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フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第1章:ダンジョンとスキル

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24話:第6層

 第5層のバンブーポニーとバンブーベアをなんとか倒した翌日。

 今日は第6層へ挑む。


 昨日の感じだと第6層は無理かもしれないけど、挑戦しないという選択肢はない。

 やばかったら逃げよう。



 第5層までと同じように第6層に向かって進んでいく。

 そういえば、同じ時間にダンジョンに入っていく冒険者の先輩たちはどこまで行くのだろうか。

 奥羽ダンジョンでの最高到達階層は19階層だったが、そこまでいくと往復に時間がかかるから泊まり込みだろう。

 それなら10階層前後かな。



 先を歩く先輩たちを見ながら階段を降りていくと、いよいよ第6層に到着した。

 階段を降りた先に広がるのは、一面の黄金色の絨毯。

 そう、第6層は水田が広がっているのだ。


 草原は階段付近だけで、遠くまで稲穂しか見えない。

 他の階層だと遠くには山が見えたが、そんな山も見えない。

 これだけ稲穂があるので、奥羽ダンジョンではここで米を収穫する人もいるらしい。


 そんな水田が広がる第6層には、第4層第5層とは異なるモンスターが生息している。

 2階層ごとにモンスターが変わるのは他のダンジョンと同じだ。




 剣を鞘から抜き出し、いつでも戦闘に入れるように準備をして水田の中へ進んでいく。

 草原に近い水田の中は水が無く、乾いた地面となっているが、徐々に地面は水分が増えていく。

 足場が悪いので戦闘がとてもやりにくそうだ。


 ベチャッ、ベチャッ


 慎重に進んでいくと水田の奥から泥の中を歩くような音が聞こえてくる。

 しばらくすると奥から1体の茶色い馬が現れた。

 これが第6層に生息する馬系モンスターのマッドホースか。


 ベチャチャッ! ズバァッ!


 剣を握り直して構えていると、こちらを認めたマッドホースが泥水を激しく跳ね上げながら迫ってくる。

 俺は正面から迎え撃ち、まずはその衝撃を剣の腹で真っ向から受け止めた。


 ガンッ!


 重い! だがこの衝撃は利用できる。

 俺は剣から伝わる圧力を右足の踏ん張りに変え、弾かれる勢いのまま左回りに鋭く一回転した。

 ぬかるんだ地面もあって、スケートのように思ったよりもスムーズに回る。

 バンブーポニーも仕留めた、遠心力を乗せた回転斬りを放つ。


 ズリュッ!


 !?


 手応えがない。

 吸い込まれるように放たれた刃が、マッドホースの体表を覆う泥の汗に触れた瞬間、プール掃除の時に底に溜まったヌルヌルの上で滑ったみたいに、刃筋がヌルリと滑ったのだ。

 斬撃のエネルギーは泥の層に受け流され、硬い皮に届く前に空を切る。


 マッドホースの攻撃は凌げるが攻撃が通じないのか?

 体勢を整えようとするが、足元はぬかるみ、体勢が安定しない。

 あの泥の汗は厄介だが、この環境も厄介だ。


 俺は反転し、通ってきた乾いた地面を目指して走り出した。

 そこならもう少し戦いやすいだろう。


 背後からマッドホースの泥を駆ける足音が迫る。

 走りながらも、俺は何度もマッドホースの攻撃を受け止め、その衝撃を活かした回転斬りのカウンターを試みた。


 だが、何度やっても結果は同じだった。

 ヌチャッ

 渾身の刃筋は何度やっても粘り気のある泥の汗によって軌道を狂わされた。

 これまでの技は標的に刃が立つことが前提だった。

 だが、この泥の防壁の前では、鋭い技術は意味をなさないようだ。


 必死の思いで泥地を抜け、乾いた地面へと転がり込む。


 素早く反転して追ってくるマッドホースを待ち構えるが、マッドホースは追ってこなかった。

 マッドホースは不満げに前足で泥を蹴っている。ホームグラウンドから出られない不自由さと、獲物を逃したことで苛立っているのだろうか。

 ネットの情報では、マッドホースは泥の無い所には来ないと言われていたが、その情報は正しかったようだ。

 泥の汗に必要そうな水分を失うことを嫌い、泥の領域から出られないのだろうか。



 このまま戦っても攻撃は通じない。

 俺は剣を中段に構えたまま、ジリジリと後ずさりして距離を取る。

 一歩、また一歩。

 一定の距離を取ると、マッドホースはこちらへの興味を無くしたのか、軽やかに奥に消えていった。

 俺は剣を地面に突き刺して、泥にまみれた自分の身体を見つめながら大きく息を吐き出した。




 息を整えた後に地上へと戻ってきた。

 ロッカールームに併設されているシャワールームで身体と服の泥を落とし、ロッカールームに置いていた洋服に着替える。


 さて、ここからどうするか。

 マッドホースに攻撃が通用しない以上、第6層に挑み続ける意味が無い。

 必要なのは強力な一撃を与えるための力の強さと、それを放てる技術力だ。


 技術力については、カウンターを気にせずにやれば思い切り上段から振り下ろせばいけるはずだ。

 剣道のキレイで鋭い攻撃ではなく、体重を乗せて叩きつけるようにすればいい。イメージはある。


 それよりも力の強さだ。

 そのためにはレベル上げといきたい所だが、俺の場合はAbsorbスキルによる強化しかない。

 ということは、奥羽ダンジョン以外のモンスターの肉を食べるしかない。



 方針を決めた所で、受付に向かう。


「いらっしゃいませ。ご用件をお伺い致します」


「他のダンジョンのモンスターの肉を取り寄せることはできますか?」


「はい、在庫があれば取り寄せは可能です。

 指定した場所への配送も可能ですが、いかがしましょうか?」


 自宅に運んでもらえるなら楽だな。

 どうせ瀬奈に調理してもらうんだから。


「じゃあ自宅へお願いしたいです」


「かしこまりました。冒険者カードをご提示下さい。

 また、取り寄せるものと量をご指定下さい」


 うーん、どこがいいかな。

 日本国内にある他のダンジョンは、北海道ダンジョン、富士山ダンジョン、中部地方の飛騨ダンジョン、関西の紀伊ダンジョン、九州の九州ダンジョン。

 遠いダンジョンだと取り寄せに時間がかかりそうだけど、近いダンジョンはそのうち行くかもしれないしな……

 あとはそれぞれのダンジョンにいるモンスターの系統が違うからな……


 よし! 食べたいもので行こう!


「飛騨ダンジョンの第2層にいるミニバイソンの肉を1体分、取り寄せをお願いします。

 あと、ミニバイソンの心臓と肝臓は取り寄せ可能ですか?」


「少々お待ちください。

 ……取り扱いは肉のみになります。お届けは3日後、5kgで送料込み6,000円になりますがよろしいでしょうか?」


「それなら15kg分でお願いします。

 支払いは冒険者カードに預けている分で」


 レバーとハツは無いか。

 まぁダンジョンネズミの時は肉だけで強くはなってたし、量については足りなくなったら取り寄せればいいか。

 これで強くなったらマッドホースに再挑戦だ。


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