↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
88/120

第88話 過去の夢 その3

 その日の夕方。

 善は急げって言うんで、さっそくアーイディオンポースに向けて出発することになった。

「ゆっくり寝てていいよ。明日の朝には着くからね」

 そのリントヴルムの言葉に甘えて、俺とリナベルは早々に休むことにした。



 マリーと別れた後は、またいつもの日常が待っていた。

 相変わらず地味に嫌がらせが続く日々。

 そんな時、またグループのリーダーに捕まってしまった。

 どうやら、えらくご機嫌斜めのようだ。

 取り巻きの奴らと一緒に、人気の無い場所へと連れて行かれた。

 そして、取り巻きの内の二人から腕を抑えられ、リーダーの前に跪かされた。

「カラス、ちょっと付き合えよ……オレの憂さ晴らしに」

 リーダーは俺の目の前にナイフを突き付けた。

 今まで凶器を使ったことだけはなかったのに……!

 俺は身をよじるが、逃げ出せるはずもなく。

 リーダーは俺の頬に薄くナイフの刃を当て、横に引いた。

「つっ……」

 痛みと共に、赤い線からうっすら血が滲んだ。

 取り巻きの連中がにやにやしている。

「いい顔するじゃねえか、カラス。オレにもっとその顔を見せてくれよ」

 リーダーが再び俺にナイフを突き付けた時。


「こんな所でなにしてる!?」

 女性の声が響いた。この声は……。

「ああ!? 何だ?お前は!」

「聞いてるのはあたしだよ!その子になにしてんだ!?」

 背の高い赤い長髪の女……マリーが、リーダーの前まで歩いてきた。

 リーダーは一瞬たじろいだが、すぐにいつもの調子に戻った。

「なにって……付き合ってもらってんだよ、オレの憂さ晴らしに。……こんな感じでな」

 リーダーは躊躇うことなく俺の反対側の頬を切りつけた。

「いっ……!」

 今度は少し深く刃が入って、頬が血で濡れた。

「ほら、いい顔するだろ?こいつ。……!!」

 マリーが手刀で、リーダーの持っていたナイフを叩き落とした。

「何しやがるんだてめぇ……!」

 リーダーはナイフを拾ってマリーに切りかかった。

「あんた……いいかげんにしろよ」


 突然、マリーが恐ろしい程の圧を放った。

 リーダーはもちろん、取り巻き連中も腰が抜けたのか、その場にへなへなと座り込んだ。

「ほんとの命のやり取りをしたことがねぇケツの青いヒヨッ子が、人様の命をもて遊ぶんじゃねぇ!!」

 それは嵐のような一喝だった。

 その場にいた俺を含めた全員が、半分意識を持っていかれたほどだ。

「分かったなら、金輪際こいつに絡むんじゃねぇ!いいな!」

 マリーは圧をかけたままリーダーを見下ろした。

 リーダーは壊れたように首を縦に振り続けていた。

 それを見たあと、マリーは俺に手を差し出した。

「行くよ、ライト」

「ご、ごめん……その、俺も腰が抜けてて……」

「ったく、しょうがない奴だね……」

 マリーは俺を抱え上げ、その場を後にしたのだった。



「うう……」

 聞かなくちゃいけない。ベヒモスはああ言ってくれたけど……聞くのが怖い。そう思ってたら、夢を見てしまった……んだと思う。

 俺は左手を見た。

 既に変わってしまった部分は、最悪このままかもしれないとヒルダに言われた。

 もし……師匠もそのままだと言われたら……。


 隣でリナベルが静かに寝息を立てている。珍しく深く眠っているようだ。


 今夜はもう眠れそうにないな……。

 俺は窓から星空を眺めることにしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。