第82話 天の座の主
天空の騎士のような機神は、圧倒的な存在感を放っていた。
アーマーのいたるところに金の装飾が施されていて、位の高い聖騎士のようにも見える。
「お待ちしておりました。ヴァルドファード様」
アクセラバードが恭しく頭を下げた。
天空の騎士のような機神は、アクセラバードの前にやってきた。
「うむ。ご苦労だった、アクセラバードよ。……状況はどうだ?我が天の座の者はどれくらい復活できている?」
「恐れながら……今はヴァルドファード様と我のみでございます」
「そうか、まあ良い。私とお前がいれば大体事足りるだろう。……して、その者たちは?」
天空の騎士のような機神……ヴァルドファードが俺たちの前まで歩いてきた。
「いずれ我の部下となる者たちです」
「ほう?」
ヴァルドファードは俺たちを眺めている。
「一番左の金髪の男は適合者です。グレードは恐らくS以上と思われます。真ん中の銀髪の女は吸血鬼で、かなりの格闘術と魔法の使い手です。その右の黒髪の男もなかなかの剣と魔法の腕を持っております」
ヴァルドファードは更に障壁に近づいてきた。
「……お前、精霊竜の気配がするな」
ヴァルドファードは俺を見るなりそう言った。
何で分かったんだ……!?
「面白い。アクセラバード、障壁を解除しろ。目覚めの運動がてら、相手をしてやろう」
ヴァルドファードは宙から長めの柄のついた美しい大剣を取り出した。
「お戯れを……」
「私は本気だ。……アクセラバード、手を出すなよ」
機神たちが話してる間に、コーディが俺とリナベルにそっと耳うちした。
「動力室が近くにあるみたいだ。戦闘が始まったらそこを撃ち抜いて破壊するよ。二人はあいつの足止めをお願い。……多分魔法が使えない原因はこの障壁だ。破壊できたらエスケープで逃げよう」
俺とリナベルはうなずいた。
「……わかりました」
アクセラバードが俺たちを囲んでいた障壁を解除した。
「さて、お前たちの力を見せてもらおうか」
ヴァルドファードは大剣を構えた。
俺は「光線」の魔法陣符を使用、少し魔力を流して形態変化させ、無数のレーザーを放った。
コーディの言った通り、あの障壁が魔法の発動を妨害していたようだ。
ヴァルドファードは大剣の一振りでレーザーを薙ぎ払った。
その隙にコーディが左側の壁に向けて銃を撃った。
壁をぶち抜いて動力室への風穴があいたが、動力とおぼしき機械には届かなかったようだ。
二射目を撃とうとしたコーディにヴァルドファードが襲いかかる。
「させないわ……!」
そのヴァルドファードの後ろに回り込んだリナベルが、あの手刀を繰り出した。
ヴァルドファードは背中から翼のようなものを出して受けたが、中程から斬り飛ばされていた。
それでもヴァルドファードは止まらない。
「まずはお前だ」
コーディは大剣で受けたが、何と大剣が折られ、吹き飛ばされて壁に激突した。
「コーディ!」
俺はすぐにコーディの側に駆け寄り、傷をみた。
深い……!多分内臓まで達している……が、そこにあったのは破損した複雑な機械だった。
「こ、これ……治せるのか……?“回復”!」
表面の傷は塞がったが、コーディは顔をしかめている。
「やっぱり中が治っていないのか……」
伸ばした俺の腕を、コーディが掴んだ。
「……ごめん、ライト……君が撃ってくれないか……?」
コーディが俺に銃を手渡してきた。
「あの動力炉……多分魔法が通らない……ううっ……」
「大丈夫か!?」
「……アクセラバードにばれるかもだけど……ちょっと悪いところをやられてるみたいだから……、頼む……」
ヴァルドファードはリナベルが抑えていた。
この威力の攻撃を放つ相手と一対一で戦えるって……リナベル凄いな。
だけど多分……長くは保たない。
直感でそう感じ取った俺は、意を決してコーディの銃を構えた。
片手だと反動が怖かったので「身体強化〈力〉300%」を使用してから引き金を引く。
ドンッ!という音とともにエネルギーが発射され、動力炉とおぼしき機械にヒットした。
アクセラバードが食い入るようにこちらを見ている。
「ライト……そなたも適合者であったか」
ばれた!
その時、動力炉が爆発を起こした。
「リナベル!」
けど、後はとんずらするだけだ。
リナベルは俺の呼びかけに、ヴァルドファードの大剣を跳ね除け、すぐにこちらへやってきた。
「おのれ、やってくれたな……!」
「いくわよ、“脱出”」
怨嗟の言葉を吐くヴァルドファードとアクセラバードをその場に残し、俺たちの姿は消えていったのだった。




