第89話 アーイディオンポース到着
そして次の日の朝。
アーイディオンポースの飛空機械発着場に、リントヴルムが着陸した。
リントヴルムから降りてきた俺たちの前に、一人の騎士がやってきて一礼した。
「私、アーイディオンポース飛竜騎士団の副団長を務めております、アレックス・フォルスターと申します。“悠久の翼”の方々とお見受けしましたが、三名……ではありませんでしたか?」
「正解。なんだけど、一人負傷中で、今日は二名よ」
「そうでしたか。……ガーディアンフォースに所属する方々は、日々過酷な任務に就いていると聞いています。どうぞご無理はされませんよう、その方の一日も早い回復をお祈り申し上げます」
その騎士、アレックスは再び礼をした。
基本、すごく真面目な人なんだろうな、というかお堅い感じだよな。
「早速ですが、女王よりあなた方を案内するよう仰せつかっております。どうぞこちらへ」
アレックスは、俺とリナベルを三頭の飛竜の前に連れて行った。
青い鱗を持つワイバーンタイプの飛竜だ。奥の二頭の横には、それぞれ軽鎧を纏った騎士が立っていた。
ワイバーンには、馬のように手綱は付けられておらず、持ち手が付いた鞍が背に装着されているだけだ。
どうやって制御してるんだろう?
俺とリナベルは、奥の二頭にそれぞれ案内された。
「騎乗」
騎士が短く言うと、ワイバーンが態勢を低くした。
「言葉が……分かるんだ」
「その通り。この種はとても賢いんだ。訓練すれば、ちゃんと騎乗者の意志を汲んでくれる。 ……さ、前の方に乗ってくれ」
鞍は二人乗り用だった。
鐙に足をかけて乗ろうとした時。
ワイバーンが急に振り返って、俺の頬をベロンと舐めた。
「ひえっ……」
「すまん、大丈夫か?……君はよほど好かれているんだな、今までそんなことをされた人間を見たことがない」
「そ、そうなんだ……」
走竜といいワイバーンといい、どうして竜種は俺にちょっかいを出したがるんだ?
うう、おかげで顔半分が涎でベトベトだ……。
気付いた騎士が、水筒の水で湿らせた布で拭いてくれた。
「ありがとう」
俺は礼を言って、右手で鞍に付いてる持ち手を掴み、身体を引き寄せて跨った。
俺が乗ったのを確認して、後ろに騎士が跨った。
「君は……左手が使えないのか?」
……さすが騎士だな、こんな少ない動作で見抜くなんて。
「うん、ちょっと厄介なことになってて……」
「そうか、回復やポーションも万能ではないからな。……早く治るといいな」
騎士はそう言うと、他の二頭の方に合図を送った。
どうやら俺たちを待っていたようだ。
そして順に空へと飛び立っていく。
「飛翔」
騎士の言葉で、俺の乗ったワイバーンも飛び立った。
あっという間に地上が遠ざかっていく。
「しっかり掴まっとけよ」
騎士の言葉に俺はうなずいた。
ワイバーンはさらにスピードを上げ、城を目指し飛んで行くのだった。




