第97話 女王様の話と過去の夢 その4
その夜、再び女王様が俺たちの部屋を訪れた。
「こんなに早く捕らえることが出来るとは。協力に感謝するよ。ささやかだが、こちらを収めてくれ」
女王様がテーブルの上に革袋を二つ置いた。
ジャラリと重そうな音がした。
どれくらい入ってるんだろう?気になる……。
「……そういえば、隷属魔法をかけられそうになっていたと報告を受けたが、体調はどうだ?……何か問題があれば、すぐに治療させるが?」
「いえ、リナベルに治してもらったので、今のところ大丈夫です。ありがとうございます」
俺は女王様の心遣いに感謝した。
「そうか、それならぱ良い」
女王様はふっとほほ笑んだ。
「それにしても、あやつが隷属魔法を使えたとはな……。これまでの色々な事柄に合点がいく。……今回は我が賓客を誘拐、監禁し隷属魔法をかけようとした罪で捕らえたが、余罪も洗いざらい吐いてもらうことになるだろう。……この見せしめで、他の者たちも静かになると良いが」
女王様は少し遠い目をしていた。
俺には分からない世界だけど、色々と大変そうだよな。
「……では、私はそろそろ行こう。……好きなだけここに滞在してくれて構わんぞ」
女王様が椅子から立ち上がった。
「あ、女王様、有り難い申し出なんですが、明日インディアに向けて発とうと思います。……早い方がいいんですよね?」
えっ!? もう出発するのか?
「そうしてもらえると助かるが、ライトが面食らっているようだぞ?」
リナベルは俺の方に向き直った。
「……ライト君、機神たちをこれ以上のさばらせないためにも急ぐべきだわ」
いや、そりゃそうなんだろうけど、リナベルは俺の血を吸ってつやつやだけど、俺は結構しんどいんですけど!?
なので、もう少しふかふかのベッドで休ませて欲しいんですけど!
「……まぁじっくり決めるがよい。それではな」
そう言って女王様は部屋から退出していった。
……俺がリナベルに勝てる訳ないだろ……。
なんだかんだで結局、明日の朝インディアへ発つことになったのだった。
「あ、いたいた、あんたを探してたんだ」
学校から寮への帰り道、冒険者ギルドの前で、俺はマリーに声をかけられた。
「あれからどう?元気にやってる?」
「おかげさまで。快適に過ごせてるよ」
……前とは雲泥の差だった。あいつらに絡まれないだけで、こんなに過ごしやすくなるなんて。
「ほんとにありがとう。……何かお礼をするって言っといて、まだできてない……」
「それはいいって言ったろ?あたしが好きでやったんだから。それよりあんた、今より強くなりたくないかい?」
「えっ?」
「あんたを特別にあたしの弟子にしてやろう!」
「ええっ!?」
驚いてる俺の目の前にマリーがやってきた。
ち、近い……。
「鍛えてやるって言ってんだよ。……あんた、危なっかしい戦い方をしてたから、気になってさ」
どっかで見られてたのか?
そりゃ……Sランクに鍛えてもらえるなんて、願ったり叶ったりだけど。
「ほんとに、いいの……?」
「ああ、もちろんさ」
マリーはニッと笑った。
「……よろしくお願いします」
俺はマリーに頭を下げた。
こうして俺はマリーの弟子となったのだった。




