第83話 再び孤島の隠れ家へ
「うわっ……!」
何とそこは空中だった。
そっか、脱出は入ったところに戻って来るのか。
「ベヒモス!来てくれ!」
俺の呼びかけに、ベヒモスが現れた。
ベヒモスは俺たち三人をその背で受け止めた。
「コーディ、大丈夫か!?」
「ははっ……また母さんの所に逆戻りだな……」
軽口を叩いているが、顔色があまり良くない。
「すぐにヒルダの所に行くわ。 リントヴルムはどこかしら?」
地上では機神の基地が連鎖爆発を起こしていた。
紅蓮の炎が全てを飲み込まんと、勢いを増している。
これなら大丈夫だろう、この基地はもう使えないはずだ。
〝あの機械の竜ならこっちだ〟
ベヒモスがリントヴルムの所へ連れていってくれた。
「ありがとう、ベヒモス」
〝構わぬ〟
そう言って、ベヒモスは空気に溶けるように消えていった。
「うわーん!無事で良かったよー!」
リントヴルムが岩陰から首を出している。
「いや、コーディが怪我してるんだ。またヒルダの所に連れていってくれないか?」
「コーディが!? 大丈夫なの!?」
「……循環機を破損してる……こういう時、痛覚があると大変だよね……」
俺の代わりにコーディが答えた。
「大変だ、急がないと!」
リントヴルムは竜の姿から飛空機械のように身体を変えた。
「早く乗って!飛ばしていくよ!」
リナベルがコーディを抱え、俺たちはリントヴルムに乗りこんだ。
「本当は先に許可を得るべきだったんでしょうけど……」
言いながら、リナベルはナビゲーションボードを操作している。
「……こちら悠久の翼、ジェラルド団長、応答願います……」
リナベルの呼びかけに、ややあってジェラルド団長から応答があった。
〝こちらジェラルドだ。何があった?〟
「団長、ごめんなさい、コーディが酷い怪我を負ってしまって……また少しお暇するわ」
〝どういうことだ?君たちには攻撃に参加せず離脱して欲しいと伝えたはずだが……、まさか、襲撃されたのか!?〟
「ええと……順を追って説明するわね。いい知らせと悪い知らせが1件ずつあるわ……」
リナベルはジェラルド団長にこれまでの出来事を話した。
〝そうだったのか……突然予期せぬ場所から火の手が上がったが、あれは君たちだったのだな。あまり無茶をされると困るが、君たちも無事で良かった。……竜の宝玉の件は、アーイディオンポースの女王がお喜びになるだろう、後で届けに行くといい。 しかし……天の座の主が復活したとなると……せっかく機神どもにダメージを与えることができたのに、それが台無しになりそうだな……〟
「本当に想定外だったわ……まさか、もうそれ程のエネルギーが集まっていたなんて……」
リナベルは悔しそうに下を向いていた。
〝各国の王たちに共有し、対策を考えよう。……ひとまずこの基地は沈めることができそうだ。君たちの暇を許可しよう。コーディの手当てをしてやってくれ〟
「ありがとう、ジェラルド団長。状況はまた連絡するわね」
〝了解した。こちらからも何か動きがあれば連絡する。それでは〟
そこでリナベルは通信を終了した。
「うん、これで大丈夫。……コーディ、もうしばらくの辛抱だから」
コーディはうなずいた。
「すぐに着くよ、心配しないで」
リントヴルムは孤島の隠れ家を目指し、雲を切り裂くように飛んでいくのだった。




