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さくらは善か悪か(仮)・輪廻篇  作者: 葉月雷音
大襲撃からの焦燥感
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078 ⛩ 大襲撃に来訪者

 その晩は、妙に心がざわついていた。


 黒い仮面の集団が怪盗ホーリーの、香穂里の家を襲撃したらしい。

 必死で逃げ惑う怪盗ホーリーを見ていられなくなったお父さんの弟子達が立ちはだかったものの、その圧倒的な数の差で抜けられてしまったらしい。しかも1人1人の能力が異様に高く、弟子達のリーダーでも苦戦したという。

 そこに現れた、赤い怪盗ホーリーと同じ赤色のシスターが巨大な土壁を作って遮っている間に、怪盗ホーリーもそのシスターもどこかに消えてしまっていた。

 というのが、弟子達の報告から明らかになった。


 死神率いる黒い仮面の集団が怪盗ホーリーである香穂里を狙っていた理由は解らない。

 しかし、赤いシスターには心当たりがある。それはお父さんも同じだったのか、弟子達を部屋に帰した後で私に言う。


「初代の怪盗ホーリーのことをまとめたファイルを持って来て欲しい」


 それは今、私の部屋にあった。

 だから黙って頷いて、一度部屋に戻る。そしてすぐに引き返し、そのファイルを開きながらお父さんの前に出す。


 実は、香穂里の怪盗ホーリーは二代目。


 初代の怪盗ホーリーは2人組で、主に窃盗を働いていたのが魔女の方で、もう片方のシスターは引き付け役をやっていた。

 能力的には、魔女の方が攻撃特化で、シスターの方が補助特化。そんなシスターでも、かなりの術師だったと当時の記事には書かれてあった。


「相方が居たとは思わなかったな ……」


 私の心には、何かが引っかかっていた。それが何かは、()()()()()()

 だからこそ、お父さんには言えないと思って必死に衝動を抑え込む。


 紗穂里に送ったメールの返信はまだ来ていない。

 普段なら、例え漫画家の手伝いをしていてもすぐに返事をくれるのに、今もまだ着信は無かった。

 それでいて、香穂里をとても大切に思っている人と言ったら。


 —— 私は紗穂里しか思いつかない。


「千尋ちゃん、」


 不意に声をかけられて私は振り返る。

 それどころじゃない、と言おうとしてすぐに目を丸くした。


 声をかけてきた弟子のすぐ後ろに、何故か純が立っていたのだから。


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