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フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第5章:中堅

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66話:新年

「これを食べると年末なんだなって思うよな」


「まぁこの時間に蕎麦を食べるなんて、大晦日だけだからね。

 今年はボルダーグラップラーの肉を薄切りにして、鴨南蛮風にしてみたよ。豪華だねー」


「うん、旨い」


 今日は大晦日。夕食後に蕎麦を食べるなんて大晦日だけの行為だよな。夜食を食べることがあったとしても、蕎麦を選ぶことは無い。


「それにしても、忙しい1年だったねー。祐也は冒険者になるし、レベル上限になるし、よく分からないスキルを獲得するし」


「沢山美味しいものが食べられたから満足だけどな。来年はもっと美味しい肉を持ってくるから、調理よろしくな」


「もちろん! 祐也が最前線まで行けば、そのモンスターの肉を初めて調理した人になって、私も調理師として有名になっちゃうかなー」


「来年はどう考えても無理だろうな。まぁいつかそうなったらいいけどな」


「そんな『いつか』なんてこと言ってないで、さっさとなってね!」


 なかなかハードな要求をしてくる妹だな……





 ゴーン


「あけましておめでとうございます」


「「「あけましておめでとうございます」」」


 年越し蕎麦を食べて、のんびりテレビを見ていれば、すぐに年が越していった。今年も頑張ろう。


「かおりん、今から来るって。あと20分くらいだってさ」


 いつもならすぐに寝るが、今年はかおりんからの『年明けてすぐに初詣に行こうっす!』という提案で初詣に行くことになっている。


「じゃあ悠斗に連絡するか」


 最近全く会ってないから初詣でも行こう、ということで悠斗も誘っている。最後に会ったのは卒業式だな。

 さて、コートを取ってくるかな。




 ピンポーン


「あけましておめでとうございますっす。瀬奈ちゃん、祐也さん、今年もよろしくお願いしますっす」


「かおりん、あけおめ。今年もよろしくね」


「あけおめ、今年もよろしくな」


 早速、年明け早々にかおりんがやってきた。

 海に一緒に行ったかおりん父が車を出してくれるということで、移動が楽なのはありがたい。


「もう1人来るんすよね?」


「そうだよ。祐也の親友が来るんだけど遅いね」


「そろそろじゃないかな」


 ピンポーン


「祐也ー、あけましておめでとう」


「噂をすればなんとやらってやつだな。あけましておめでとう。今年もよろしくな」


「卒業式以降連絡をよこさなかったやつが何を言う。まぁ親同士のやり取りで元気なのは知ってたけどな」


「お前も連絡してこなかっただろうが」


 9ヶ月以上連絡も取ってなかったけど、会えばすぐにあの頃に戻れるのはいいことだな。


「えっと初めましてだよな。祐也の親友の梶原悠斗です」


「どうもっす。瀬奈ちゃんのクラスメイトで、祐也さんのパーティーメンバーの稲垣香織っす」


 初対面の2人が、どこかぎこちなく挨拶を交わしている。


「じゃあ行こうか。話の続きは車の中でしたらいいよ」


 両親と挨拶をしてきたかおりん父が戻ってきて、車へ向かっていった。


「じゃあ行くか。席はどうする?」


「3列シートなんで、2列目に男子、3列目に女子がいいと思うっす。

 3列目はちょっと狭くて、男子だとキツそうっすからね」


 そう言ってかおりんと瀬奈が飛び出していった。

 じゃあお言葉に甘えて、男子は2列目に座らせてもらうとしますか。





 車を走らせること30分ほどで、目的地近くまでやってきた。


「うわぁ……人が多い……」


「仕方ないだろ、鹽竈神社なんだから。本当に祐也は人混み嫌いだよな」


 人混みは息苦しくなるんだよな。通勤電車とか絶対嫌だ。


「誘わない方が良かったっすかね……」


「大丈夫よ。それに、かおりんが話しかけて楽しませればいいんじゃない?」


「ちょ、それはハードル高いっす」


 瀬奈とかおりんはスタスタと先に行ってしまう。はぐれるわけにはいかないので、悠斗と共に追いかけていく。

 初詣の人が多く、神社から少し離れた場所の駐車場から神社の本堂まで歩いていかないといけない。

 数分歩いていくと、本堂までの名所である表参道の急階段が待ち構えていた。


