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フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第4章:北海道遠征

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53話:北海道第6層

『サンドクラブの吸収上限に到達しました』


 朝昼にサンドクラブを食べて、おやつの時間になろうかという所で、サンドクラブが上限に到達した。

 北海道ダンジョンに来て11日目。なかなか順調なんじゃないかな。


 レベル:2(上限到達)

 スキル:消化+、Absorb

 【Absorb上限到達】

 ・サンドクラブ

 ・タイダルロック

 ・ビーチシェル

 (他17種を表示▽)


 これで累計20種類のモンスターを上限まで吸収してきたのか。もう20種類、まだ20種類。どっちだ?

 まぁ第10層に苦戦しているのだから、まだ20種類なのだろう。

 国内6ダンジョンの第8層までのモンスターを全て食べたら50種類。そう考えるとまだ半分にも達してないな。


 じゃあもう4層に用は無いから、次は6層に行きますか。





 第6層は第2層と似たような風景が広がっていた。違う点といえば、砂浜が小さいかな。

 海に行くか牧草地に行くか。ここは牧草地に向かうことにする。

 だって、第2層のビーチシェルから第4層のサンドクラブまで魚介類が続いていたのだ。そろそろ肉が食べたい。羊肉が待ってる!



 目の前に広がるのは、見渡す限りの牧草地。胸元ほどの高さがある、鮮やかな緑色の草が風に揺れている。潮の香りは薄くなり、代わりに濃厚な青草の匂いが鼻を突いた。


 ここ第6層に生息するのはメドウラム。事前に調べた情報によれば、羊型のモンスターだが、その性質は極めて凶暴だ。最大の特徴はこの牧草と同じ緑色の毛皮による擬態。そして、足音が全くしないという無音の移動能力と角での突き刺し。なんか暗殺者っぽいな。


 魔導鋼の剣を静かに抜き放ち、いつでも戦闘に入れるように構えた。全身の感覚を研ぎ澄ませる。

 足音はしないとしても、これだけの牧草の中で牧草に触れず、草の擦れる音さえも出さずに移動することはできないはずだ。


 カサリと自分の足が草を踏みしめる音だけが響く。

 風が草を揺らす音。それ以外の音は何もしない。


 相手は暗殺者。こっちが厳重に警戒していてもそれをすり抜けてくるかもしれない。それくらい神経を張ったまま進む。

 もう第6層。ここからは油断はできない。




 全然出てこないな。いつもならとっくに攻撃してくるのに。暗殺者だから慎重に、隙を見つけたら、みたいな感じだったりする?

 うーん、試しに剣を右手で持ち、だらりと下に下げてゆっくりと歩を進めてみた。わざと無防備を装ってみる。これでどうなるかな。


 擬態している以上、向こうに俺の動きは見えている……はず。

 俺はわざと、右側の草むらに視線を逸らし、左側に大きな隙を作った。

 その瞬間、わずかに左後方から草の揺れる音がした。風かもしれないが無駄打ちでも問題ない。ただ何か嫌な感じがしたのだ。


 そこだッ!

 隙を作った左側へ、体を反時計回りに捻りながら剣を両手に持ち、横一文字に薙ぎ払った。

 ガリィィン!!

 硬質な金属音が、牧草地に響き渡った。

 剣先が捉えたのは、メドウラムの後頭部から湾曲して螺旋を描き、前方に突き出た巨大な角だった。


 魔導鋼の剣は、メドウラムの角とぶつかったまま止まっている。

 なかなか硬い角だな。そして、よくピンポイントに受け止めたな。これはメドウラムの角の使い方が上手かったのか?

 一度止まった状態からでは剣に力が万全に伝わらず、押し返すことができない。


 それなら、ここからは奥羽ダンジョンと同じだ。

 薙ぎ払った剣に入れていた力を瞬間的に緩め、メドウラムの攻撃に負けたように演出する。

 そこを逃さずに角で押してきた所で、左前に一歩踏み込む。湾曲した角の下側に添わせるようにして、首から胸元にかけてを下から斬り裂いた。


 ザシュッと肉の裂かれる音が鳴り、そのままメドウラムの後ろまで抜けてから振り返ると、奴はその場に崩れ落ちた。

 ゆっくり近づき、半分ほど繋がってきた首を改めて切り落とす。

 ちょっと厄介なモンスターだったが、初撃さえ防げれば問題ない。バンブーポニー・バンブーベアの強化版って感じだったな。

 よし。早速食べるか。




 視界が悪く、メドウラムに攻撃される可能性があるこの場で解体するのは危険なので、血抜きもせずに後ろ足を持って階段まで引きずっていく。

 階段についたらいつも通り。手早くジャイアントスイングで血抜きをして、内臓を取り出す。

 まずは鮮度が命のハツ刺しをいただくとしよう。

 うん、サクサクとした歯ごたえは第2層のミニコットンからかなり強くなっている。味についてもミニコットンより一段と濃くなって、噛むごとに果物のような芳醇な甘みと、赤身肉の濃い旨味が溢れ出す。相変わらず雑味が無くて食べやすいな。



 サラッと食べ終えてから、解体をしていく。

 内臓を取り出した時にも見ているが、緑色の毛の内側にあるとは思えない、綺麗なピンク色の肉が姿を現した。

 北海道ダンジョンではタイダルロックといい、こいつといい、外側の見た目と内側の肉の差が大きいモンスターが多いのかな。


 解体を終えたので、カセットコンロに網をセットする。一口サイズに切った肉を網に乗せると、独特の香ばしい匂いが立ち上る。なんとなくミニコットンの時よりも落ちる脂が多い気がする。それだけ脂が乗ってるってことか。

 火が通ったら、塩をつけてから口へ運ぶ。

 おお、あれだけ落ちたはずなのに、噛むと中から上質な脂が溢れ出した。口に入れた瞬間に溶けるこの脂の甘さに、食べている俺の表情も溶けてしまいそうだ。ミニコットンより更に臭みがなく、脂身の柔らかさもあって、ほとんど噛まずにスルスルと食べられる。脂の甘さがあるのに、後味がすっきりしているのは不思議な感じだ。


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