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フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第3章:パーティー

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35話:顔合わせ

「ただいまー、祐也いるー? かおりんどうぞ入って」


「お邪魔するっす!」


 翌日の夕方。

 昨日言われた通り家で待っていると、高校から瀬奈が帰ってきたようだ。


「祐也ー?」


「あぁおかえりぃ」


「寝てたの?」


「暇だったからな。それで連れてきたのか?」


「もちろん。入って入って」


「失礼するっす!」


 元気ハツラツって感じの声が聞こえてきたので、横になっていた身体を起こして立ち上がる。


「どうも初めまして」


「初めまして。稲垣香織です! よろしくお願いするっす!」


「伊藤祐也です。よろしく。どこ座る?」


「ダイニングテーブルの方がいいかな、向かい合って話せるし。

 飲み物用意するから座ってて」


 稲垣さんか。どう接したらいいか分からないけど、とりあえず座るか。



「はいどうぞー。さて、どうしよっか?」


「ノープランかよ」


「その場の雰囲気で決めた方がいいかなってね。

 まぁ改めて。こちらが私のクラスメイトで週末だけ冒険者をやってる稲垣香織ちゃん、かおりんです」


「よろしくお願いします」


「それでこちらが双子の兄の祐也です」


「よろしく」


「んで、パーティー組む?」


「いや、もっと聞かなきゃいけないことがあるだろ。稲垣さんもこんな妹に振り回されてない? 大丈夫?」


「いえいえ、いつも仲良くしてもらってるっすから。自分が冒険者をやってることを話したら、瀬奈ちゃんが『うちの兄も冒険者だから相談に乗れるよ』って言ってくれたんすよ」


「それならいいんだけど。じゃあ先に聞きたいことがあれば答えるよ。どう?」


 正直、まだ距離感とか分からないから、相手から動いてくれると楽なんだよな。


「そうっすね。瀬奈ちゃんから話は聞いてるっすけど、直接確認したいことがあるんで聞いていいっすか?

 まず、専業の冒険者ってことで間違いないっすよね?」


「そうだよ。3月の中学卒業からだから3ヶ月程度だけど」


「それで、今は奥羽ダンジョンの第5層まで行ってるって、マジっすか?」


「奥羽ダンジョンはそうだけど、飛騨ダンジョンなら第6層のモンスターも倒してきたよ」


「めっちゃ優秀なんっすね! ってことは、やっぱりスキルは戦闘系なんっすか?」


「うーん、そこは瀬奈から聞いた?」


「いえ、瀬奈ちゃんは教えてくれなかったっすよ」


「その回答は後回しでいいかな。ちょっと簡単には教えられないから」


「了解っす。じゃあ、実際の戦闘スタイルを教えてほしいっす」


「剣での近接戦闘だよ。中学では剣道部で、冒険者になった後の準備をしてたから」


「部活から冒険者になった後のことまで考えてたんっすね。自分なんて、ただバスケやってただけっすよ」


「まぁうちは両親から、冒険者となった後の活動を考えて行動するようにって耳にタコができるくらいに言われたからね」


 剣道をやっていた経験は本当に役に立って、俺の活動の助けになっていると感じている。剣道の技を使わなかったらもっと苦戦してただろうな。


「いいご両親っすね。うちは『高校だけは絶対に行け』って言って聞かなくて。結局説得できなくて、高校に通うことになったんっすよね」


「うちも説得というか、さっき言った通りに行動しないと冒険者登録をするための親の承諾をしないって言われてたからな。

 言葉での説得ではなく、行動で示し続けることが必要だったってだけだよ」


「そんな簡単なことじゃないっすよね」


「それで他に聞きたいことはある?」


「性格とか人となりは瀬奈ちゃんからバッチリ聞いてるっす。

 逆に、祐也さんの方から自分に聞きたいことはないっすか?」


 何を聞こうかな。まぁ聞かれたことは聞いていいだろう。


「じゃあまず今は何層まで進んでるの?」


「第3層で苦戦したから、今は第2層でレベル上げ中っす」


「スキルは戦闘系じゃないのか?」


「自分のスキルは『運搬』っす。いわゆるポーター向きってやつなんっすよね……」


 ポーター! いいじゃん!


「運搬か。今どれくらい持って移動できるんだ?」


「正確なところは自分でもよく分かってないっす。今のところ、持てなくて困ったことはないっすね」


「最大でミニポニーを何体持った事ある?」


「5体までは持ったことあるけど、全然余裕だったっすよ。

 重さっていうより、どっちかっていうと大きさとバランスの方が大変って感じっすかね」


 なるほど。少なくとも俺よりは持てるな。


「十分だな。戦闘はどうやってるんだ?」


「盾と棍棒っす! 剣とかはちゃんと当てないと斬れないって聞くじゃないっすか。

 棍棒なら、とりあえず当てるだけでいいっすからね!」


「確かに、初心者は剣を持つよりも棍棒の方がいいだろうな」


 まぁパーティーを組んだとしても戦闘は俺がメインでやるから、自分の身を守ってもらえれば十分なんだよな。

 ポーターとしての活躍だけを期待したい。

 でも、それだと俺だけ強くなっていくからどこかでパーティー解散って形になるんだよな。

 うーん。


「何か悩んでんの?」


「ポーターとしてパーティーを組むなら大歓迎なんだけど、それだと稲垣さんのレベルが上がらないだろ?

 それをどうにかならないかなって。高校卒業後は冒険者専業でやっていきたいんだろうし、それを見据えて考えるとレベルが上がらないのは致命的っていうか」


「パーティーを組んでくれるんっすか!?」


「それは問題ない。瀬奈の推薦だしな。ただ、レベル上げについては問題なんだよな」


「経験値は戦闘の貢献度に応じてもらえるって言うっすよね。

 でも第5層のモンスター相手だと、私が攻撃しても大したダメージは与えられないと思うっすよ……」


「それだと経験値が全然稲垣さんに入らないよな」


「そうなの?」


「そうなのって、瀬奈でも知ってるだろ。戦闘における経験値の配分についての貢献度説ってやつ」


「知ってるけどさ。祐也、ちょっとこっち来て」


「なんだ?」


 瀬奈に手招きされて部屋の隅に向かう。


「どうした?」


「まだかおりんにスキルのことは話したくないんでしょ? 聞かれない方がいいかなって配慮したんだけど」


「まぁまだ話せないかなとは思ってるけど。で、聞かれない方がいいことって何だ?」


「祐也はレベル上限でしょ? ってことは経験値も入らないんじゃない?

 それならかおりんがほんの僅かでも戦闘に参加したら、経験値は全部かおりんに入るんじゃない?」


「……なるほど。可能性はあるな」


「でしょ? まぁ戦闘参加っていうのがどれくらいなのかは分からないけど」


「試してみるしかないな。それこそ石を投げて当たればOKかもしれないし」


「じゃあパーティー結成ってことでいい?」


「稲垣さんがいいならな」


「りょーかい。

 かおりーん! パーティー組んでくれるってさー!」


「本当っすか!? ありがとうっす! 助かるっす!」


「とりあえず、今週末に一緒にダンジョンに行こう。それで上手く行けばそのまま継続ってことで」


「ありがとうございます! 全力で頑張るっす!」


「気負いすぎるなよ」


「じゃあ結成祝いでお菓子でも食べようか。昨日作っておいたクッキーあるよ」



 ポーターが入ったらどう変わるかな。週末が楽しみだ。

 まぁその前に、第6層に1人で挑まなきゃな!


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