表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
201/254

201 ⛩ 凶夢③ *

 私は学校を破壊して回った。

 もしかしたら、破壊した中にネックレスがあったかもしれない。


 でも、そんなことはもう、どうでも良かった。


 モノだけではなく、出会った人も破壊した。

 どうせ私を愚弄する人達なのだから。


 全て消えてしまえば良いと思った。


 ――壊すのは、楽しい?


 不意にそんな言葉が聴こえた気がして立ち止まった。

 周囲を見回しても誰も居ない。


『誰っ?!』


 しかし返事は無かった。

 不思議に思いつつも、警戒して一歩を踏み出してみる。


 ――君が暴れる限り、誰も君を理解してくれない。


 理解されなくて良かった。

 そもそも、理解されなくても良いと思っている。


 私の理解者は家族だけで良い。


 だけど、どうしてだろう。

 思い出したその中に私と同じくらいの女の子の姿があった。


 その子が必死で何かを訴えている。


『貴方が理解してくれても、他の人は誰も認めてくれないから』


 そう答えて切り捨てる。


 それに、お兄ちゃんが居ない世界何て本当にどうでも良かった。

 お兄ちゃんを見殺しにしたこんな世界何て消えてしまえば良い。


 ――見殺しにしたのは君自身でしょ?


「さっきっから、うざいなあ!!」


 私は声を張り上げた。


 廊下中に響き渡った声が更に私の苛立ちを募らせる。

 だから、思い切り壁を蹴って穴を開けてやった。


 足をその穴から戻しつつ、怒鳴って答えてやる。


「アンタのことも壊してやるから出て来いよ!」


 返事は無かった。そのことが更に苛立って、私は壁を、人を、ドアを、あらゆるモノを破壊する。どうせ出て来ないくらいの小心者がほざいているのだろうと思っていた。


『なるほど、こうやって現れるのか』


 訳の解らないことをほざいた女が目の前に突如、現れる。


 それを間髪入れずにグーで殴ろうとした。

 が、その女は私の拳を掴み、あろうことかその腕を軸にして私を床に捻り潰してしまう。

 更に、女は私の上腕筋を足で踏みつけて来る。


「何者だよ?!」

『君と同じ、死人だよ。でも、君と違って現実を見ているけど』


 言われて、更に腹が立った私はその女の足をもう片方の空いていた手で掴んだ。

 そして同じようにしてやろうとしたものの、その女の圧力に負けてしまう。


 悔しくて全魔力を込めてみたものの、その女には敵いそうにもない。


『君は本当に自分のことを死人だと思っているようだけど、別に君、死んだ訳でも、生まれながらに死んでいた訳でも無いよ?』

「うざい……」


 お説教なら聞き飽きた。私は無視を決めつける。


『君はまだ生きている。確かに尋雪さんは亡くなってしまったけど、君はまだ生きているのだよ。尋雪さんの分も生きて、この生を楽しもうとは思わない?』

「楽しく何て、ないよ」


 無視しようとした気持ちに反して私はそう答えてしまっていた。


 答えてから、しまった!と気付く。


 しかし、少しばかり遅かった。


『それは楽しくないと思い込んでいるからだよ。君は現に "破壊する" という "今" を楽しんでいるじゃないか』

「・・・」

『無視しようとしても無駄だよ』


 そう言った女は私への圧を強くした。


 動かせない体が悔しいと思った。

 痛いのに対抗出来なかった。


『痛さを感じる。悔しいと思う。それは "今も" 生きている証拠。死んでいたら "破壊" 出来ないし、"悔しい" という感情さえも失う。それが死後の世界。真の地獄。それに、そんなことを言ったら純が泣くよ?』


「じゅん……」


 その単語はやけに心に響いていた。


 どうしてなのかは、まだちょっと思い出せそうにも無い。

 だけど、家族に混じっていた女の子のことだと直感した。


『お迎えが来たらちゃんと帰りなよ?』


 そう言って女は煙のように消えてしまった。

 途端に圧も無くなってしまう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