↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第6章:上級配信者

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
89/116

89話:三角跳びの衝撃

 翌日は16層での戦闘模様を配信した。

 ただ、14層とは違って16層ではそこまでおかしな事をしていなかったようで、コメントは落ち着いていた。ウインドホースは風の鎧を力づくでこじ開けて攻撃を通しただけだし、ウインドベアはかまいたちを避けて近づいて倒しただけだ。

 まぁそれでも、かなり珍しい16層配信という事で初回よりも視聴数は多かった。


 一方で、初回配信を後から知った人のコメントも多く書き込まれて、色々と質問があったのだが、


「質問への回答は明日まとめてやります。18層はまだドラフトホースしか倒してないので、時間が余ると思いますから」


 と言い訳をして、質問返しは明日に持ち越した。

 ドラフトホースを探したり、解体する間に答える時間がたくさんある予定だから、その方がいいだろう。というか、ドラフトホース1体倒して終わりだと配信が短くなりすぎるからな……






 そして配信3日目。

 18層に到着して軽く準備運動を終えた俺は、ドローンを起動させ、森へと入った所で配信を開始した。


「どうも皆さん、おはようございます」



:おは

:おはよう

:おはようございます

:3日連続だな

:本当に18層なの? しかもソロ?

:予告通りにドラフトホースが見れるのか



 配信を開始したばかりだというのに、コメントの量は初回、2回目よりも更に増えている。

 平日の午前中の配信だっていうのに、どうしてこんなに人が多いんだよ……お前ら仕事しろ! 学校はどうした!

 まぁそこは俺の知った事ではないな。


「今日は予告通り、18層に来ています。これからドラフトホースを探して進みながら、色々と質問に答えていきます。倒したら売りに行きたいんで、戦闘は1回だけの予定です」



:相変わらずデカい木だな

:売りたいってのは分かる

:全部は持ち帰れなくても、結構な金額になるだろうしな

:他の冒険者を映さないようにするのは偉いよな

:配慮は偉いけど、その影響で配信が短いのは残念だ



「じゃあ進みながら質問返しをしていきます」


 特に反対意見も無いので、進みながら事前に確認していた質問のメモを見ながら雑談を始める。


「なお、先に言っておきますが、この配信は協会の方も見ていて、問題のあるコメントは削除したり、報告されたりの対応が取られてますので気をつけて下さい。まぁ、普通にしていればOKです」



:もちろん分かってる

:監視されてるのな

:監視対象が視聴者だけなのだろうか(配信者も監視されてるんだろうな)



「では質問には無かったというか、質問しにくいであろう基本情報から。どうせそのうちバレるというか、知られると思うし、協会にも相談して先に言ってしまおうという事になったので。

 名前は伊藤祐也、年齢は17歳で、冒険者を始めてから1年8か月ほどです。

 普段は奥羽ダンジョン仙台入口をメインに活動してます。そちらが窓口になりますので、取材依頼はそちらへお願いします」



:若い!

:やっぱり若い!

:同い年じゃん!

:その若さでその言葉遣いなのか

:もう少し砕けた喋り方でいいと思う。どこかで素が出るだろうし

:1年半で18層かよ!

:どんだけ早いんだよ、しかもソロだろ?

:パーティーだと戦闘は楽だろうけどレベル上がるのが遅くなるから、ソロでいけるならソロの方が早いよな

:レベルは? スキルは?

:ソロだとどこまでレベルは上がってるんだろうな



 一通りの反応を確認してから、先に進める。


「言葉遣いか……じゃあいつもの口調にするな。

 えっと、配信ではソロだけど、パーティーメンバーは一応3人いて。1人は固定メンバーというか、週末に一緒に潜ってるポーター。あと2人は年数回って感じで、3人との関係性については、掲示板に書いてあるんで気になる人はそっちを見てくれ。

 それで、他のパーティーメンバーは現状募集してないから諦めろ」



:ソロじゃなかったのか

:でも実質ソロみたいなものだろ

:ポーターは戦闘向きじゃないし、稼ぎ用って感じか

:というか、ポーターはどこまで一緒に潜ってるんだ?

:18層にポーターとか危ないよな

:ドラフトホースならポーターでもなんとかなるの?

:募集してくれよぉぉぉ!

:そこをなんとか!

:魔法が使える後衛アタッカーはいた方がいいだろ!

:ヒーラーもいた方がいいと思うの!



 やっぱりパーティーを組みたいって人が現れるよな。こういう時に協会を使わせてもらおう。


「パーティーメンバーに入れろというコメントや、実際にダンジョンで声をかけてきたら、要注意人物として協会がマークすると思うんでよろしく」



:ギャー!

:コメント消します、すみません

:協会さん、さっきのは冗談です、許して



 協会は現代社会では結構な権力を持ってるからな。ありがたく使わせてもらおう。


 ドカドカッ


 コメントの読み上げ音声の隙間から、小さな地響きが聞こえてきた。やっと来たな。


「雑談の続きはドラフトホースを倒してからで」


 腰から剣を引き抜いて右手で握り締める。

 いつものように木の幹を背にして、ドラフトホースが来るのを待つ。



:この地響きがドラフトホース?

:画面越しでも振動が伝わってきそう

:全然緊張感の無い構えなんだけど

:何度も戦ってるんだろうから大丈夫だとは思うけど

:来るぞ来るぞ!

