214 ⛩☈ 凶夢の終わり *
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⛩ 視点
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さっきまで一緒に居た他2人の魂の気配が途端に消えた。
安堵と共に一気に眠気が増していた私は、最後に邪乃丸に言われた言葉が気になって呟いてみる。
「水神は、孤高なる弓。常に弦を張る存在」
きっと、今はまだ、寝てはいけないのだと思った。
しかし、睡魔には勝てそうにもない。
身を任せるように、そのまま深い深い眠りに堕ちてゆく。
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☈ 視点
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「やっと始まったか」
空がやっと光り始めて安堵し、私はポケットから宮本の本来の魂と水神の神器を取り出した。
その宮本の魂もまた、空と同じように光っている。
まるでゆっくりと呼吸に合わせるかのように強弱の点滅をしていた。
「しかしこのままだと、目覚めるのは "裏側" だろうな」
『でしょうね』
誰だか解らない相手が返答をしてくれた。
私は失笑を返しながら答える。
「果たして、オレはここから出られるのかね?」
『君なら大丈夫。でも、君の身体は地界にしか戻せない。だから、境界からの脱出は他の4人の力に賭けるしかないよ』
「なるほどね。で? その勝算は?」
『五分五分』
「だろうなぁ」
解っていた答えを言われてしまっては、私としてもそれ以上、言葉にはならない。
もっとも、咲九が少しずつ変えて来た過去に比べたら割合マシな方かもしれないが。
『4人を信じて待てば良い』
そう。それしか私に出来ることは残されていなかった。
「それよりも……オレは、これからどうなるんだ?」
私の足は既に消えかかっていた。
そこにあるはずの手も、私には感覚があっても消えてしまっている。
勝算を聞いたあたりで宮本の大切な2つをポケットに戻していて良かった、何て安堵しながらも、このままではその2つもここに放置していかなくてはならないのではないか、などという不安に襲われていた。
……いや、それ以上に、自分は一体どうなるのだろうか。
「自分のことが二の次に感じるようになったということは、無意識に神に近付いている証拠なのかね?」
もっとも、聞いたところで相手も解らないかもしれない。
ここで消えたら、私は一生、この中を漂い続けることになる。
転生も輪廻もすることなく、ただただ、意志もなく漂うだけの魔力の源。
それはそれで、何も考えなくては良いという点では有りなのかもしれない。
でも、まだ全てが終わった訳じゃない。
だから、咲九の言っていた "全て" を見届けるまでは生きていたいと切に願った。




