開かれた一つの扉
「今から150年くらい前までの木恩の国は美香も分かるように神皇という君主がいて木恩の国を治めてたんだ。ところが、ある日尊考哲学というものが生まれたんだ。」
「あぁ、あの尊考政権の母体的な?」
「うん、尊考政権はその尊考思想を理念に掲げた政権だったんだよ。尊考哲学の提唱者は尊考大師という人物で彼は尊考思想、尊考教、尊考政権の中心人物なんだ。」
「尊考大師そのまんまの名前なの?」
「いやそれが、本名じゃないんだよ。実際彼はおよそ50年近くこの国を支配してきた尊考政権、尊考教、尊考国の代表者にも関わらず、彼に会えたのは側近中の側近だけだから本名も分からないし、尊考哲学はどのようにして成立したのかは謎のままなんだ。」
「えっ、秘密ってそれなの?」
「そうだよ。でもねその秘密はほんの一部に過ぎないんだ。尊考というという言葉は四字熟語の尊考切欲という言葉の略語なんだ。尊考切欲というのは読んで字のごとく、欲を切り捨てて考えることを尊重するという意味なんだ。」
「うん....その言葉自体今は無いよね?」
「そうだね。尊考欲切という言葉は今はもうない。共和国政府が使用を禁止しているからね。」
「使用を禁止してるの?なんで?」
「それは、反省するべき歴史を称賛する事になりかねないからなんだ。美香は尊考書って聞いたことある?」
「うん、ちょっとだけ。」
「尊考書の冒頭はこう書いてあるんだ。(我々、人類最大の課題は父母の欲から生誕することにある。かつて、父母の欲から生まれることしか選択肢がない時代は許されていたであろう。しかし、遺伝工学や生物学が発展した現在、考えることによって生誕することも可能である。)とね。」
「そんなのダメだよ。個性が無くなっちゃうし、それに愛が無くなっちゃうから....人が人ではなくなっちゃうよ。」
「美香最初は誰もがそう考えていたし、木恩の人たちの多くはまさかそのような思想をもつ人たちが政権を掌握するとも、そして私たちがその危険な団体を代表者に選ぶとも考えていなかった。しかし、当時の木恩国は余裕が無かった一面もある。木恩国は地域性が強いから企業などに統治を任せる藩制度があったんだ。でもね藩制度は木恩国内の地域格差を生んでしまった。それを問題視した杉志神皇は藩制度を廃止して、中央立憲君主制が採用したんだ。それで、国会が生まれたんだけど。それまで藩を統治して成り立っていた大企業が倒産したり、それまで裕福だった地域が活気が無くなったりと問題が発生したんだ。」
「だからって、私はそんな政権絶対に選びたくないよ。」
「美香当時の人々はそれを選ばざる負えなかった事情もあるんだ。」
続く




