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ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


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第87話 リントヴルムのお見舞いの品

 リントヴルムが一度頭上を通り過ぎ、また戻ってきて着陸した。

「え!? な、なにこれ!? 座標は間違ってないハズなんだけど!?」

 そう言って、地面に巨大な魚を放り投げた。

「本当にあの島なの!?」


 空はすでに星が瞬いている。

 リントヴルムはそこにいる俺たちを見付け、首を伸ばしてきた。

「ねえねえ、これどういうことなの!?」

「ええと……、俺が竜の宝玉の力を借りた結果……だな」

「んん?ライトがやったってこと?」

「まぁ……半分くらいは……?」

「よく分からないの?」

〝お前たちの会話は要領を得んから頭痛がしてくるな〟

 ベヒモスがふぅと溜め息をついた。

〝ライトがその宝玉の力を引き出して豊穣の力を発動したのだ〟

「えっ!? ……ライト、豊穣の力を持ってたんだ!凄いね〜、不毛の地を蘇らせることが出来るって本当だったんだ!」

「まぁな。……ところで、そのでかい魚はどうしたんだ?」


 まだ生きているのか、時々ビチっと跳ねている。

 うっかり敷かれると大惨事だ。

「コーディへのお見舞だよ。食べて元気になってもらおうと思って」

「これ、食べられるやつなのか!? どうやって食べるんだ?」

 めちゃくちゃでかくて、頭に一本角が生えてるし、硬そうな鱗が全身を覆っている。

「わかんない」

「ええー!? ……う〜ん、リナベルかヒルダに聞けば分かるか?……じゃ、傷まないように……“凍結(フリーズ)”!」

 巨大な魚が一瞬で氷漬けになった。

「これでよし。明日二人が起きてきたら調理方法を聞いてみよう」

「うん、お願いね〜」

「わかった」

 そう言ってうなずいた後にあくびが出た。

「あははっ、ライトもそろそろ休んだら?」

「ああ、そうするよ。……おやすみ、リントヴルム」

「おやすみ〜」

 そうしてベヒモスは俺を乗せたまま、洞窟の中へ入っていった。


 翌朝、二人に巨大な魚のことを話し、洞窟の外へ来てもらった。

 リントヴルムはまたどこかへ出かけているようで、姿が見えない。

 付いてくる気配がしないと思って後ろを振り返ると、二人ともその場で固まってしまっていた。

「もしも〜し……?」

 俺は恐る恐る声をかけてみる。

「これは夢じゃないんだよねぇ……?」

 ヒルダが我に返って、隣にいるリナベルに話しかけた。

「そうね……、どうやら現実で間違いないみたいね……」

 そう言って、ひとしきり辺りを見回したあと、リナベルは俺の前まで歩いてきた。

「あなたの仕業ね」

 リナベルはそう言うと、俺のおでこを指で軽く弾いた。

「ライト君、もう分かってると思うけど、これは絶対に大勢の前でやっちゃダメだからね。特に貴族たちの前なんかもってのほかよ。確実に監禁もしくは隷属コースだからね」

「そ、それは嫌だ……」

 俺は思わず身震いした。

 リナベルの隣では、ヒルダが「これが豊穣の力……」とかぶつぶつ呟いている。

「まぁでも……大したものね」

 リナベルの表情がふっと緩んだ。

「ここだけは……私の知ってる景色に戻ったわ」

 リナベルは、ここではない何処かを見ているようだった。


「……あ、そうそう、巨大な魚を捌いてくれって話だったわね。どこにあるのかしら?」

「こっちだ」

 俺はリナベルを巨大な魚の所まで案内した。

「あら、キングアーマードホーントラウトじゃない、よく捕まえられたわね」

「リントヴルムが捕まえてきたんだ。コーディへのお見舞って言ってたよ」

「ふふっ、可愛いところがあるじゃない。じゃあ、さっそくやっちゃいましょうか。これの身はソテーでもフライでも美味しいわよ」

 リナベルはそう言うと、巨大な魚を覆っている氷だけを器用に溶かし、あの手刀であっという間に解体した。

「これでよし。残りは収納魔法(インベントリ)に入れときましょう」

 そして、すぐに使用する部位以外を放りこんだ。

「さてと、さっそく味見といきましょうか」


 結論から言うと、めちゃくちゃ美味しかった。

 リナベルはソテーにしてくれたんだけど、甘辛いソースと脂の乗った身がマッチして、いくらでも食べられそうだった。

「魚ってこんなに美味かったのか!生きてて良かった!」

「いや、こいつが美味しすぎるんだよ。普通の魚ならこうはいかないかもね」

 そう言うヒルダも満足そうだ。

「コーディもこの魚を食べたら元気になりそうだな!……そういえば、少しの間って言ってたけど、どれくらいで治りそうなんだ?」

「そうだねぇ……まぁ、調整も含めてだいたい2週間ぐらいかねぇ」

「そっか。なら……竜の宝玉をアーイディオンポースの女王様に届けてきてもいいかな?リントヴルムに頼めば、そんなに時間はかからないと思うから」

「ああ、いいんじゃないかい?なぁ、リナベル」

「そうね。なら私も付いていくわ、元々は私たちが受けた依頼だしね」


 そういう訳で、俺とリナベルでアーイディオンポースに行くことになったのだった。

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