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フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第3章:パーティー

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43話:女子会

 翌日も2人で第8層に来ていた。


「今日はハヤテホースだけを狩っていくぞ」


「ディグダベアはどうするっすか?」


「効率よく狩っていく方法を考えないといけないから、しばらくはハヤテホースだけでいこう。かおりんのレベル上げにはハヤテホースだけでいいし」


「分かったっす」





 慣れた手付きで第8層のハヤテホースを狩っていく。


「おりゃあ!」


 俺が正面からがっちりと抑え込み、動きを止めたハヤテホース。そこへかおりんが全力で棍棒を投げつける。

 ドカッ! と鈍い音が響くが、ハヤテホースはびくともしない。やはり彼女の実力では第8層のモンスターにダメージを与えて、単独で倒すにはまだ遠い。だが、こうして一撃入れることで経験値は全てが彼女に入っていく。


 トドメは俺が刺し、手際よく血抜きを済ませる。

 4体仕留めたところで狩りを切り上げる。これ以上は物理的に持ちきれないからだ。


「かおりん、いけるか?」


「問題ないっす!」


 かおりんが3体、俺が1体。獲物を担いで地上へ戻り、受付で買い取ってもらう。2人でやれば搬送も早いし、効率よく稼げるな。これなら午後も問題ない。

 今日はハヤテホースを持って帰るから、料理よろしく、と瀬奈にメッセージを送り、弁当を食べてから再度第8層へ向かっていく。





「ただいまー」


「お邪魔するっすー」


「おかえりー。お肉はー?」


「解体済みだぞ。かおりん任せた」


「キッチンに持っていけばいいっすか?」


「冷凍庫に入れるからこっちにお願い」


 今日も瀬奈が張り切って美味しい料理にしてくれるだろうから、食べる人は待つだけだ。



◇◇◇



 祐也が持って帰ってきたハヤテホースのお肉。

 サシの入り方が本当に綺麗。マッドホースよりも繊維が細かくて、しっとりとした気品がある。


 まずは、つまみ食い。

 刺し用に切り分けた端っこを、塩だけでパクり。

 んんっ、甘い! 舌の上で体温に反応して、脂がさらりと解けていく。それでいて赤身の力強い風味もしっかり残っている。よし、もう一切れだけ。ふふ、役得だね。


 さて、今日の一品目は新作のスタミナ炒め。

 厚めにスライスしたハヤテホースのバラ肉を、まずは強火のフライパンへ。

 ジューッ! と小気味いい音が響き、食欲をそそる香ばしい脂の香りが一気に立ち昇る。

 そこにシャキシャキのニラ、赤と黄色のパプリカ、玉ねぎを投入。準備しておいたニンニク、生姜、醤油、コチュジャンを合わせた特製のタレを回しかけて。

 ジュワァァッ! という爆ぜるような音と共に、タレが焦げる最高の香りがキッチンを支配した。お肉の野性味と野菜の甘みがタレで一つにまとまって、これはもう白米が止まらないよね。


 二品目も新作のカツレツ。

 贅沢に厚切りしたロース肉に、きめ細かいパン粉を薄く纏わせる。

 それを180°Cの高温の油へGO。シュワシュワッという繊細な泡の音を聞きながら、表面がキツネ色に変わるまでのわずか1分弱。

 油から引き揚げて数分。余熱をじっくり中まで伝える。

 肉が落ち着いたのを見計らって包丁を入れると……断面は計算通りの鮮やかなピンク色!

 おろしポン酢を添えて、サクサクの衣と、中から溢れ出すレア肉の瑞々しい肉汁のコントラストを味わってもらおう。


 あとは、素材の良さをストレートに味わう馬刺しを、手際よく切って盛り付けて完成!



