↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二度目の異世界転生、ざまぁを助太刀させていただきます?  作者: 西園寺百合子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/50

33 マルテロを尋ねてみまして

皇太子妃候補 メイヴィス・モルゲンシュテルン

皇太子  アルフレート・フローリアス(ローゼンタール)

伯爵令嬢 エレオノーラ・ヴァランティーヌ

子爵令息 クロード・ヘイスティングス

伯爵令息 セドリック・リヴェンデル

伯爵令嬢 ルシエラ・リヴェンデル

廃皇太子 マルテロ

うん、皇太子妃候補が来るとこじゃないな。


『影』が突き留めてくれたマルテロの居場所は、貧困街だった。

報告を聞いた瞬間、私は思わず耳を疑った。

まさか、そんな場所にいるなんて。

おかしい。


たしかにマルテロは廃太子になったけど、身分をここまで落とされたわけじゃない。

王族の地位を失ったとはいえ、元々は王家の血を引く人物だ。

普通なら、それなりの生活を保障されるはずだった。

平民ではなく、男爵位くらいはもらえていたと思うけど。

どうして、貧民街にいるんだろう?

疑問ばかりが浮かんでくる。


さすがにここに、皇太子のアルフレートが来るわけにもいかず。

アルフレートの反対を押し切って1人できている。

護衛はつけてもらったけどね。


調べてくれた住所は、集合住宅。

現世でいう、アパートみたいなところだった。

建物は古く、壁にはところどころ傷や汚れが目立っている。

周囲には活気というより、生活の厳しさを感じさせる静けさが漂っていた。

こんなところに、本当にマルテロがいるんだろうか?


不安が胸の奥に広がる。

こわごわと中に入り、薄暗い廊下を抜けた。

足音が妙に響く。

周囲を見回すと、狭い廊下の両側にいくつもの扉が並んでいる。

どの扉の向こうにも誰かの生活があるはずなのに、不思議なくらい人の気配を感じなかった。

そうして、マルテロの部屋だというところの扉をノックしてみる。


呼び鈴的なものがないから、それしか在宅確認する方法がない。

指先で軽く扉を叩く。

返事が来ることを祈りながら、私はしばらく待った。

「あ…あの…いらっしゃいますか?」

名前を言っていいのかわからなくて、そう声を掛けてみた。

応答はない。


でも、なんか、部屋の中でゴソゴソと音はする。

誰かがいることは間違いない。

何かを動かしているような、苦しそうに動いているような、不自然な音。

胸がざわつく。


「あの…中に入ってもいいでしょうか?」

護衛の人に聞いてみた。

護衛は少し迷ったように扉を見つめた。

「扉は開けても構いませんが、中に入るのはちょっと…」

どういう基準かわからないが、それがこの国のルールらしい。


「あ、あけまーす」

そう言って、扉を開けてみた。

鍵がかかってたらアウトだなと思たけど、普通に開いた。

拍子抜けするほど簡単に開いた扉の向こうには、薄暗い室内が広がっていた。

そうして、目線を下げて、驚いた。


「ご、ご護衛さん!救護を!早く!!」

マルテロが倒れていた。

床に横たわり、苦しそうに体を動かしている。

泡を吹いて、ゴロゴロとのたうちまわっている。

まだ生きてる。


何が起きているのか。

どうしてこんな状態なのか。

考えるより先に、体が動いた。

水道らしきものをひねって、コップに水を入れる。

そうして、マルテロの口をこじ開けて、口に水を含ませた。


「吐き出して…吐き出してくださいっ」

そう言うと、弱弱しく水が口から垂れてきた。

反応がある。

まだ間に合うかもしれない。


慌てて、解毒剤を出した。

毒殺されそうになってから、お守り代わりに何個か解毒剤を持ち歩いている。

まさか、こんな形で使うことになるとは思わなかったけど。

悩んで、そのうちの1つを飲ませてみた。


本当は胃洗浄とかしたほうがいいんだろうけど、私にはその知識がない。

現代ならもっと適切な処置ができたかもしれない。

でも、今の私にはこの薬が効いてくれることを祈るしかなかった。


そんなことをしていると、護衛が連れてきた救護班の人がマルテロを運んでいく。

慌ただしく人が動き、部屋の中には緊迫した空気が流れていた。

「王城へ…そこで救護を」

私がそう言うと「いったん、近くの医療所で応急処置をします」と言われた。

一刻を争う状況なら、近い場所で処置をするほうがいい。

たしかに、それが正解だと思ってお任せする。


「大丈夫ですか…」

へたへたとその場に座り込んだ私に、護衛が声をかけてくれた。

力が抜けたように床へ座り込み、自分の手を見る。

さっきまで、その手でマルテロを助けようとしていたのだ。

「はい…こういう場面は、初めてで…」

そう伝えると「ご立派でした」と褒めてもらえた。


立派だったかどうかはわからないけど。

必死だっただけだ。

助けなきゃと思っただけ。


でも、どうしてマルテロが…

わからないことばかりだ。


また、毒。

今度はマルテロが狙われるなんて。

繋がっているのか、それとも別の何かがあるのか。

答えを知るためにも、まずはマルテロが目を覚ましてくれることを願うしかなかった。


応急処置をすると言われた医療所に行ってみた。

何人かの医師が、慌ただしく病室を出たり入ったりしている。

「ああ、皇太子妃候補様。よく、あの毒の解毒剤をお持ちでしたね」

医師にそう言われて、やはりあの毒だったかと思った。


私も飲まされた、あの毒。

だとしたら、もう、思い当たる犯人は1人しかいない。

「解毒剤の調合方法はクロード・ヘイスティングス子爵令息がご存知ですから、聞いていただけますか?」

医師にそう伝えたところで、アルフレートが医療所に走り込んできた。

「メイヴィス!メイヴィス!!…大丈夫なの?君は、大丈夫?」

そう言って息を切らしている。


誰が見ても、急いできてくれたことはわかる。

心配してくれる推しに、きゅんとしてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。