218 ▲ 千尋の為に⑤(閑話)
香穂里が魔法陣の結界、上空から何故か飛び出して来る。
それを偶然にも戻って来てすぐに発見した私は慌てて結界上部に跳び上がり、香穂里の腕をキャッチした。
その直後に結界が消え、結界の中で広げられていたらしい暴風が上空に舞い上がってきたため、私まで巻き込まれてしまう。
その中で千尋を必死に抱える風見さんに気付き、その2人をも救おうと岩の足場を創った。
が、あまりの暴風で足場は崩れ、暴風も無くなった影響で校庭に真っ逆さま。
結果、私達は守護神とその使い魔達に助けられる形になった。
――嗚呼、情けない。
そんな日から数日が経っても、3人は一向に目覚める気配が無かった。
不安と心配で付きっきりだった私の元に守護神がやって来る。
その手には歪な形のパン……らしきモノが入ったビニール袋が握られていた。
「パン……?」
『手作りだから味は保証しないけど』
「何も無いよりは、マシです」
お腹は異様なほど空いていた。
そのせいか、貰ったパンが凄く美味しく感じられた。
まるで自分が乞食にでもなったような気分。
でも、それで不安が解消された訳ではなかった。
『遠くで見ていた本神は、術式自体は大成功だったと言っていたわ。ただし、術者の魔力が足りなかったのだろうと。尤も、脈を計っても死んではいないことからも、魔力の消耗が激しかった所為で目覚めていないだけだと思うわ』
「でも、あれから一度も、誰も目覚めない……」
『……ここは、私が交代するわ。貴方は、貴方がやらなければならないことをやりなさい』
次の条件は出されていた。
内容もそれほど難しいことではない――とは思う。
でも、不安だった。
私一人残されてしまったのではないかと思うだけで、胸が押し潰されそうだった。




