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ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


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82/120

第82話 天の座の主

 天空の騎士のような機神は、圧倒的な存在感を放っていた。

 アーマーのいたるところに金の装飾が施されていて、位の高い聖騎士のようにも見える。

「お待ちしておりました。ヴァルドファード様」

 アクセラバードが恭しく頭を下げた。


 天空の騎士のような機神は、アクセラバードの前にやってきた。

「うむ。ご苦労だった、アクセラバードよ。……状況はどうだ?我が天の座の者はどれくらい復活できている?」

「恐れながら……今はヴァルドファード様と我のみでございます」

「そうか、まあ良い。私とお前がいれば大体事足りるだろう。……して、その者たちは?」


 天空の騎士のような機神……ヴァルドファードが俺たちの前まで歩いてきた。

「いずれ我の部下となる者たちです」

「ほう?」

 ヴァルドファードは俺たちを眺めている。

「一番左の金髪の男は適合者です。グレードは恐らくS以上と思われます。真ん中の銀髪の女は吸血鬼(ヴァンパイア)で、かなりの格闘術と魔法の使い手です。その右の黒髪の男もなかなかの剣と魔法の腕を持っております」

 ヴァルドファードは更に障壁に近づいてきた。

「……お前、精霊竜の気配がするな」

 ヴァルドファードは俺を見るなりそう言った。

 何で分かったんだ……!?

「面白い。アクセラバード、障壁を解除しろ。目覚めの運動がてら、相手をしてやろう」

 ヴァルドファードは宙から長めの柄のついた美しい大剣を取り出した。

「お戯れを……」

「私は本気だ。……アクセラバード、手を出すなよ」


 機神たちが話してる間に、コーディが俺とリナベルにそっと耳うちした。

「動力室が近くにあるみたいだ。戦闘が始まったらそこを撃ち抜いて破壊するよ。二人はあいつの足止めをお願い。……多分魔法が使えない原因はこの障壁だ。破壊できたらエスケープで逃げよう」

 俺とリナベルはうなずいた。


「……わかりました」

 アクセラバードが俺たちを囲んでいた障壁を解除した。

「さて、お前たちの力を見せてもらおうか」

 ヴァルドファードは大剣を構えた。

 俺は「光線(レーザー)」の魔法陣符(マジックカード)を使用、少し魔力を流して形態変化させ、無数のレーザーを放った。

 コーディの言った通り、あの障壁が魔法の発動を妨害していたようだ。

 ヴァルドファードは大剣の一振りでレーザーを薙ぎ払った。

 その隙にコーディが左側の壁に向けて銃を撃った。

 壁をぶち抜いて動力室への風穴があいたが、動力とおぼしき機械には届かなかったようだ。

 二射目を撃とうとしたコーディにヴァルドファードが襲いかかる。

「させないわ……!」

 そのヴァルドファードの後ろに回り込んだリナベルが、あの手刀を繰り出した。

 ヴァルドファードは背中から翼のようなものを出して受けたが、中程から斬り飛ばされていた。

 それでもヴァルドファードは止まらない。

「まずはお前だ」

 コーディは大剣で受けたが、何と大剣が折られ、吹き飛ばされて壁に激突した。

「コーディ!」

 俺はすぐにコーディの側に駆け寄り、傷をみた。


 深い……!多分内臓まで達している……が、そこにあったのは破損した複雑な機械だった。

「こ、これ……治せるのか……?“回復(ヒール)”!」

 表面の傷は塞がったが、コーディは顔をしかめている。

「やっぱり中が治っていないのか……」

 伸ばした俺の腕を、コーディが掴んだ。

「……ごめん、ライト……君が撃ってくれないか……?」

 コーディが俺に銃を手渡してきた。

「あの動力炉……多分魔法が通らない……ううっ……」

「大丈夫か!?」

「……アクセラバードにばれるかもだけど……ちょっと悪いところをやられてるみたいだから……、頼む……」


 ヴァルドファードはリナベルが抑えていた。

 この威力の攻撃を放つ相手と一対一(さし)で戦えるって……リナベル凄いな。

 だけど多分……長くは保たない。

 直感でそう感じ取った俺は、意を決してコーディの銃を構えた。

 片手だと反動が怖かったので「身体強化(リインフォース)〈力(ストレングス)〉300%」を使用してから引き金を引く。

 ドンッ!という音とともにエネルギーが発射され、動力炉とおぼしき機械にヒットした。

 アクセラバードが食い入るようにこちらを見ている。

「ライト……そなたも適合者であったか」

 ばれた!


 その時、動力炉が爆発を起こした。

「リナベル!」

 けど、後はとんずらするだけだ。

 リナベルは俺の呼びかけに、ヴァルドファードの大剣を跳ね除け、すぐにこちらへやってきた。

「おのれ、やってくれたな……!」

「いくわよ、“脱出(エスケープ)”」

 怨嗟の言葉を吐くヴァルドファードとアクセラバードをその場に残し、俺たちの姿は消えていったのだった。

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