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フードファイト・ダンジョン ~最高の食材とまだ見ぬ絶景を求めて最下層を目指します~  作者: 祐祐
第6章:上級配信者

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106話:遠征の成果?

「さて、前にお知らせした通り、紀伊ダンジョンからの配信は今日で最後です」



:2ヶ月近く紀伊ダンジョンだったからな

:寂しくな……らないな、配信終わるわけじゃないし

:この期間で何kgの肉を食べていたんだろうな

:焼肉ばかりだったから、ようやく妹さんの弁当を食べる所が見れるのか

:野菜食べてる? 栄養バランス大丈夫?

:19層の戦闘も見れて、とても参考になりました!

:他のダンジョンの中層の戦闘も是非配信して欲しいです!

:よく2ヶ月もダンジョンに潜り続けられるよな……

:外の宿に泊まってるって話を聞かないけどなんで?



「ダンジョンの外の宿に泊まらない理由だけど、この紀伊ダンジョンに来ているのは紀伊ダンジョンのモンスターの肉を食べるためだ。だけど、外の宿に泊まった場合、そこの調理場を借りたり、毎日数kgの肉を俺のために焼いてもらわなきゃ意味が無いんだけど、そんなわがままなお願いするのは流石に難しいだろ?」



:そんな客イヤかも……

:素泊まりにして、肉は庭で焼けば……いや、そんな匂いが宿中に広がるのはダメだな

:しかも夜食も食べてるみたいだし

:夜よりも朝の対応が面倒すぎる

:宿側としても食事付きで稼ぎたいだろう



 視聴者たちも理解してくれたようで、コメント欄も落ち着いたものが多い。


「帰ったら3日間休みにするし、その後は土日だから配信は無し。だから次の配信は1週間後になると思うから、その間は昼休みの時間をゆっくり過ごしてくれ」



:えっ……3日間……?

:2ヶ月休み無しだったのに、3日間しか休まないの?

:もっと休め!

:食ってれば強くなれるんだから、モンスターと戦わないで休め

:肉はたっぷりあるだろ……あるよな?

:ワーカホリックか

:社畜?

:ブラック企業?

:ブラック企業(1人社長)



「休み無しで配信はしてきたけど、胃袋が半分以上空いたら食事の準備を始めるようにしてたから、モンスターと戦ってる時間なんてそんなに多くないぞ。それにステータスが上がっているからか疲れにくくなってるし、18層のモンスター相手なら全力を出さずに倒せるし」



:起きてる時間の半分くらい食事してそう

:そんだけ食べてても太らないのは、やっぱり羨ましい……

:食べるために生きてる男

:そこまで食べるのが好きなら、もっとメニューとか味付けとかこだわったら?

:レベル上がると疲れにくいのは分かるけどさ

:疲れにくくなるのは分かるけど、限度ってものがあると思います!

:18層は余裕かー

:20層も行って欲しかったな



「20層は別世界だから、奥羽ダンジョン以外で20層まで行くつもりは無いよ。

 それじゃあ、また次回、1週間後の配信でー」



:おつー

:お疲れ

:遠征お疲れさん

:また紀伊ダンジョンに来てくれ

:次の遠征も楽しみにしてるぞー

:次の遠征決まったら教えてくれ

:次は是非富士山へ



 さて、長かった遠征も今日で終わりだ。

 昼過ぎだけど、今から出発すれば夜には家に帰れる予定だ。帰りも関空経由だし、空港でお土産も買っていかなきゃ。








「祐也さん、おはようっす」


「おはよう、かおりん」


 紀伊ダンジョンから帰ってきた週の土曜日。

 3日間の休暇を終えた後の、久々となる奥羽ダンジョンでの活動に向かう仙山線の車内でかおりんと合流した。


「2ヶ月ちょっと会ってなかったっすけど、チャットはしてたし配信のアーカイブも見てたから、あんまり久々感は無いっすね」


「文明の利器のおかげだな。そういえば、今週が期末テストだったよな。どうだった?」


「あー、そこそこだと思うっす。赤点で留年って事は無いはずっすよ。平日はちゃんと勉強してますから」


 偉いな。勉強なんて中学卒業してからしてないや。机には向かうけど、基本的にパソコンで何かする時だけだもんな。

 別に勉強が苦手なわけじゃないけど、冒険者になるために必要な最低限しかしてなかった。


「紀伊ダンジョンではどれだけ強くなったんすか?」


「どれだけか。モンスターは九州と同じで10層の1体分まで吸収したけど、マシンの重さはよく分からなくなったんだよな」


「分からなくなったって、どういう事っすか?」


「一昨日、いつものジムに調べに行ったんだけど、マシンの限界に到達しちゃってな。もうこれ以上量れなくなっちゃったんだよ」


「あれ? 確か祐也さんがお金を出して、めちゃくちゃ重いやつに対応したものを入れてもらったんでしたよね?」


「そうなんだけどな」


 これ以上量れないと言われたらどうしようもない。ジムの人と注文できるマシンを一緒に調べながら購入してもらったからな。少なくとも簡単に注文できる市販品だとこれ以上の重さには対応していない。


「じゃあ特注品でも用意するしかないんじゃないっすか?」


「特注品って。いくら掛かるんだろうな」


「いやいや、かなり稼いでるんすから、そこを気にする必要は無いでしょ」


「まぁな。でも特注品か。ジムで買ったマシンのメーカーに問い合わせてみるか」


「それでもいいっすけど、今後の事を考えたら悠斗さんに作ってもらったらいいんじゃないっすか?」


「悠斗に? 作れるのか?」


 あいつは鍛冶師で武器防具は作ってるけど、筋トレマシンなんて作れるのか?


