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二度目の異世界転生、ざまぁを助太刀させていただきます?  作者: 西園寺百合子


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15/50

15 会いに行く方法を検討しまして

伯爵令嬢 メイヴィス・モルゲンシュテルン

伯爵令息 アルフレート・ローゼンタール

伯爵令嬢 エレオノーラ・ヴァランティーヌ

伯爵 ディミトリ・オルブライト

それから数日後。

柔らかな陽射しが窓から差し込む午後だった。

その日までにも何度か会っていたけど、アルフレートから両親と話ができたと言われた。

ずっと気になっていた話題だっただけに、胸の奥が小さくざわついた。

「話って…あの?」


あの、というのは、アルフレートが王の隠し子だという話。

「信じられないことだけど、父は知っていたようだ」

アルフレートがそう言って、なんとも言えない顔をした。

驚きとも諦めともつかない複雑な表情で、何を思っているのかは読み取れなかった。

窓から差し込む光がその横顔を照らしている。


「王家とは遠縁だからね。王家の血を引いている俺がいるというのは…」

アルフレートがそこまで言って言葉を区切った。

その先を口にしたくないのだとわかった。

「アルフレート様。それ以上は、大丈夫です」

そう言って、アルフレートの背中をさする。

ゆっくりと手を動かすと、少しだけ強張っていた肩がわずかに緩んだ気がした。


ローゼンタール伯爵は伯爵夫人の不貞を知っていて、見ないフリをした。

それはいつか、アルフレートが王となる可能性があったから。

そうなれば、ローゼンタール伯爵は、今よりも大きな権力を手にできる。

おそらく、そんな話を聞かされたんだろう。

自分の出生の秘密が権力争いの材料として扱われるかもしれなかったこと。

そのことが、つらかったんだろう。


どういう経緯で王とローゼンタール伯爵夫人がそういう関係になったのか。

気にならない訳じゃないけど、アルフレートから聞くのは躊躇われた。

それはアルフレートの心の傷に触れることでもある。

今は知りたい気持ちよりも、聞いてはいけないという気持ちの方が強かった。


「それで、王にはアルフレート様から申し出るんですか?」

少し話題を変えるように尋ねる。

ドラマチックではないけど、手っ取り早い解決方法だ。

「そうだね。父は切り札にしたいみたいだったけど。母からは承諾を得られたから、そうするつもり」

アルフレートは静かにそう言った。


そうと決まれば、できる限り早くことを起こしたい。

いいおじさん、略していいおじのオルブライト伯爵を、暴漢などにする前に。

冤罪の可能性が高い、その暴漢騒ぎが起こる前になんとかしたい。

シナリオどおりに進ませたくない。


ところが。

困ったことに、アルフレートが王に会いたいと打診したのだけれど断られてしまった。


その報告を聞いた瞬間、思わず目を見開く。

むしろ、すぐに会えるものだと思っていたくらいだったのに。

「え?…ローゼンタール家のアルフレート様が会いたいって言ったのにですか?」

予想していなかった出来事に戸惑った。


私が会いたいといっても、王とは簡単に会えないことはわかる。

でも、王家とは遠縁でもあるローゼンタール家。

しかも、王はアルフレートが自分の子どもだと認識している可能性がある。

それなのに、会えないって、どういうこと?


頭の中で何度考えても答えが出ない。

むしろ疑問ばかりが増えていく。

アルフレートも頭を悩ませているようだ。

肘掛けに腕を置き、眉間にわずかな皺を寄せていた。

普段冷静な彼がここまで考え込む姿は珍しい。

しかし、悩まし気な推しもまた、素敵だ。


「これは、もしかしたら。どうしてもオルブライト伯爵を犯人にして、消したい『誰か』がいるのかもしれないね」

アルフレートにそう言われて、びくっとした。

違うこと考えてたのバレるかなと思ったけど、アルフレートはとても真剣な顔をしている。


「オルブライト伯爵を犯人だと言ったのは、王様なんですよね?」

私がそう言うと、アルフレートは静かにうなずいた。

窓の外では小鳥の鳴き声が聞こえるのに、この部屋だけ別世界のように静かになった。


つまり、王とオルブライト伯爵との間には、なにかの因縁があるということだろうか?

「ただ、王権反対派を消したいだけ、という可能性もまだあるけどね」

アルフレートは冷静にそう付け加えた。

なんにしても、打開策が見つからない。

出口の見えない迷路に迷い込んだような気分だった。


「ひとつ、方法はあるんだけど」

アルフレートが乗り気ではなさそうにそう言った。

その言い方だけで、あまり気が進まない案なのだと伝わってくる。

乗り気じゃない案も出さなくてはいけないくらい、切羽詰まってるってことだろう。

「…母に、面会を頼んでもらおうと思う」


そう言われて、それなら、王も会わざるを得ないかもしれないと思った。

けれど同時に、それはアルフレートの母親にも大きな負担をかける方法だ。

だからこそ、彼はあまり気が進まなかったのだろう。

私は小さく息を吐いた。

それでも、今はローゼンタール伯爵夫人に依頼するのが最善策だろう。

時間がどれだけ残されているのか、わからないのだから。

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