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さくらは善か悪か(仮)・輪廻篇  作者: 葉月雷音
廃病院と失われし過去
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127 ☴(⛩▲) 廃病院⑤

ホラーっぽくないけどホラー回②


 病院を出てからが本当の勝負だったらしい。


 その骸は異様な速さで私達を追い駆けて来ている。

 なぜか廃病院内よりも速かった。


 だけど他の生物には見えないようで、私達は野生の動物に驚かれ、道を譲れられながらも、半ば我武者羅に廃屋となっている駅舎に向かって走っていた。

 が、このままでは何れ千尋の魔力が尽きて追い付かれてしまうだろう。


『本谷さん、あの箱を出してもらえない?』


 一か八かで訊ねた。

 その時にはもう他の2人は諦めていたのか、ほぼ同意の上で本谷さんがリュックから箱を出してくれた。


 自転車のトップスピードで走りながらも、近くに落ちていたゴミ袋の中から、比較的綺麗そうで使えそうなビニール袋を入手する。

 そして、箱ごとつっこんでから中身をビニールの中に出し、そのビニール袋を本谷さんに預け、箱を持った私はゴミ箱や排水管などを伝って屋根の上にジャンプして登った。


 私の行動に2人は驚いて振り返ったものの、すぐ近くまで来ていた骸は屋根の上の私を立ち止まって見上げてくれる。


 予想通り、骸はこの箱だけにしか反応しなかった。


『おおおお!!』


 本谷さんが感動のあまりに声を発していた。

 私は更に強く箱を抱えながら2人に言う。


『でも、中身が無いと解ってどうなるか解らないから、とりあえず私が引き付け役になっておくわ。2人は先に帰宅して』

『でも、それだと風見さんに負担が……』

『私なら平気。何日間も外で誰かを監視する、尾行を巻く為に欺く、何て朝飯前だから』


 そうは答えたものの、たった1人で行動することは初めてだった。


 すると、千尋が頷いてから本谷さんに何かを伝えている。

 そして私の居る屋根の、比較的低めの反対側の屋根に上がってきた。


『書類は紗穂里が持ち帰って調べてくれる?』

『でも……』

『何か解ったり、異変があったりしたら携帯に連絡して。何、高い所には追って来ないと知ったら怖くも何ともないわ!』


 自信満々に千尋は答えていたものの、その足は震えているようにも思えた。

 思わず、安堵と共に不安で溜め息をついてしまう。


 本谷さんも不安そうな表情を千尋に向けていた。


『大丈夫。今夜中には箱を彼に返すわ。それで2日間くらい様子を見て、何事もないみたいだったら私達も家に帰るわ。それなら納得してくれる?』

『……解ったデショ。でも、無理はしないでね?』


 本谷さんは私に答えてくれた。


 だから手を振って別れの挨拶を手短に済まし、屋根伝いに1軒隣に移動する。


 骸は予想通りに私に付いて来た。

 が、流石に屋根の上までは無理なのか、それ以上近付いて来る様子も無かった。


関係のない話しを1つ。

私の場合、ホラー映画は見れますが、現実の人間の方が恐ろしいのでスグ忘れます。


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