153 ☉▲☴ 悪夢か凶夢か①
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☉(▲) 視点
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夜中に、目を覚ました。
カレンダーを見て、何日も過ぎていたのだと解る。
――そうだ、行かなきゃ。
私はアンクで変身した。
そして、玄関から家を出る。
後ろから誰かが誰かの名を呼びながら追って来たけど、
……誰だったっけ……。
――とにかく、急いで行かなきゃ。
私が生きている限り、世界は、パパは幸福にならないのだから。
それに、私の大切な友達だって、幸せにはならないのだから。
――私は、死ななければならない。
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▲(☉) 視点
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「香穂里……っ」
私は泣きながらも、その後を少し追うことしか出来なかった。
何故ならば、両親が私の身体を抑えつけているから。
理由はもちろん、私が両親にあの語りかけて来る声の件を話していた為だった。
「行くな、紗穂里!」
「そうよ! 貴方まで行ってしまったら、この世界は……」
「誰が欠けてしまっても、ダメなのだよ!!」
私は思い切り後方に居るだろう両親に叫んでいた。
そう、この世界には属性神の5人が必要不可欠だった。
だから、誰か1人が欠けてしまってもいけない。たった1人が欠けただけで地界だけではなく、この世界全てが崩壊し、終焉を迎える。
「属性神は、ダメなのだよ……! 5人が生きて居なければ、この世界は……その全てを、終わらせてしまうのだから……」
「……解ったわ」
不意に母親がそう言った。
父親が素直に母親を見て驚いている。
「里子……?」
「紗穂里がそう言うのなら、……絶対に、この家に香穂里ちゃんを連れて戻って来なさい。それが条件よ。良いわね?」
「え……で、でも、」
「貴方は黙ってなさい!」
「あ、はい……」
そんな両親のやりとりを見ていて、私は我に返って、少し安堵していた。
私には理解者が居る。
香穂里にも理解者は居た。
だけど、どうにもこの音には耐えられない気はしていた。
それは私よりも、香穂里の方が解っていたのかもしれない。
だからこそ、無心になれる永眠を自ら望んでしまったのかもしれない。
「行って来なさい。そして、必ず2人でこの家に戻って来なさい」
「解ったデショ!」
母親が作ってくれた拳に自分の拳をぶつけ、必ず約束を守る決意を示した。
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☴(⛩) 視点
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「やられた……わね」
意識が朦朧とする中で、私は先程まで眠りに着いていたその家の、残骸を見つめていた。
とうとう、あの集団が私達の隠れ家に気付いて火を放ったのだと気付き、慌てて家を出た所で、2人揃って集団暴行に遭ってしまっていた。
私は脳震盪を起こしたのか、それからの記憶が無い。
だけど、その直前には千尋が集団を気にすることもなく、どこかに走って行こうとする姿は見えていた、と思う。
「うっ……」
頭を強打したのか、髪を軽く触っただけで血がベットリと手にくっついた。
もう片方の手は、動かしても力が入らない。
今は街の結界もその集団も消えていたが、その代わりに頭上にはあの繭が浮いている。
「まさか、この繭に助けられたとは……思いたくも無いわね」
そう言いながらも、隠れ家を襲撃した集団にも、この繭にも感謝はしている。
「これでやっと、千尋は音の呪縛から解放されるのでしょう?」
私は繭にそう言った。
でも、千尋を渡す訳にはいかない。
だから音の言う通り、新東都タワーを目指して行動することにした。




