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二度目の異世界転生、ざまぁを助太刀させていただきます?  作者: 西園寺百合子


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28 エレオノーラと対談しまして

皇太子妃候補 メイヴィス・モルゲンシュテルン

皇太子  アルフレート・フローリアス(ローゼンタール)

伯爵令嬢 エレオノーラ・ヴァランティーヌ

子爵令息 クロード・ヘイスティングス

伯爵令息 セドリック・リヴェンデル

伯爵令嬢 ルシエラ・リヴェンデル

廃皇太子 マルテロ

アルフレートとのダンスにドキドキしていたら。

いつの間にか夢のような時間は終わっていた。


そして、アルフレートはどこかの伯爵につかまって話し込んでいる。

人垣の中で華やかな装飾が揺れ、周囲の談笑が薄く波のように響いている。

本当なら私も隣にいなくてはいけないんだろうけど。

私は私で、どこかの伯爵夫人につかまってしまった。

香水の強い匂いが近くで漂い、逃げ場のない距離感に少しだけ息が詰まる。


まだ皇太子妃教育の途中で、この伯爵夫人がいったい誰なのかわからない。

名前をうかがっても記憶と一致せず、作り笑顔で耐えているわけだが。

何人かの人と話しているのに、誰もこの人がどういう人なのか教えてくれない。

困っていると「皇太子妃候補様」と声を掛けられた。


振り返ると、ルシエラが立っていた。

控えめな姿勢のまま、視線だけがこちらに向いている。

自分から話しかけるほうじゃないのに、どうしたんだろうと体をルシエラに向けた。

その小さな変化に気づいたのか、伯爵夫人もわずかに後退する。

「では、私はこれで」

どこの誰だかわからない伯爵夫人は、まるでルシエラが話しかけるのを待っていたかのように去っていった。

絹の衣擦れの音を残して、群れの中へと溶けていく。

なんだったんだ、あの人。


「皇太子妃候補様、実は、お話があって」

ルシエラがモジモジしながらそう言った。

指先を絡めるようにして視線を落とし、いつもより緊張しているのが伝わる。

なにか大切な話があるのかもしれないと、その誘いにのることにした。

そうして、言われるまま、控え室に招かれる。


アルフレートに何も言ってこなかったけれど、大丈夫だろうか。

一瞬だけ胸に不安がよぎるが、すぐに頭を振る。

ルシエラが私に話しかけてくるなんて、何かあるに違いない。

でも、控え室に入ってその理由が分かった気がした。


「ご機嫌よう、皇太子妃候補様」

柔らかな声と同時に、室内の空気がわずかに張り詰める。

挨拶してきたのは、エレオノーラだった。

装飾の多い椅子に当然のように座り、視線だけがこちらを捉えている。

どうしてエレオノーラがリヴェンデル家の控え室にいるのか。


「ご機嫌よう。ルシエラ嬢とふたりでおしゃべりができると思っていたのに…」

部屋の隅で申し訳なさそうな顔をしている、ルシエラを見た。

肩をすぼめ、逃げ場を探すように視線を泳がせている。

おそらく、セドリックから依頼されたんだろう。

「でも、あなたもお変わりないようで何よりですわ」

あえて、挑発に乗ってみた。


今は私のほうが身分は上。

その事実を意識して、背筋を正す。

私に会いたいのであれば、エレオノーラが私のところに来るべきだ。

それを、私が来るように仕向けたということは、喧嘩を売られていると思っていい。


「あ…あの、私、少し、用事が…ありまして…」

ルシエラが消え入りそうな声でそう言った。

指先が震え、視線も足元に落ちている。

不敬…

皇太子妃候補を呼びつけておいて、用事があると席を外すなんて。

ルシエラがそれを知らないわけがない。

おそらくこれも、セドリックの指示なんだろう。


「私のことは気になさらないで。今度、ゆっくりお話ししましょうね」

そうルシエラに微笑むと、ルシエラは深々と頭を下げて部屋から出ていった。

可哀想に、とても怯えているようだった。

後でフォローができればいいんだけど…


「で、何か私に御用ですか?」

喧嘩を売られているので、横柄な態度になってしまう。

あえて椅子に座らず、まっすぐ立ったまま視線を合わせる。

「あなたが、どういうつもりなのか知りたくて」

エレオノーラはそう言って、私より横柄な態度で座った。

扇を軽く揺らし、まるで主導権が自分にあるかのような態度だ。

とうとう、あなたと呼ばれてしまった。

私のほうが、身分、上ですけど?


「エレオノーラ様…こんなこと言わなくてもご存知だと思いますが。今は、私のほうが身分は上ですのよ?」

売られた喧嘩に怯む私ではない。

むしろ一歩も引くつもりはない。

大好きだったヒロインだけど、推しを殺して、今も苦しめようとしているこいつが嫌いだ。


「身分…?なんで、あんたが皇太子妃候補なわけ?ただのモブでしょ?」

言葉の刃がそのまま投げつけられるようだった。

とうとう、あんた…ん?


エレオノーラの暴言で眉間にしわが寄ったけど、モブという言葉を聞いてエレオノーラを見た。

一瞬だけ思考が止まる。

「モブ…って?」

銀恋で、私はたしかにモブだ。

ゲームでは名前すら出てこない、モブおぶモブ。


でもそれを知ってるのは、ゲームをプレイしたことがある人だけだ。

どうして突然、エレオノーラの口から、モブなんて言葉が出てきたんだろう。

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