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225 ⛩ 世界と神器

 この世界には、いくつもの世界があった。


 時間という力が作用する世界、

 無限という力が作用する世界、

 その2つの間にある世界や、

 魂が帰る世界や、

 生命が創り出した世界までも。


 昔から、もう数えることさえ出来ない過去からいくつも存在する。


 故に、最初がどこから始まったのか、最後がどこになるのか、何ていうことは神であっても誰も知りえなかった。


 だが、元祖神器だけは知っていたと言われている。

 その神器を使えば、世界そのものを変化させることが出来るということは、何となくでも誰もが解っていた。


 しかし、その代償は計り知れない。

 まして本来の持ち主である天帝さえも、その神器だけは決して使ってはいけないと言っていたほどだった。


 その神器の核を分解して封じた内の1つが、私が扱っているこの "免除の朱" と名付けられた小さな半透明の壺だった。

 天界での役割は、呪術によって受けた呪いの関係を絶つこと。攻撃力はほぼ無い。


 しかし、この壺自体は攻撃を通す代わりに、その無限にも近い魔力を水に変える能力を持っている。



 今はその魔力を使って、守護神の結界の内側に私が巨大な水の結界を生み出していた。




 純と香穂里の目覚めは予想より早かったものの、決して時間に余裕がある訳ではない。


「お待たせ!」


 最初に飛び込んで来たのは香穂里だった。

 しかも、私達の結界を越えて来る黒い仮面の1匹を、早くもその神器を使って殴りに行ってくれている。


 炎神の神器は、"死者の()" と名付けられている巨大な筆だった。

 本来は地神の神器・神羅の書に魂の固有能力を記載することで封印し、魂が転生したらその書から固有能力を具現化するという役割がある。

 しかし、今はそれを振り回して筆毛の代わりの炎で黒い仮面を消し墨にしてくれている。


「神句一閃!」


 その言葉と共に目前の黒い仮面が粉砕される。

 結界の維持のために振り返れないまでも、そこに居るのが純だということは解った。


『ありがとう、純』


 テレパシーに込めた一言。

 純はそっと私の背中に触れてくれる。


『眠っている間、この境界を守ってくれてありがとう。色々と話ししたい……けど、今は結界に集中して。千尋のことは、私が守るから』


 そう答えて純はその手を離し、恐らく死角から近付いてきていただろう黒い仮面の1匹を倒す。


 風神の神器は、”過去の呪"。

 普段は剣の形をしていながらも、魂を牽制する時だけ杭の形になるらしい。しかし、その瞬間は風神にしか見ることは出来ないと言われている。

 実際に付き合いの長い過去の水神でも見たことはなかった。



 これらが1つになった時、四大神を封じることも出来る特殊な神器に変化する。

 しかし、それはこれらの神器だけではまだ不足していて完全とは言えなかった。


 それに、肝心の紗穂里がここに来ていなかった。


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