200 ☴ 風神なりの覚悟
2人の会話内容までは解らなかったものの、見える範囲に永瀬さんと岸間さんが居ることは解っていた。
だけど、私はまだあの2人にも追い付いてはいない。
だから声をかける訳にはいかなかった。
『……いい加減、諦めてよ』
もう1人の私が呟いた。
でも、私は瞑想を続ける。
『どうしてそこまで……』
『助けたい人が居るから』
私は答えながら、再度助けたい人達のことを思い描く。
千尋を助けたい。それは絶対の目標。
その次に、兄上と貴。きっと操られているだけだから。
それ以外にも、お世話になったたくさんの人々を助けたい。
『それが私の願いだから。私だけが眠れる世界なんて、寂しいから』
『・・・』
『貴方だって、独りで寂しいから話しかけてくれるのでしょう?』
『・・・』
『温かい春の日差しの下で、兄上と貴と、原っぱの上で寝ていたことがあるの。3人揃って、まるでこいのぼりみたいだって笑い合って。私は、またそんな経験をしたいのよ』
不意に、胸元がポッと温かくなった。
もう2人の気配は遠くに行ってしまったものの、私のその胸元は次第に熱くなってゆく。
『それが私の望む未来なら……私も私と共に、少しだけ頑張ってみようと思う』
そう答えた私がその熱い部分に手を触れると、中から自然と小さな欠片が現れていた。
それが元から心臓に付いていた核だと、しかし、今までずっと不足していた部分だと瞬時に悟る。
「これが……最後の1つ……?」
何故かは解らなかったものの、そこには不思議と安堵感しか無かった。