「まぁ聞くだけ聞いてみたらいいんじゃないっすか」


「でも、作れたとしても置き場所が無いぞ? 素人の作ったものをジムに置いてもらえるとは思えないし……」


「家に置いたらいいんじゃないっすか?」


「うちは普通の家だぞ。そんなマシンを置ける部屋は無い。ただでさえ冷凍庫を買って場所をとってるのに、これ以上は無理だ」


 庭と出入りしやすい部屋に冷凍庫を置いて、そこに元々あったものを別の部屋に移動させた影響で、家の中にマシン部屋を作るような余裕は無い。


「庭にプレハブ小屋でも作ったらどうっすか?」


「解体するスペースが無くなるだろうから、瀬奈が反対するな」


 大きな肉をキッチンで部位ごとに切り分けるのは母が嫌がるんだよ。キッチンをメインで使うのは瀬奈だけど。


「うーん。じゃあ仙台入口の協会に置いてもらったらどうっすか?」


「いやいや、そんなの許可してくれるか?」


「所長さんに聞いてみるだけ聞いてみたらいいじゃないっすか」


 ……Absorbスキルの効果を確認するためにはマシンは必要だ。だが置き場所が無い。かなりの重さになるだろうから、普通の家じゃ床が抜ける可能性もある。

 そういう観点で考えると、ダンジョン入口の協会の建物はしっかりしてそうだ。

 でも、置かせてもらうメリットが向こうに無い。となると、場所代を俺が払う必要はあるだろう。

 ……場所代払えば置かせてくれるかも。そんなスペースは無いと言われたらそれまでだが。


「そうだな、ダンジョンに入る前に聞いてみる。その前に、悠斗に聞いておくか」


 スマホを取り出して、いつもの4人のチャットグループにメッセージを投げる。

 ティロン♪

 返信が早いな。まだ部活が始まる前かな。


『なんてオーダーだよ。まぁうちのメンバーの練習も兼ねて作らせるのは大丈夫なんじゃないか? 先生に許可はもらわなきゃだけど』


「OKっぽいな」


「それじゃあ、後は所長さんに聞くだけっすね」


 まぁ聞くだけタダだ。ダメ元で聞こう。

 ただ、ダメだった場合はどこに置けばいいんだ? どこかの空き地を買って、トレーラーハウスでも作ってそこに置くか? 今の貯金で買えるかは分からないんだよな。土地とかいくらだよ。







「は?」


 ダンジョン入口の協会へと到着すると、装備に着替える前に伊達さんへの面会を申し出た。

 受付さんも俺の顔をよく知っているので、すんなりと執務室へと通してくれる。

 そして、マシンの置き場所についての話を切り出したのだが、伊達さんはポカンとした表情を見せた。俺が話に来たから何かトラブルかと思って身構えていたんだろう。すみません、こんな内容で。


「……全く。何事かと思ったわよ。んー、そうねぇ……」


 まぁ許可するのは難しいよな。


「ねぇ。そのマシンってあなた以外の人が使ってもいいもの?」


「ん? んー、まぁ壊さないように使ってもらえるならいいですよ。私自身、使うのなんて数ヶ月に一度って所だと思いますし」


「じゃあさ、受付近くの待合スペースの一部を撤去して、そこにマシンを置く形でもいいかしら」


「そんな目立つ所に置くんですか?」


「嫌?」


「……まぁ目立つのは今さらだからいいんですけど、なんでそこなのかなって」


 マシンルーム的なものを作るなら分かるんだけど、どうして受付近くの人が多い所に置くんだろうか。


「他の冒険者たちにトップ冒険者の力を見せつけて欲しいのよ。そこを目標にしてもらいたいからね。あなたのモンスターとの戦いは配信で見られるけど、それでも普段彼らが倒すような10層前後のモンスターとの戦いを配信で流す事は無いでしょ?

 だからそこで、あなたが目の前でありえないような重さのマシンを持ち上げていたら凄さが分かるでしょう。あそこに辿り着きたいってモチベーションになるかもと思ってね。どうかしら?」


 まぁ使うのなんて数ヶ月に1度だから、マシンを使っている所を見られても構わないか。


「俺が優先的に使えるようにしてもらえるなら、それで問題ありません」


「じゃあそれで。マシンは本当に梶原君が作るの?」


「顧問の先生に確認をする必要はあるみたいですけど」


「じゃあ梶原君が作る事に決まったら、私から彼に連絡して納入方法とかは調整しておくわ」


「ありがとうございます」


「いいのよ。こっちにもメリットがありそうだから。それより、ちゃんと紀伊ダンジョンから帰ってきてくれて良かったわ」


 帰ってこないという選択肢は無いっての。


 さて、なんか思ったよりもいい感じになりそうだし、早速ダンジョンに潜りますか。

 夕方に帰ってきてから、悠斗にマシンの重さとか素材とか相談するとしよう。


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