。


二時間サスペンスのラストといえば、崖。

ざまぁする場所といえば、人が集まる舞踏会や晩餐会。


そんな場所に、わざわざ現れるとは思えない。

私だったら避けるし、場合によっては逃げる。

いかにも怪しいイベントが開催されますと言われて、素直に飛び込む転生者なんていない。


どうしたら自然に、普通に、断罪する場所を作れるだろうか。

私は腕を組みながら考え込む。

頭をひねらせて、少し閃いたことがあった。

それは派手さのない案だった。

けれど、だからこそ警戒されにくいかもしれない。


私はその考えを整理しながら、アルフレートに話してみる。

「え……それ、上手くいくかな」

アルフレートは難色を示した。

眉を寄せ、半信半疑といった表情を浮かべる。


うん、わかる。

上手くいかない可能性は高いし、場合によっては、こちらの動きが筒抜けとなる悪手。

一歩間違えれば、エレオノーラに準備する時間を与えるだけになる。

でも、だからこそ、やってみる価値はあると思う。


相手が警戒している前提なら、あえて警戒されない形を取るべきだ。

「……現状で、他に案もないし。ダメもとでやってみるか」

アルフレートがため息をついた。

深く息を吐きながら肩を落とすその姿に、私も少しだけ苦笑する。


決して良策ではない。

私が提案したのは、お茶会を開くことだった。


貴族令嬢たちの間では珍しくもない、ごく普通の社交の場。

だからこそ、招待されても不自然さがない。


お茶会という名目で、私とエレオノーラを招待してもらうというのが私の案だった。

ルシエラ・リヴェンデル伯爵令嬢に。

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