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138 ☉(▲) ジャック (*)

26.04.02・改修、タイトルの※→*


 情報と電力が途絶えるという現実は、紗穂里のママが私らを外に出させてくれるまで良く理解することは出来なかった。


「何よ、これ……」


 街頭のテレビが全て消えていた。


 レストランは休業中。

 コンビニや本屋からは音楽が消え、新聞や雑誌が趣味系のモノしか残されていなかった。


 もちろん、駅中の新聞の自販機も既に空。


 しかも、紗穂里の予想通りに最寄駅の路線は動いていなかった。



 有難いことといえば、まだ夏季休暇中であることで学生が居ない分、駅は然程混雑も、乱闘事件も起きていない点だった。

 あとは、少し歩いた先にある駅は私鉄だったためか、本数を減らしているものの動いてくれている点だろうか。


 ただし、その所為か黒い仮面の起こす事件を警戒して(車は多くても)街中を歩いている人はほぼ居なかった。

 が、その分だけ黒い仮面の姿も以前より少ない気がする。


「大変なことになったデショ……」


 帰宅するなり、ずっと黙っていた紗穂里がボソリと呟いた。


 家の中もテレビが点いていない(夜のニュースとアニメくらいしか見ていなかったけど)、外を殆ど人が歩いていない(リーマン系の人はいる)、信号機が一部点灯していない(警察の手信号で機能はしている)、など。

 近隣からの音もほぼ無く、かなりの静けさを保っている。


 ちなみに、今は少しでも情報を得る為に紗穂里のパパはもちろんのこと、紗穂里のママもお姉さんも家にはいない。


「何かがあっても、テレパシーくらいしか手段がない!」

「いや、それは気付いていたけども……!」


 私はそうツッコミしつつも、紗穂里と同じく大きな溜め息をついていた。


 まぁ、こうなってしまったらどうしようもない。


 せっかく進展しそうだった積もる話しも、千尋と連絡が取れないのでは動けない。

 かといって、幾度と襲撃があって結界にヒビが入っているらしい今の千尋の家に私が押し掛けても迷惑な話しだろうし、山田の家に限っては調べようがない。


「……そう言えば」


 不意に紗穂里がリビングに進んだ。

 なので付いて行けば、紗穂里が数日前の新聞を広げている。


「あぁ、これだ」


 そう言いながらテーブルの上にそのページを広げてくれた。

 そして指されたのは、新聞の下に載っている広告の、更に1区画の小さい窓だった。


「『写真家 "キサキ" の展覧会』開催……これって、あの?」

「そうだと思う。まぁ、流石に本人が来るとは思えないが、行ってみる価値はあると思わないかい? 最近の本人の写真くらいはあるかもしれないし」

「そうだね。詳しくはホームページを……って、それが出来たら苦労しないって!」


 独りでツッコミしてから思わず2人で笑った。

 が、私はある文字を見て固まる。


「でもこれ、事前にチケットが必要みたいだけど……」

「えっ?! ……そ、そこまでは見ていなかったデショ……」

「どこで手に入るかが、問題だよね」

「……まだ開催まで4日あるし、里子さんに頼んでみるデショ」


 そんな会話をしても、やっぱり静寂はやって来た。


 それ以上、話すことが思い付かない。


 私はずっと、パパが無事であることだけを願っていた。

 だけど今、気配も無く連絡も無いまま、こんな状況を迎えてしまったことに、自分がただ待っているだけしか出来なかったことに、凄く腹を立てている。


 でも、どうしようもなかった。

 あまりにも、私は無知で無力だった。


 どうしたら良いのか、紗穂里と散々話し合っても結論は見出せなかった。


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