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226 ▲ 本神の境界(閑話)

 森羅に言われるまま子猿の元に赴き、そこで守護神に課せられた最後の条件の答えを得ることが出来ていた。

 結局は、こういうことらしい。


『輪廻は、人によって戻る年月と繰り返す年月が違う。例えばボク達が4年戻って5年進んでも、千尋だけは同じ4年戻って7年進めたこともあった。共通することは、その戻る差が一緒というだけ。そしてその時に結界の中に居るか、外に居るかによっても差が出る、ということデショ』


 だから香穂里や私が回数を覚えていても、その微差と "世界の加護" によって全員が同じ回数を輪廻しているという訳ではないことになる。

 つまり、私達 属性神が同級生になれたのも偶然だったと言うしかなかった。


『世界を変える術の1つでもある時間を戻す術は大きな代償を担う。魂だけでは補い切れない――それが天帝の口癖だった。でも、それをやっている存在が居ることは、おかしいと思うデショ』


 それが気になって、神器を手にした今でも皆の元に戻れなかった。

 だからこうして本神の前に改まって正座している。


 黙っていた目前の子猿が目を開けた。


『代償とは何か? どうやって輪廻を起こしているのか?』

『説は色々ある』


 子猿は溜め息と共に答えてくれた。


『だから、どれが真実なのかは僕でも解らない。そもそも輪廻の術は禁術の1つとされていて、それこそが如月家……君の本当の母親の家系で研究されていた内容でもあった。が、如月家はこの禁術を敢えて書面という形では残さなかった』

『……つまり?』


『それだけ誰でも応用しやすい術だった、ということなのではないかと僕は思っている。誰でも使えてしまうということは、誰でも過去に戻ることが出来るということ。しかし、それでは誰でも過去を改変出来てしまうことになる。その結果、過去にとっての未来に当たる現在がどうなるのか――そこまでは実際にやってみないと解らない。その改変されてしまうことが代償なのではないか、とも思うが、それも僕の想像であって正答とは限らない』

『結局は代償も方法も解らない、と』


『そう。その如月家だって口伝えで残されているだけだから、その内容を教えてもらっていなければ例え血族だったとしても解らないだろう。それに、その口伝えにも代償があるらしい。だから代償に関する覚悟を決めた者にしか、その真実を知ることは出来ないようだよ』


『その口伝えの代償は?』

『そこまでは僕も解らないし、その内容自体も儀式の内に含まれるらしいね』


 ――つまり、引き継がれた者以外は誰も何も解らないということ。


 私は思い切り溜め息をついてしまっていた。


 思い出した記憶の中にも輪廻に関することは書かれていない。

 それどころか、輪廻の内容なのに "輪廻" という単語自体、存在してはいなかった。


 ここに来れば何か解るかもしれない、そう思ってみたものの、条件の解答が出ても嬉しく思えなかった。


 ——これが、恐らくは "課題"。


『それよりも、早く仲間の元に戻らなくて良いのかい?』


 言われなくても、つい先ほど、風見さんが適度な食材を確保してから結界を守る千尋の元に戻ったことは気付いていたし、私もそろそろ戻らないといけないことは解っていた。


『君とも、これでお別れだね』

『完全なお別れにはならないさ』


 子猿は答え、笑顔を見せた。


『学園の境界が消えても、分離してあるココは決して消えることはない。わざわざそのように閻魔が作ってくれたのだから』


 ――閻魔?


 疑問が浮かんだものの、子猿はそれ以上、答えてくれそうには思えなかった。

 ……なので、今回は諦めることにする。


『帰って来られたら、教えてくれるか?』

『その時までには考えておくよ』


 そう答えてくれたことで、子猿との再会が楽しみに思えて来る。


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