◇◇◇



「今日は手伝わないんだな」


「邪魔しちゃ悪いっす。1人で料理してる瀬奈ちゃん、めっちゃイキイキしてるっす」


 確かに。俺らがダンジョンに行くのと同じように、瀬奈は料理してるんだもんな。


「できたよー」


 ソファから立ち上がり、今日のメニューを確認する。


「いつもの馬刺し以外は新作だな。カツと野菜炒めか?」


「レアカツとスタミナ炒めだよ」


「おー、じゃあいただきます」


「いただきますっす」



 まずは新作のスタミナ炒めを口に運ぶ。

 んん! ガツンとくるニンニクの風味の後に、肉の力強い弾力が跳ね返ってくる。噛みしめるたびに、甘辛いタレと肉汁が混ざり合って、白米が進む。

 旨いな。野菜の水分が肉の重さを中和していくらでも食える。これはマッドベアを吸収し終えた後の弁当も楽しみだ。


 続いて、もう一つの新作であるレアカツ。

 箸で持ち上げると、衣の軽さが伝わってくる。おろしポン酢に潜らせて一口。

 サクッという小気味いい音の直後、温かい肉汁が口の中に溢れ出した。揚げることで増幅された肉の甘みが、ポン酢の酸味と相まって、馬刺しとはまた違う肉感を伝えてくる。

 外の香ばしさと中の瑞々しさが完璧に両立してる。


 最後にいつもの馬刺しを一切れ。

 醤油をひと垂らしして舌に乗せると、体温で脂がスッと溶けて消えた。後に残るのは、高タンパクな赤身の澄んだ余韻だけだ。

 やっぱりこれだな。しつこくないのに濃厚な脂。肉って感じがたまらない!



「最高っす! この炒め物、毎日食べたいっす! でも太っちゃうっすぅ!!」


 かおりんも夢中で箸を動かしている。

 この夏で太らないように気をつけろよ。



◇◇◇



「さぁここからが今日のメインイベントだよ」


「ワクワクっす!」


 食事と後片付けを終えてから、約束通り、私の部屋でかおりんとの女子会が始まった。

 夕飯を沢山食べたからお菓子は無しで、飲み物だけにした。



「瀬奈ちゃん、誘ってくれてありがとうっす。女子会とかお泊まり会とか初めてっす!」


「私も初めてだよ。

 それにしても祐也と上手くいってるみたいで良かったよ。変なことされてない?」


「本当に紹介してくれて助かってるっす。

 祐也さん、第8層でもモンスターをどんどん倒していってて、パワーがマジでヤバいんすよ。あんな突進を一人で止めちゃうなんて。

 ちょっと……いや、かなりカッコイイかもって思うっす」


 かおりんがベッドの上でゴロゴロしながら、本音を漏らす。

 私はニヤリと意味深な笑みを浮かべながら、紅茶を差し出した。


「へぇー。まぁかおりんなら、祐也の相手としていいかもね?」


「えっ!? な、何の相手っすか!?」


「ふふ、ご想像にお任せします。でも、いいパートナーになれそうだよね。

 ……お姉さんって呼んだらいい?」


「ま、まだ早いっすよ! そういうのは!」


「どういうのかな?」


「も、もう瀬奈ちゃん!」


 顔を真っ赤にするかおりんをからかうのは楽しいな。


「はいはい。それでダンジョンは順調なんだよね?

 祐也からは順調としか聞いてないけど」


「まぁ順調だと思うっす。かなりレベルも上がったっすから。

 でも戦闘は基本的に祐也さん任せなんすよね。ちょっと申し訳ないっす」


「それは祐也も分かって組んでるんだからいいんじゃない?

 ポーターとして力になってるんでしょ?」


「そうっすけど。でもダンジョンについての情報不足で、昨日は危なかったっす」


「そうなの? 何があったの?」


「祐也さん言ってないんすか?

 第8層のディグダベアの落とし穴に私が落ちそうになって、そこを助けてもらったっす。かなりドキドキしたっす」


「へぇー、それで好きになっちゃったんだ」


「ちょっ!? カッコイイとは思うっすけど、好きってわけじゃないっす!」


「本当にー?」


「もう瀬奈ちゃん!」


「あははっ!」


「もう! 抱きしめられただけで好きになるほどチョロくないっす!」


「……かおりん、その話詳しく聞かせて。どうして抱きしめられたの? どのあたりをどうやって抱きしめられたの?」


「ちょ、瀬奈ちゃん、笑顔なのに目が怖いっす!」


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