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058 ☈ 能力大会・建前と現実②

「うおおおおおお ……」


 あまりの風圧で足元の短めの草が更に下に押し潰されている。(それも映像なのだが。)

 私もこれには身構えていたが、あまりの恐怖で集中出来ず、心の余裕なんて無かった。


 ほぼ上空で、紫のパンチと黄のパンチがぶつかっている。

 もっとも、実際には風圧を感じられなかったのだがその威圧だけで私は足を竦ませ、気付けば既に尻もちを付いている状況だった。


「あらあら」


 笑顔のまま咲九が2人を見上げている。


「結界、張っておいて良かったわね。無かったら風圧で死人が出ていたかも」

「今ので?! う、嘘だろ?!」

「こんなことで嘘ついてどうするのよ」


 呆れて返答した咲九には、全く嘘を付いている感じはしなかった。

 が、咲九はあまりにも平然と私の隣に立っている。どうやら咲九は慣れているらしい。


「まぁ、次の試合の方が面白いと思うけどね」

「というと?」

「この2人は接近戦ばかりしていたでしょう? それは魔力を飛ばすと距離を離されるほど威力が弱くなってしまうからなの。同時に広範囲ではあるのだけど、威力が弱いとダメージは少ない。その点、この2人は早急に試合を決めたい、という思いから接近戦で、威力をそのままダメージにすることを選んだ。要約すると、次の2人は戦うことが好きだから時間稼ぎの為にも距離を置くだろうね、ということ」

「なるほど」

「あと1つ教えておくと、転送されない程度に超弱い結界なら、今も私の周囲に張ってあるわ」


 なんて言って咲九は私を見て可愛らしく舌を出す。


「私も今のは怖かったみたいね」

「客観的に答えるなよ ……」


 思わず呆れて答えてしまったが、咲九もやはり怖いものは怖いのだと思った。


 良く見れば、咲九の足は少し震えていた気がする。


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