092 ☉(▲) パパの行方 *
「 …… ほり …… 香穂里!」
声がして目を覚ませば、紗穂里の顔が視界に映った。
紗穂里は何故か安堵の表情をしている。
すぐには理解出来なくて困惑していれば、離れた所に紗穂里のママの顔が映り込む。
―― 我に返って、現実を知った。
周囲を見渡し、ここが紗穂里の家だということを知った。
どうして紗穂里の家に帰って来てしまっていたのかは、記憶に無い。
でも、確か道中で色んな人と出会った気がする。
しかし、私はパパを発見出来なかった。
それどころか、自宅に戻ることも出来なかった挙句、何の手掛かりも掴めないままボロボロになって帰宅したことになる。
「香穂里が黙って出て行く何て …… 凄く怖かった!!」
紗穂里がそんな言葉を私に吐いた。
その一言で、私は紗穂里の気持ちに気付く。
私が勝手に黙って出て行ってしまったから、紗穂里は私が家出をしたのではないかと思ったらしい。
もっとも、私はただパパの手掛かりを掴みたい一心で、死に物狂いで気配を絶ちながら行動していただけなのだが …… もしかしたら、このことで紗穂里を余計に心配させてしまったのかもしれない。
「…… ごめん」
私はそう答えながら体を起こした。
そして違和感に気付いて首元に触れる。首輪があるような違和感。
でも、そこには何も無かった。だけど、何だか苦しく感じる。
「どうかした?」
紗穂里が私にそう訊ねてくれた。だから正直に話す。
「何だか、苦しくて」
「何も無いわよ?」
私の背中側を覗き込んだ紗穂里のママが代わりに返答してくれた。紗穂里も頷いていることから、何も無いのだとは思う。
そして私は、何故か誰かに言われた言葉を思い出していた。
『炎神の核を持ちながら覚醒には程遠い者、か。属性神の中で最初に狙われた点では同情もするが、そもそも彼らの反撃は自身が創り出した悲劇なのだから仕方ない、そう思うことはないか?』
思わないことは無かった。むしろ、何となくは理解していた。
だからこそ、本来であれば自分だけでどうにかしなければならないことだと思って紗穂里の家を飛び出した訳で。
―― 核のことだって、無関係の紗穂里には話せない。
「うん …… きっと、疲れているのかもしれない」
私は2人にそう答えていた。
今はとにかく体を休めよう。それからゆっくり考えようと思った。
「そうね。お風呂は沸かしてあるから入って来たらどうかしら?」
「そうさせて頂きます」
紗穂里のママの言葉には、はっきりと答えられていた。
きっとまだ、パパを救い出す方法があるはずだ。
そうどこかで願いながら ――。




