表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第5章:中堅

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
68/80

68話:急降下攻撃

 レベル:2(上限到達)

 スキル:消化+、Absorb

 【Absorb上限到達】

 ・ストライクホース

 ・ハンマークラブ

 ・アイアンオイスター

 (他22種を表示▽)


 悠斗のレベリングから1週間後の土曜日の朝。

 遂にストライクホースが吸収上限に到達した。つまり、200kg食べたってことだな、長かった。


 そして、それならもうすぐボルダーグラップラーも吸収上限に到達するということになる。

 それじゃあ、今度のソロ探索の日は、第11層、第12層の下見をしに行くか。



◇◇◇



 土日のかおりんとのパーティーでの探索、そして週一の休みを過ごしてからやってきた第11層。

 ここも今までと同じで前の第10層と景色は変わらない。


 真正面にある渓谷に踏み入れてから数十分後。

 ゴンッ!

 力強い地面を叩く音が聞こえてくる。これはストライクホースが地面を踏み鳴らして、蹴り飛ばす岩を作り出したってことかな。

 さぁどこから飛んでくるかな。




 第11層のストライクホース、ボルダーグラップラー共に第10層よりも少し大きく、力も強かった。遠くから飛んでくる岩弾のスピードも第10層よりは上がり、国道で対向車とすれ違う瞬間の、あの風圧を伴うような速度になっていた。

 ただ、ストライクホースとボルダーグラップラーを吸収する前の俺が余裕を持って倒せた第10層から少し強くなった所で、Absorbで強化された俺には大した問題ではなかった。北海道ダンジョンで強くなりすぎたか?





 ということで、第11層も問題無いため、昼食を食べてから第12層に向かう。

 第12層に足を踏み入れ、そこで見た風景は……第11層と変わらないな。事前情報通りなんだけど、変わらないことに違和感を感じる俺もダンジョンに染まってきたのかも。


 正面に口を開けて待ち構えている渓谷へと歩いていく。

 足元に気をつけながらも周囲を警戒して進む。第10層・11層は遠距離からの攻撃を警戒していたが、第12層では別のことを警戒する必要がある。前後左右だけでなく、首が痛くなるほど真上を見上げる警戒も重点的に行う。


 その時。視界の端、断崖を一頭の馬が重力を無視したような足取りで跳ね上がっていくのが見えた。

 岩壁から突出したわずかな足場を捉え、バネのようにしなやかに、そして驚異的なスピードで頂上へと駆け上がっていく。

 あれがマウンテンスタリオンか。あの動きは俺にはできないな。


 体長1.6mと第11層のストライクホースとほぼ同じ大きさだが、その身体は細くしなやかだ。余計な脂肪を極限まで削ぎ落とし、垂直の壁を登るために異常発達した尻と後ろ足の筋肉が異様に強調されている。

 全身が、機動性と登攀性能に全振りされた感じだ。


 奴は岩壁の頂、仙台駅前のそこそこ大きい10階建てビルの高さくらいの場所でピタリと足を止めると真下にいる俺を見下ろした。

 直後、マウンテンスタリオンは断崖の縁を蹴り、そのまま真下、俺の頭上目掛けて落ち始めた。

 これが急降下攻撃ってやつか。事前情報の通りだが、まさか本当にあの高さから落ちてくるとは思ってなかった。


 風切り音と共に加速するマウンテンスタリオン。それは単なる突進ではなく、落下の加速にスタリオン自身の脚力が加わった、必殺の一撃だ。

 奴は空中で姿勢を微調整し、全ての衝撃を四本の蹄に集中させ、俺を岩盤ごと粉砕するかのように迫る。


 回避は容易だ。だが、俺は一歩も引かずに奴の着弾地点で待ち構える。ストライクホースの石弾よりは遅いし、対応するのは問題ない。


 視界が影に覆われる。直上から迫る蹄。

 直撃の瞬間、俺はわずかに半身をずらした。すぐ脇を、猛スピードの蹄が通り過ぎる。

 ドォォォォォンッ!

 渓谷に凄まじい激突音が反響し、足元の岩盤がクレーター状に砕け、土煙と砕けた石礫が周囲に飛散した。もし直撃していれば魔導鋼のプロテクターを着ていても大怪我しそうな威力だ。


 マウンテンスタリオンが着地の衝撃を逃がそうと膝を折ったその瞬間。奴にとって、この瞬間こそが最大の無防備な隙だろう。

 俺は奴の無防備な脇腹へ、全身のバネを乗せて斬り上げを叩き込んだ。


 剣は深々と脇腹を斬り裂いた。逃げ場を失った落下のエネルギーと、俺の斬撃の衝撃がぶつかり合った影響か、マウンテンスタリオンの巨体は俺と反対側へと勢いよく跳ね飛んでいった。

 そのまま胴体から岩場に激突したマウンテンスタリオンは、ピクリともせずに、完全に息を引き取っていた。



 うん、攻撃が当たる前に相手を捕捉すればいい、という点については第10層と変わらないな。しかも危険な攻撃は上からだから、かおりんには上だけ気にしてもらえればいけるか。

 ただ、第10層は俺がガードすれば守れるが、こっちは守るのが厳しそうだ。代わりに、こちらから接近しなくても近づいてきてくれるのはいいことなんだけどな。


 もう何回か戦ってみて考えるか。

 さて、次のマウンテンスタリオンを探しに行こうk


 カランカラン


 もう次が来たか。そう思い、音のした方向へと身体の向きを変える。


 ??


「おう、随分と若いな」

「しかも1人か」

「じゃあ余裕だな」


 冒険者か。ただ、このダンジョンで階段間以外でわざわざ近づいてくる奴か。

 ……はぁ、碌な奴じゃないな。めんどくさいことになりそうだ。



◇◇◇



 冒険者登録をした際に必ず配られるものは2つ。

 1つは冒険者カード。ダンジョンに入るために必ず必要なものであり、キャッシュカードやデビットカードの代わりにもなる。


 そしてもう1つは冒険者の心得。

 ダンジョンについて分かっていることをまとめたものであり、冒険者として知っておくべきことも記載されている。例えば冒険者資格の剥奪される条件だったり、ダンジョン内外での冒険者としてのマナーだったり。

 冒険者のマナーで有名なものとしては、ダンジョン外では武器はケースに入れて持ち運ぶこと、というのがある。

 それ以外にダンジョン内でのマナーだと、階段近く以外では他の冒険者に接近しないこと、他の冒険者との接触は最低限にすること、というのがある。これはダンジョンが出現してすぐの頃、モンスターの取り合いが頻発し、連携の取れない冒険者が同じモンスターと戦う中でお互いの邪魔となり、モンスターの攻撃で死者が出たことが発端と言われている。

 もちろん、多くの冒険者がダンジョンには潜っているため、ダンジョンの入口からある程度の階層までの階段と階段同士の最短ルートでは冒険者が近くにいることはおかしいことではなく、その範囲については余計な接触はしないように、という程度にとどまっている。


 そのようなマナーが広く周知されている中で、わざわざ階段近くではない場所で他の冒険者に近づく者は何か明確な目的がある、と考えて警戒するのが常識となっている。

 ましてや、中堅冒険者と呼ばれるようになる第10層以降の危険な階層であれば尚更、偶然出くわしたから挨拶、なんて平和な展開はありえない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