「な、なかなかハードだな」


「文化系部活の悠斗にはキツイかもな」


「祐也がスタスタと登っていくのは理解できるし、同じ冒険者の香織ちゃんも分かる。

 でも、なんで瀬奈もあんなに楽々登っていくんだよ……」


「あー、レベル上げしたからだな」


「えっ、瀬奈がレベル上げしたのか? 調理師志望なのに?」


「まぁ成り行きで。悠斗はレベル上げて無いのか? 部活でやらないの?」


「夏休みに少し上げたけど、それだけだな。スキル使うだけじゃほとんど上がらないし」


「スキルは使えてるんだな」


「そりゃあな。鍛冶スキルを使いこなせるようになりたくて、ちゃんとした鍛冶場のある高校を選んだんだから。

 まぁ部員もいるから、なかなか自由には使えないけどな」


 悠斗は15歳になった時の初期スキルで鍛冶が与えられた。そして、その鍛冶スキルを使った仕事につきたいということを中学の時は話していた。


「どうなんだ? 鍛冶の道に進めそうなのか?」


「狭き門だからなかなか厳しいな。高校のうちに、大会でいい成績残せればいい会社に入れるだろうけど、実績が無ければ採用してもらえないだろうからな」


「そういうもんなのか」


「そうだぞ。大手企業とか有名な工房とか、最低でも全国大会出場しなきゃダメだからな……」


「全国大会か……それってレベル高い方がいいのか?」


「まぁ絶対じゃないけど、高い方が力強いから大きなものを作れるし、少ない回数で成形できるから有利ではあるな。もちろん、それ以外に技術も必要だけど」


「そういうものか。んー、なるほどねー」


「おい祐也、順番きたぞ」


 悠斗と会話をしている間にお賽銭箱の前まで進んでいたようだ。

 準備していた小銭を投げ入れ、二礼二拍手一礼。


 去年は冒険者として活動を始められました。今年も冒険者として無事に活動できるように頑張ります。

 




「2人もお参り終わったのね」


「何か温かいものを屋台で買っていこうっす」


「じゃあ甘酒がいいな」


「俺も」


「私も」


「じゃあ買ってくるっす。誰かついてきて欲しいっす」


「皆で行くわよ」


「そうだよ、皆で行った方が楽しいって。甘酒ならあそこにあるぞ」


 悠斗がかおりんと共に近くに見えた甘酒の売っている出店に向かっていった。

 初対面だったはずなのに、もう仲良くなってるな。さすがだよ、悠斗。


「久々に悠斗と話してどうだった? 何の話してたの?」


「どうってな。久々だったけど、すぐにあの頃に戻ったよ。

 内容は悠斗の鍛冶の話をしたけど、なかなか大変みたいだな」


「鍛冶師だもんね。需要が冒険者しか無いから、調理師と比べると厳しい世界だよね」


「……調理師ってレベル高い方がいいのか?」


「何よ、急に。まぁ高い方が動きが早くなるし、力も強くなるし、体力も上がるからね。切ったり、鍋をふるったり、高くて悪いことは無いと思うけど」


「そうだよな。高い方がいいよな」


「何かあった?」


「んー、悠斗のレベル上げを手伝おうかなって思ってな」


「いいんじゃない? 腕のいい鍛冶師が知り合いにいれば、ダンジョン探索に便利でしょ」


「いや、普通に親友だから手伝おうかなって思っただけなんだが。

 でも確かに一理あるな。いい工房とかに就職してくれたら、オーダーメイドで作ってもらえるかもな」


「でしょー? じゃあレベル上げ手伝うんだ」


「そうだな。4日ならまだ高校も始まってないし、瀬奈と同じで1日でもかなり上がるだろうしな」


「2人ともー。甘酒どうぞっす」


「ほれ、祐也」


「おう、いくらだった?」


「私が払うからいいっすよ。祐也さんのおかげで稼げてるっすから」


「サンキュー。そうだ悠斗、お前今レベルいくつ?」


「レベル? 6だけど、それがどうした?」


「それならいいな。4日空いてるか?」


「まぁ空いてるけど。部活もまだ始まらないし」


「よし、かおりん。4日は悠斗と3人でダンジョンに行くぞ。悠斗のレベル上げをする」


「おぉー、瀬奈ちゃんの時みたくやるんすね」


「そういうことだ」


「おい、レベル上げするのはいいけど、祐也の方が強すぎて、そんな簡単に上がらないんじゃねえか?」


「まぁまぁ。やってみるだけやってみようぜ。楽しみだなー」


 うん、知り合いが強くなって夢に近づくのはいいよな。

 あー、甘酒で温まるなー。


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