234 ☈ マジでヤバイ(閑話)
その晩は、過去に咲九が暮らしていたらしい洞窟の中で越すことになった。
襲撃が無くなっているとはいえ、念の為に交代で見張っていてくれるらしい。
有難く休ませてもらうことにした。
かなり昔、咲九に良く似た人物がある禁術を教えてくれたことがあった。
その為の代償は既に支払い終えていた故に、その術の全てを受け入れた私は、全てを知る代わりに最も大切なモノを失った。
そして輪廻して、記憶を封印して、何度も輪廻して、何度も記憶を封印して。
それでも、失ったモノが戻ってくることは無かった。
「それが代償。それが如月一族の背負った罪」
咲九はそう言ってニヤリと笑う。
「方式を生み出した罪は、それだけ大きいということ。禁術を使えば、その代償は襲ってくる。でも、その時は一生の終わり。私達は死んでも、生き続けても、二度と転生の輪には戻れない。だからこそ、その代償を利用するの。じゃないと、何の為に生きているのか見失うわよ?」
「(咲九……オレは……)」
皆には相談する余裕何てなかった。
まして "不死身の体" 何て言われても俄かには信じられなかった。
でも、言われてみれば、輪廻の影響を受ける結界の外側に居たはずの母さんが、電話越しの相手に年齢以上もの過去の話しをしていたことがあった。
しかも、それが実体験であったような口ぶりだったことを思い出す。
今だって、体を休められていても寝つけていない。
ただ凄く残念なことに、母さんの生死の心配よりも、今の自分が咲九の代わりに皆を導いている現状に興奮していた。
いつも繰り返してばかりいた所ではなく、その少し先の未来に居ることが胸をドキドキさせていた。
こんな経験、今までにしたことはなかった。
――私は、もしかして、今のこの現象を楽しんでいるのか?
居ても立っても居られなくなった私は体を起こしていた。
興奮しているのに、不安だった。
見張りが気付いて私を振り返るも、その途端に地面が揺れ始める。
あまりの地震の大きさに、周囲で眠っていた仲間まで目を覚ましていた。
中には慌てて外に出ようとする者も居る。
「これは、マジでヤバイ」
冷や汗を背中に掻きながらも、こんな嫌な揺れ方をしていた過去を思い出していた。




