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二度目の異世界転生、ざまぁを助太刀させていただきます?  作者: 西園寺百合子


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03 復讐の作戦会議をしてしまいまして

伯爵令嬢 メイヴィス・モルゲンシュテルン

伯爵令息 アルフレート・ローゼンタール

伯爵令嬢 エレオノーラ・ヴァランティーヌ

「私、アルフレート様に送っていただくから。あなたはひとりでお帰りなさい」

そう言って、エレオノーラはアルフレートを追いかけていった。

ドレスの裾が翻り、人混みの中へ消えていく。

「……」

私、どうして前回、あの2人の恋路を応援したんだろう。

ひとりで帰るのはいいとして、アルフレートは本当にエレオノーラと会いたくない雰囲気だった。

胸騒ぎがして、気づけば私も後を追っていた。

馬車を乗り入れて乗降する馬車寄せで、アルフレートとエレオノーラがもめているようだ。


「そんなこと言わないで、屋敷まで送ってください」

「君は、君の馬車で帰ればいいだろ」

そんな声が聞こえてきた。

どうやら、送って送りたくないでもめているみたいだ。


「本当にどうしたの、アルフレート。どうして突然、そんなに冷たくなったの?」

エレオノーラが涙を浮かべながらアルフレートに抱きついた。

アルフレートがそれを振り払う。

「どうして?どうしてって…」

アルフレートが「よくそんなこと言えるな」という顔をしている。

気持ちはわかるけど、それを今は伝えるタイミングじゃない。


「ア、アルフレート様っ!よかったら、送っていただけますか?」

アルフレートが何か言う前に、声を掛けた。

一瞬、空気が止まる。

アルフレートがほっとした顔で私を見て、エレオノーラは私を睨みつけた。

エレオノーラって、こういう人なのか。

と、アルフレートが私の腕を掴む。

「エレオノーラ嬢。申し訳ないけど、俺は、彼女のことが好きになってしまったんだ。だからもう、君とは一緒にいたくない」

突然、そう宣言された。

空気が一瞬で凍りつき、心臓が跳ねる。

驚いて、アルフレートを見る。


「な…モルゲンシュテルン家の令嬢のほうが、私よりいいってこと?」

エレオノーラの表情が一瞬崩れて、またウルウル顔に戻る。

「そんな…ひどいですわ、アルフレート様」

そう言ってアルフレートを見上げていた。


アルフレートの表情はよく見えない。

深い影がアルフレートを覆っているように見えた。

アルフレートは私を馬車に押し込んで、そのまま走らせる。

なんだかいつもと雰囲気が違うから、何も言えずに送ってもらうことにした。

「あの…アルフレート様?」

馬車の揺れに身を預けたまま、窓の外へと流れていく夜の街並みを横目に尋ねる。

エレオノーラにあんな態度をとって、よかったんだろうか。


「ごめん…君になんの相談もせず、あんなこと言っちゃって。エレオノーラの顔、本当に見たくなくて。…しばらくでいいから、俺と付き合ってるってことにしてもらえないだろうか?」

隣から申し訳なさそうにアルフレートに言われた。

肩をすくめ、視線を落としたままのその横顔は、いつもの堂々とした姿とは違って少しだけ弱弱しく見える。


推しの影となり日陰となるのがファンだから、それはいいんだけど。

「私はいいですが、アルフレート様はそれでいいんですか?その、私はモルゲンシュテルン家で…」

エレオノーラの言ったことを肯定するのは腹立たしいが、モルゲンシュテルン家は伯爵家の中でも下位だ。

窓に映る自分の顔を見ながら、現実的な釣り合いを考えてしまう。

ローゼンタール家の伯爵令息なら、もっといい家のご令嬢とお知り合いになれるだろう。


「俺の事情ばかりで申し訳ないけど。今の状況をなんの説明もなく理解してくれるのはメイヴィス嬢だけだし。それに、俺も、復讐、したいかもって思って」

アルフレートがそう言って拳を握った。

馬車の灯りに照らされた指先がわずかに震えている。

「エレオノーラが今すぐ俺を殺そうとしているわけじゃないって、頭ではわかってるんだけど。あんな風に、話しかけられると…どうしても怒りがおさえられないんだ」

アルフレートがそう言って顔を歪ませる。


なるほど。

ありがたいことに私は誰かに殺されたことはないから、推しが今どういう気持ちなのか理解するのは難しい。

でも、推しは、怒ってるんだ。

アルフレートがそう決めたなら、私がやることは1つ。

推しを全力サポートすることだ。


そんなわけで、翌日、アルフレートとあらためて会うことにした。

朝の光が差し込む時間帯、使用人たちには大切なお客様が見えるからとだけ伝えて準備を整える。

誰かに聞かれてはいけないことだし、モルゲンシュテルン家、つまり、私の家に来てもらうことにした。


私の部屋で、2人きり。

外界と切り離されたような密室で、推しと2人。

本来は、ラブラブでイチャイチャしちゃうシチュエーション。

ついつい、脳内がそちらに引っ張られそうになるけれど。

話し合うのは、復讐についてだ。


「エレオノーラ様は政権を握りたいために、子どもを利用する。その子どもはアルフレート様の子どもじゃない、ということですよね?」

ペン先でエレオノーラや皇太子といった人物を書き出した紙を指しながら確認する。

「そうだね。政権を握りたいのは、ヴァランティーヌ家のためだとして。エレオノーラ嬢は誰の子を妊娠していたんだろう?」

アルフレートがそう言って首を傾げた。

窓から差し込む光が髪に落ち、顔に影を作っている。

ふと、きのう、深い影がアルフレートを覆っている姿を思い出した。

何か、胸騒ぎのようなものを覚える。

でも今は、気持ちを切り替えて、紙に視線を落とした。

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