150 ☈ 展示会⑨ *
『何も気付かずに出て行ったか』
私の一言に天津は失笑していた。
4人が柵を飛び越えようと計画していることを知って、3人で先回りして結界を薄くし、見張りや悪霊を排除しておいた。
見張りの1人を取り逃がしてしまったものの、その間に4人は民家側に出てくれただろう。
『では、貴方方も撤退して頂いて大丈夫ですよ』
天津はそう答えながら、4人が歩いて行った駅の方面とは逆の、民家を指す。
『向こう側には結界道がありますから』
天津はウィンクしながら口元に人差し指を当てていた。
が、それで納得したのか、蓮は私の腕を掴んでその方向に引っ張って行く。
『え、ちょっと……』
『後は彼に任せましょう。何せ姉さんが後を託した相手ですから』
そう言って蓮は下に降りて走り出してしまったので、私も渋々、その後に続くしか無かった。
結界道と呼ばれたソレは、蓮が早くも見つけ出していた。
太い樹の根元に巨大な黒い穴が空いている。
蓮は結界を大きめに張って人払いしていた。
『結界道……そうですね、森の結界と同じようなものです。あれの道版だと思って下さい』
そう言いながら蓮は私の腕を掴んだままその中に入って行った。
ついて行けば、その中には瞬時に着く。
中は若干、外よりは暗かった。
その中に灰色に光る道を見つける。
その道は枝分かれしていたものの、蓮はその中の1本を指しながら進み出す。
道中にも枝分かれした道はいくつもあったが、どれも蓮は解っているかのように選んでいた。
『ちなみに、感では無いですよ』
そう答えた蓮は1枚の桜のヘアピンを見せてくれた。それは咲九が学園に居る間、ずっと身に着けていた前の学園の校章。
そのヘアピンは桜色の1本の細い光を道の先に示していた。
『姉さんがずっと身に着けていた所為で魔力が宿ってしまったみたいですよ。ですが、そのお陰で姉さんが眠る森の方角を指し示してくれています』
『そんな技が……』
『お姉さんの神器も、今はまだこの方法が使えると思いますよ?』
言われて簪を外せば、確かに同じような光が道の先に伸びていた。
が、あまりにも細過ぎて、普通に歩いているだけでは気付けないくらいだった。
26.04.02・改修、タイトルの※→*




