210 ☈(⛩) 舟山の未来図(閑話)
宮本の攻撃を背中に受けながらも結界を突破した私は、同じく結界突破に手古摺る宮本を背にして森の内部へと進んだ。
舟山の森に似ているものの、空気や雰囲気は異なる。
山を登らない程度に迂回していたら、唐突に開けた場所に出ていた。
何かの研究施設なのか、工事途中の重機が無造作に放置されている。
入って来た方向と感覚だけで言えば、ここは山神の里側の敷地に当たるのだろうか。
「そう言えば、前に咲九が言っていたっけ――山神を主体とした大学が建設される予定とか、海外の白雲運河が関わる研究が行われているとか」
そう呟いてから、私は気配で察し、今回ばかりは背後からの攻撃を避けた。
さっきまで居た砂の上に浅めの穴が空く。
そして、その砂煙の後方からやって来る、嗤う宮本の姿を視線で捕えた。
「まぁ、そんなこと、今はどうでも良いけどな」
自分にそう言い聞かせながらも、宮本の放ついくつかの魔弾を避け、結界を張りながらも距離をとる。
一方、宮本は凄い勢いで私に近付きつつあった。
しかし、ここはもう宮本の理想の中ではない。
理想の中の主ではない限り、つまりその区域の守護神ではない限り、その区域から無限に得られる魔力の供給は無いことになる。
まして、私を含めた舟山の守護神らのように、何人もの守護神で広大な土地を守っている訳ではない宮本では限度が見えていた。
もっとも、私もこの供給がいつまで続けられるのか定かではないものの、ここは舟山だろうという憶測だけで、この場所に自身の勝ちを賭けようとしている。
「その魔力――いつまで保てるか、勝負だな」
その一言で興奮したのか、宮本が狂喜の表情に歪ませながらも、魔力で造っていた氷の剣で襲って来る。
それを神器で受け止めつつ、跳ね返して距離をとる。
が、その間も無く宮本は剣をこちらに投げて来ていた。
自身に張っていた結界があったから救われたものの、無ければ致命傷は避けられなかっただろうと思い描きつつ、自身の神器から雷撃を放つ。
――長い戦いになるだろうと素直に感じた。




