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186 ☈ 瘴気の違い(閑話) *

前半は「単語は似ているけど同じ物質じゃないよ」ってだけの説明なので、改行長い箇所から読んでも大丈夫です。

何年も悩んだけど上手く短縮できなかった部分なんです。


「……さて」


 そう言って私は階段を1段だけ降りて見る。

 特に変な気配は無かったものの、この中に宮本を入れたら大変なことになる可能性はありそうだった。


 仕方ない、そう思いながら3人を振り返る。


「この瘴気、何だか解るか? 風見」

「これは、神毒? だとしたら、私達には効果が無いはずだけど……」

「惜しい」

「なら濃いめの瘴気?」


 と答えた風見が頭を傾げた。


「濃い瘴気はダメで、同じ性質の神毒は大丈夫って、おかしいわ!」

「つまり?」

「同じ性質でもモノが違うということ?」


 紗穂の一言に私は大きく頷いた。


「そう。神毒は化学的に加工された、つまり何かと合成された瘴気だから、実際の瘴気は薄い、ということ。だからあまり問題は無かった」

「でも、これは瘴気が濃いモノよ」


 風見の一言に頷き返しながら地下の奥を見る。


「この中をどうやって……」

「さっきお前、自分で言ってただろ?」


 呆れながらもヒントを出す。


「瘴気ということは、お前の兄貴の指示で地下が瘴気で満たされた(こうなった)訳だろ? つまり、ここを通ることは既に相手にバレてるんだ。女子校側だけが炎上されたのも頷ける。だとしたら?」

「中央の大聖堂に行けばいいのか!」


 そう答えてくれたのは紗穂だった。

 岸間も風見も驚いた顔をして紗穂を見ている。


「さっき風見さん、自分で言っていたデショ? 中央の大聖堂にも地下がある、と。そこも、もしかしたら境界に繋がっているかもしれない、そういうことデショ?」

「そういうこと」


 そう答えながらも3人を安全な方向に押し出し、私自身も元の位置に戻る。


「扉は一方通行でも、何も1ヶ所とは限らないからな」

「でもさ、永瀬。それって、逆に言えば境界の中に既に敵が居る可能性があるんじゃ……」

「可能性はあるだろうが……それを不安に思ってたら先に進めないだろ」


 答えながらも私は3人を置いて早くも歩き出す。




 本当は3人には言わなかったが、宮本がずっと目覚めないことは、実はもの凄く危険だった。


 このまま本物の宮本が目覚めずに死んでしまったら、もしくは宮本が精神的に弱ってしまって "もう1人の自分" 側に統合されてしまったら、それこそ世界の崩壊だけでは済まなくなる可能性があった。

 もっとも、それでも自我が残って悪森の "結界の主" のように成る可能性も無い訳ではないが、宮本は()()()()()()()()()()()

 それが再契約に踏み切れなかった咲九が最も不安に感じていた点。



 エレベーターはやはり使えそうにもなかったので、階段で向かう。

 私と、宮本を背負った風見はさっさと跳んで降りたもの、香穂は飛べない紗穂を気遣って歩いて降りていた。


 多少の悪霊は浮いていたものの、こちらもまだ塊にはなっていない。

 とはいえ襲撃されないとは限らなかったので、念の為に結界で守ってやった。

 風見は風を使って薄い霧を更に薄くしてくれている。



 さっさと中央大聖堂に移動した私は、その中には何も無いことを入口に立った時点で知った。

 後ろの3人が付いて来ているかだけ確認しつつ、私はさっさと地下に入ってみる。


 階段を降り切って中央くらいまで進みながら警戒していたものの、そこにも何の気配もしなかった。

 どんなバイタリティをしているのか不明だったが、風見は宮本を背負ったまま平然と私の傍にやって来る。


 不意に壁の向こう側から猫の鳴き声がした。


「あそこ、明るい」


 風見に言われて見てみれば、確かに明るくなっている箇所があった。


 不思議に思って近付きつつ、残る2人も合流したところで、4人でそれを見上げてみる。


 何てことは無い。

 猫が1匹通れるくらいの小さな扉があり、その上部に小さな窪みがあってそれが光っているだけだと知る。


「……ハッ?!」


 何かに気付いたのか、香穂がポケットから鏡を取り出していた。

 そして私も、皆も納得する。


 窪みの形がその鏡の形になっていた。


「こんな偶然……ある訳、無いよね」


 そう言った香穂里が鏡をその窪みに入れていた。


 カチッと音がして嵌った窪みは、急激に光を放ち始める。

 そして周囲の壁に光が広がり、


 あっという間に巨大な入口を作ってくれていた。


「凄い……!」


 どこか嬉しそうに飛び跳ねた紗穂が真っ先に一歩を踏み出していた。


「ちょっ?! まだ何があるか解らないってのに!!」


 思わず怒鳴りながらも続く。

 それに習うように、後ろから2人が続く足音がしていた。


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