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二度目の異世界転生、ざまぁを助太刀させていただきます?  作者: 西園寺百合子


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16/50

16 血の繋がった父との再会でして

伯爵令嬢 メイヴィス・モルゲンシュテルン

伯爵令息 アルフレート・ローゼンタール

伯爵令嬢 エレオノーラ・ヴァランティーヌ

伯爵 ディミトリ・オルブライト

すらりと伸びた首。

歩くたびに揺れる淡い髪の隙間から、その白いうなじがちらりとのぞく。

意外と、背が高い。

今、私は、王城に来ている。


磨き上げられた大理石の床が窓から差し込む光を反射し、廊下全体を明るく照らしていた。

高い天井には豪奢な装飾が施され、王城らしい威厳を感じさせる。

当然だが、1人で来られる場所じゃない。

アルフレートとアルフレートのお母さん、ローゼンタール伯爵夫人と一緒だ。


ローゼンタール伯爵夫人は、私より頭ひとつくらい背が高い女性だった。

綺麗だなと思う。

思わず見上げてしまうほど整った横顔だった。

背筋は真っ直ぐで、歩く姿に無駄がない。

貴族の夫人らしい品格が自然とにじみ出ている。


見ないようにしようと思うのに、チラチラと見てしまう。

視線を前に戻しても、気が付けばまた横を見ている。

気になる。

だって似ているのだ。

「…メイヴィス・モルゲンシュテルン伯爵令嬢。王城では、つつましく…」

ローゼンタール伯爵夫人に言われて、恐縮した。

チラチラ見てたの、バレてたよね。


「し、失礼しました。あまりに…アルフレート様と似ていらして、その…素敵で」

推しに激似のお母様。

逆か。


柔らかな光を受けた瞳は宝石みたいに輝いて見えた。

歩くたびにさらりと流れる髪は艶やかで、一本一本が光を反射しているようだった。

「アルフレート様の瞳の色、すごく綺麗ですけど、ローゼンタール伯爵夫人の瞳も同じくらい綺麗で。見惚れてしまいます…」


待って、その瞳綺麗すぎない?ずっと見てられるんだけど。

優勝してる。瞳が優勝してる。

さらに髪の毛まで完璧なの反則じゃない?

髪が綺麗な人ってなんでこんなに強いんだろう。

髪まで美しいのは聞いてない。

神様、この人に盛りすぎです。


と、うっかりオタ発言しそうになって口を指で押さえる。

危ない危ない。王城の廊下で何を言い出す気だったんだ私は。

「…変わったお嬢さんね」

ローゼンタール伯爵夫人がそう言って気まずそうに笑った。

けれどその表情には、呆れだけではなく少しだけ優しさも混じっているように見えた。


謁見の間で、王とローゼンタール伯爵夫人、アルフレートと私の4人が顔を合わせた。

巨大な扉が閉じられる音が静かな空間に響く。

変な緊張感が漂う。

話の内容が内容なだけに、ごく少人数の護衛だけがいる状態だった。

広い謁見の間には人影が少なく、その静けさがかえって緊張させる。


「帝国の太陽、皇帝陛下にご挨拶申し上げます」

ローゼンタール伯爵夫人が、見事な挨拶をした。

カーテンシーという、独特の挨拶の方法が採用されているのだが。

お手本のような美しいカーテンシーだった。

ドレスの裾が優雅に広がり、一連の動作に一切の淀みがない。

あれを見た後で、挨拶するのは気がひけたが、挨拶しない訳にもいかず、頭を下げる。

自分の動作がぎこちなく感じてしまい、少しだけ肩身が狭かった。


「ああ。堅苦しい挨拶はいいよ。久しいね、ローゼンタール伯爵夫人」

王はそう言って、ローゼンタール伯爵夫人を見た。

どこか懐かしむような目だった。

「はい。あの夜以来でございます。若気の至りとはいえ、大変…」


そこまで言って、夫人はアルフレートを見た。

一瞬だけ言葉が途切れる。

「…大変、失礼をいたしました」

あらためて、そう言葉を続けた。


「いや。あれは…そうだな。若気の至りであった」

王は少し悩んで、そう言った。

苦笑するような表情を浮かべながら遠い昔を思い出しているようだった。

なんとなくだけど、2人は相思相愛だった気がする。

そういう雰囲気だった。

長い年月を経てなお残る特別な感情が見え隠れしている気がした。


「恥ずかしい話だが、我が息子が廃太子となってしまってね」

王がそう言って肩を落とす。

その声には疲労と落胆がにじんでいた。

まさか自分の息子が国庫金を横領していたとは思っていなかったのだろう。


「私には他に息子がいない。だから、ローゼンタール伯爵夫人の申し出は、とてもありがたいのだが」

王はそこまで言って、アルフレートを見た。

「今さら父親面をするつもりもないが。ローゼンタール伯爵令息は、私の息子として皇太子となる、ということに同意しているのかい?」

そう尋ねた。


「はい。父と母とも話をしまして。王がおっしゃる通り、今は国家の危機。家門がどうと言っている場合ではございませんので。ただ1つ心配なのは」

アルフレートが母親をチラッと見た。

その横顔には珍しく緊張が浮かんでいる。


「私が王の血を継いでいるとわかった場合、母や父には何か罪に問われることはあるでしょうか?」

そう言った。

そこまで考えていなかった。

私も思わず息を呑む。


「いや、それはない」

王はそう言って首を横に振った。

迷いのない返答だった。

ほっとして、アルフレートと顔を見合わせる。

アルフレートもわずかに表情を緩めていた。


それから血液検査をして、正式に、アルフレートが皇太子候補となった。

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