:どうやって倒すのか楽しみ



 ドゴドゴドゴッ!


 視界にはっきりと捉えたドラフトホースは、いつものように俺へと一直線に突進してくる。

 俺もいつものようにドラフトホースに背を向け、背後を見ながらタイミングを計る。



:デケェ……

:これがドラフトホース

:軽自動車が突っ込んでくるみたいなもんじゃねぇか!

:ぶつかったら死ぬか、大怪我するぞ!

:どうして背を向けたの!?

:普通は木の幹に隠れながら攻撃をするもんだぞ!

:そこだと隠れられないぞ!

:早く木の幹の後ろに隠れろ!

:何を見せてくれるんだ、フードファイター!



 驚いたり、焦ったりしている視聴者が多い。そんな中でワクワクしているのはフードファイターと言ってるから、あの掲示板の住人だろう。

 心配しなくても問題ないぞ。何度も繰り返してきた動きだ。

 読み上げ音声を聞きながらも、視線だけはドラフトホースから離さない。

 そして、ドラフトホースとの距離がベストになった瞬間、力強く地面を踏み締めて、木の幹へと走り出した。



:そうだ、そのまま木の幹の裏に隠れろ!

:間に合えぇ!

:間に合って!



 そして、スピードを乗せたまま飛び跳ねた俺は、木の幹を右足で踏みしめると、反転しながら三角跳びでドラフトホースの突進を上に避けた。



:は?

:は?

:はぁぁ!?

:飛んで避けた!?

:そんな避け方ありか!

:三角跳びカッコイイぞ!

:うおぉぉー!

:曲芸師かよ



 ドゴオォォンッ!

 ドラフトホースが木の幹に衝突すると同時に、背後に着地しながら剣を振り下ろした。

 剣はドラフトホースの臀部を深く斬り裂いた。攻撃を止める事無く、続けて右前へと一歩踏み込みながら後ろ右足へと刃を一閃する。

 刃は足を深く斬り裂き、ドラフトホースはその場に尻餅をついた。そのまま横から腹部を下から斬り裂くと、俺は大きく距離を取った。



:すごっ

:足が!

:これで突進できない

:こんな倒し方が……

:交通事故起こさせて後ろから攻撃、って書いてても意味分かんない

:やべぇな

:めっちゃ余裕で倒してるじゃん

:18層がギリギリなんじゃなくて、もっと上が適正階層だったりする?



「あとは放っておけば出血で死ぬんで、解体終わるまで質問返しの続きをしようか」



:『いつもの事です』みたいな感じ出してるけど、この戦い方はどうなんだ?

:真似していいやつ?

:ドラフトホースを避けられる高さまで跳ばないといけないし、タイミングをミスったら死ぬ

:真似はしちゃダメです

:時間は掛かるけど、普通に倒すべきだろ



 あの三角跳び、便利だと思うんだけどな。


「普通はたくさん倒せる方が良いんだから、木の幹に隠れながら攻撃する時間が掛かる方法より、こっちの方が効率的でいいと思うんだけどなー」



:それはそうだが

:命大切に

:命大事に

:命あっての、万全の肉体あっての冒険者だから



 まぁ確かにそうだな。でも、もう俺はこれに慣れたから止めるつもりは無い。


「コメントの通り、あまりおすすめはしないみたいですけど、三角跳びを練習してできそうだったらありかもしれないかな。

 さて、じゃあ質問返しの続きだけど」


 そこから俺はドラフトホースの血抜きと解体をしながら、質問に答えていく。

 だが。


「さて、持ち帰る分の解体は終わったから、今日はこれで終わりにするか。質問返しの続きは明日で」


 解体が終わったので、配信を終わりにしようか。

 ちなみに、レベルとスキルについてはまだ答えていない。それは明日にしたかったから。


「最後に1つ相談なんだけど、このチャンネルの名前って何がいいかな?

 現状は『奥羽ダンジョン中層後半の様子を生配信するチャンネル(仮)』ってしてるけど、何かいい案を考えてコメントして欲しい」



:チャンネル名募集きた!

:良かった、(仮)のままで続いていくんじゃないかと不安だった

:チャンネル名のセンス無いなって思ったけど、変える前提だったならまぁいいか

:普通に祐也のダンジョンとか?

:祐也のダンジョン配信チャンネル、みたいなシンプルなものでいいと思う

:ダンジョン以外の配信するつもりが無いなら、『ダンジョン配信』ってのを入れると分かりやすい

:奥羽ダンジョン攻略チャンネル

:フードファイターダンジョンチャンネル

:坊主のダンジョン攻略



 早速、チャンネル名の候補がドンドン書き込まれていく。後でAIにまとめさせて考えるか。

 ダンジョンって言葉はあった方が良さそうだけど、自分の名前は入れたくない。


「じゃあ、今日はここまで。また明日、お疲れ様でしたー」



:乙

:おつー

:おつかれー

:レベルとスキルについて教えてくれー!

:明日も楽しみにしてる!

:この配信、結構衝撃の内容があったと思うけど、視聴者動じてないな

:戦闘シーン見返さなきゃ

:平日午前中は予定開けなきゃいけないな



 そういや、この時間の配信でいいのかな……

 ちょっと考えるか。昼休みに生配信で見れるようにした方がいいかな?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。