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153 ☉▲☴ 悪夢か凶夢か①

**********

  ☉(▲) 視点

**********


 夜中に、目を覚ました。

 カレンダーを見て、何日も過ぎていたのだと解る。


 ――そうだ、行かなきゃ。


 私はアンクで変身した。

 そして、玄関から家を出る。


 後ろから誰かが誰かの名を呼びながら追って来たけど、


 ……誰だったっけ……。


 ――とにかく、急いで行かなきゃ。


 私が生きている限り、世界は、パパは幸福にならないのだから。

 それに、私の大切な友達だって、幸せにはならないのだから。


 ――私は、死ななければならない。




**********

  ▲(☉) 視点

**********


「香穂里……っ」


 私は泣きながらも、その後を少し追うことしか出来なかった。


 何故ならば、両親が私の身体を抑えつけているから。

 理由はもちろん、私が両親にあの語りかけて来る声の件を話していた為だった。


「行くな、紗穂里!」

「そうよ! 貴方まで行ってしまったら、この世界は……」

「誰が欠けてしまっても、ダメなのだよ!!」


 私は思い切り後方に居るだろう両親に叫んでいた。


 そう、この世界には属性神の5人が必要不可欠だった。

 だから、誰か1人が欠けてしまってもいけない。たった1人が欠けただけで地界だけではなく、この世界全てが崩壊し、終焉を迎える。


「属性神は、ダメなのだよ……! 5人が生きて居なければ、この世界は……その全てを、終わらせてしまうのだから……」

「……解ったわ」


 不意に母親がそう言った。

 父親が素直に母親を見て驚いている。


「里子……?」

「紗穂里がそう言うのなら、……絶対に、この家に香穂里ちゃんを連れて戻って来なさい。それが条件よ。良いわね?」

「え……で、でも、」

「貴方は黙ってなさい!」

「あ、はい……」


 そんな両親のやりとりを見ていて、私は我に返って、少し安堵していた。


 私には理解者が居る。

 香穂里にも理解者は居た。


 だけど、どうにもこの音には耐えられない気はしていた。

 それは私よりも、香穂里の方が解っていたのかもしれない。


 だからこそ、無心になれる永眠を自ら望んでしまったのかもしれない。


「行って来なさい。そして、必ず2人でこの家に戻って来なさい」

「解ったデショ!」


 母親が作ってくれた拳に自分の拳をぶつけ、必ず約束を守る決意を示した。




**********

  ☴(⛩) 視点

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「やられた……わね」


 意識が朦朧とする中で、私は先程まで眠りに着いていたその家の、()()を見つめていた。


 とうとう、あの集団が私達の隠れ家に気付いて火を放ったのだと気付き、慌てて家を出た所で、2人揃って集団暴行に遭ってしまっていた。

 私は脳震盪を起こしたのか、それからの記憶が無い。


 だけど、その直前には千尋が集団を気にすることもなく、どこかに走って行こうとする姿は見えていた、と思う。


「うっ……」


 頭を強打したのか、髪を軽く触っただけで血がベットリと手にくっついた。

 もう片方の手は、動かしても力が入らない。


 今は街の結界もその集団も消えていたが、その代わりに頭上にはあの繭が浮いている。


「まさか、この繭に助けられたとは……思いたくも無いわね」


 そう言いながらも、隠れ家を襲撃した集団にも、この繭にも感謝はしている。


「これでやっと、千尋は音の呪縛から解放されるのでしょう?」


 私は繭にそう言った。


 でも、千尋(すいじん)を渡す訳にはいかない。

 だから音の言う通り、新東都タワーを目指して行動することにした。


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