241 ☉(⛩☴▲) 円の思惑(閑話)
円は、まるで純を拒絶するかのように千尋らの元に降りて行く。
焦った私の忠告が届く前に、円は瞳の身体を千尋から奪い取ると、そのまますぐ隣の、少し高い位置のビルに身を移していた。
『 』
円に瞳が何かを言ったのだと思う。
そして、円は瞳の首筋に齧り付いていた。
純に軽く引っ張られて我に返り、私らも下に降りることにした。
その最中にも、瞳から魔力が奪われ、円に吸収されていくことが窺える。
ただ、瞳の術によって結界のようなモノがあったため、元から下に居た2人も近付けないでいた。
「近付ければ、呪術何て解除出来るのに……」
千尋の一言に悩んだ後に、私は返答する。
「円の顔の模様は呪術じゃないよ」
「じゃぁ、何なのよ?」
「禁術だと思う。それも、今までは死神様から魔力を蓄える器として円が利用された分を、円自身が勝手に使ってしまったから不足していて、それで禁術のあの模様が傷となって刻まれてしまったのだと思う。悪化した禁術の傷は、そう簡単には癒せないから……多分」
「円は瞳から魔力を奪って……何をする気なのかしら」
今度は純が質問した。
が、流石の私にもそこまでは解らない。――ただ。
「ねぇ、紗穂里。このあたりも、その内、さっきのブラックホールみたいになるんだよね?」
「え? あぁ、うん。でも、まだ時間はあると思うが……何で?」
「禁術の代償は行動範囲が狭まること。つまりは、円もここから動けなくなる可能性がある、ということでしょ?」
千尋が代わりに答えてくれたので頷き返す。
「だとしたら、円はもう敵では無い、ということね。私達が目指すのは遠距離に居る親玉なのだから」
「……そういうことには、なるけども」
『死神様の元には、行かせない!』
変質した円の声が聴こえて来た。
油断していただけに驚いて、全員揃って円を見上げる。
良く見れば、長いスカートの下から伸ばしたタコの足のような触手で顔を隠している。
でも、若干短くて顔まで届いていない。
あれが円だとは思えないくらいに下半身が巨大化し、スカートから露出してしまっていた。
『こんな惨めな姿、貴方方にだけは、見られたくありませんでしたわ』
答えた円が胸を押さえた。そして続ける。
『身体が、言うことを、聞かない……止めて、このまま、瞳を、殺したくは……!』
支離滅裂だった。
そんな間にも円の下半身だけが巨大化してゆく。
この場に居ては危険と判断した私は、千尋と紗穂里の腕を引っ張って注意を引いた。




