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223 ☉(▲) 神器を迎えに④

 過去の如月が誘った場所は、大聖堂の中にあるようだった。


 扉を開き、中央あたりまで進む。

 気配は真上から感じられたので向けば、既に所持していた "死者の守" が小さく動いて反応を示していた。


「流石は如月――紗穂里が自力でここに来られないことまで先読みしていた、か」


 天井に一部があるらしい "神羅の書" の気配に向けて、私の "死者の守" を向ける。

 すると、"死者の守" の時と同様に風景が変化した。


 しかし、本体らしき姿は見当たらない。


 ――見当たらない? ……違う!!


 私は、その感覚だけでその場から身を逸らした。

 一瞬だけ歪んで見えた空気砲のようなソレは、すぐに風景に馴染んで見えなくなってしまう。


 "森羅の書" は、"守る" ではなく "囲う" 性質。

 つまり、この空間そのものが "森羅の書" の本体なのだろうと感じていた。


 もっとも、性質を知っているからこその予想であって、何も知らずに来たら解らないかもしれない。

 まして、"死者の守" よりも対話で答えてくれるような相手でもない。


 来たのが紗穂里だったら一瞬で追い出されている気がした。


 それでも、私は応えることにした。


『私を試しながらでも構わないから、聞いて欲しい! 紗穂里は、地神は今、目の前に広がる現実を受け入れられないで苦しんでいる! 私も皆も、それを解っていても、自分達のことで手いっぱいで、紗穂里に何も教えてあげることが出来ていないのが、現状だ!』


 空気砲は1回に1個しか出せないのか、何度かやってきては、私が何度も避けていた。

 それに触れたら元の世界に戻されてしまうことは、何となく解っている。


 でも、それでも今、ここで紗穂里の現状を伝えておかないといけない気がした。


『紗穂里が苦しむ今だからこそ、アンタが必要だと私は思う。結局は、私ではあの子を苦しみから救ってあげることは出来ない……記憶も自覚も、それらを真実だと伝えられるアンタじゃないと、ダメなんだよ!!』


 しかし、惜しくもそこで被弾してしまったらしい。

 一気に現実に戻されたのか、先程までの草原の風景は消えてしまっていた。


 ただただ、大聖堂の静寂が私に突き刺さっている。


「くそっ!!」


 私は椅子に奴当たる。

 それでもただ手が痛いだけで、何も変わらなかった。


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