048 ⛩ 能力大会・前半戦①
一部の部活が楽しみにしていた『親善交流会』はあっという間に終わって、その次の週末の『超能力者決定対戦』の当日を迎えていた。
正式名称は "対戦" らしいが、先生たちも "能力大会" って略しちゃっているし。
早くも体操着や各々の修業時の服に着替え、それを終えた参加者が一堂に大聖堂に集まっている。
大聖堂と言っても、男子校と女子校の間くらい …… どちらかと言えば男子校側に近い場所の大聖堂で、通称もそのまんま "中央大聖堂" 。ただ、女子校側の大聖堂よりは小さく感じられた。
今日はここで選手宣誓をしてから、トーナメント表を男子・女子共に発表されることになっていた。
「何や参加者、結構おるんやなぁ」
いつの間にか、私のすぐ脇に居た普通の体操着姿の花菜子がそんなことを言っていた。
だから私は返答する。
「マンモス校だけど、ここまで参加が多いのは珍しいんじゃない?」
「珍しいよ」
そういう声がして2人で後ろを振り返れば赤黒の、若干ゴスロリ気味の魔女になった香穂里が立っていた。
昔と変わらない怪盗ホーリーの格好ではあったものの、流石にあの特徴的な赤いお面は付けていない。
まぁ、格好だけ見ればよくある魔女のコスプレ。
あまり気に留める者は少ないのだと思う。
それでも、校内でも有名人なら何で回りは気付かないのだろう、何て思っていたら、周囲に居た先輩方が余所余所しく香穂里に道を譲っていた。
「なんや、ただの炎使いやないの」
花菜子が挑発的な台詞を吐いていた。
が、流石に挑発には慣れているのか香穂里は冷静だった。
「初参加の千尋に教えてあげただけでしょ。貴方には言ってない」
「そりゃ失敬、失敬」
なんて答えた花菜子は、しかし相手にされなかった分、少し不貞腐れているようにも見えた。
しばらくして開会式は終わって発表されたものの、今年はやはり出場者が多かったらしい。
前方のトーナメント表に書かれた名前も小さすぎて誰も見つけることが出来なかった。
が、先生方も解っていたようで、グループ分けのプリントを一部に回してくれていた。
回ってきたプリントを見られたのは3人共に一瞬だったものの、香穂里曰く、私のグループに紫の名前があったらしい。
ちなみに、私はBグループに、花菜子はCグループに、香穂里はDグループに含まれていた。
「それじゃぁお互い、グループのトップになって勝負出来ることを楽しみにしているわ」
香穂里はそう言って1人だけ先に抜けて行った。
が、どうやらその言い方が気に食わなかったらしい。
花菜子が何故かずっと怒っていたので、私は思わず溜め息をついてしまっていた。
Bグループの試合会場に到着してチェックを受け、会場の中に入った。
幸運にもそこは女子校側の闘技場で、観客席には女子が多かった。
闘技場の内部は本格的な仕様で、観客席は3階建てになっていた。
もっとも、その3階席の客はかなり少ない。
既にトーナメント表は電光掲示板に映されているあたり、組み合わせは決まっていたのだろうと思われた。
「まさか最初から千尋と当たるとは、ね」
不意に声がして振り返れば、そこには紫が青色の、恐らくソーダ味と思われるコリコリ君片手に入って来たところだった。
紫は普通の体操着姿をしている。
「ま、程々に宜しゅう」
紫の強さは香穂里が良く知っていた。
開会式が始まるまでの間に、紫が去年の最終試合の相手だったらしいことを耳にしている。
花菜子は知っていたのかスルーしていたものの、私は意外な名前に少し驚きを隠せないでいた。
しかも、本気の勝負をしていたら香穂里では勝てなかったのではないか、何て去年の覇者の香穂里が言っていたのだから余計だった。
26/3/1 タイトル変更、前半1戦目①→前半戦①




