第81話 罠
通路を進んでいった先に、また扉が現れた。
再びコーディが開錠し、中の様子を伺う。
薄暗い室内に一段高くなっている床があり、台座が置かれていた。
その上にあるのは……。
「竜の宝玉……見付けた……!」
向こうも俺の姿が見えて、喜んでいるようだ。
「また誰かいないでしょうね……?」
リナベルは用心深く室内を見回した。
「ここまであからさまなのが余計に怪しいのよね……」
「……どうするんだ?まさかここまで来て……」
「帰るなんて言わないわよ。……行きましょう」
俺とコーディはうなずいて、リナベルに続いて部屋に足を踏み入れた。
そして台座の前まで歩いていく。
俺は目の前にある竜の宝玉に手を伸ばし、持ち上げた。
触れていると、温かくて心地良い感じが俺の胸を満たしていく。
リナベルとコーディにも伝わったのか、ほっとした顔をしていた。
その時、突然俺たちの周りに障壁が展開され、中に閉じ込められた。
「まさか……」
「……ええ、どうやら本当に罠だったみたいね」
俺は急いで収納魔法の空間に竜の宝玉を入れた。
「竜の宝玉も手に入れたことだし、ここにはもう用はないわ、行きましょ」
リナベルが差し出した手に、俺とコーディは手を乗せた。
「脱出」
だが、俺たちの姿は消えなかった。
「これは……」
奥の暗闇から足音が近付いてくる。
俺たちの前までやってきたそいつは、予想通りの機神だった。
「外に精霊竜が現れたと聞いて、そなたたちがいると確信したが、まさかこんな所まで入りこんでいたとはな……」
「アクセラバード!」
アクセラバードは俺を見やり、左手を確認したようだった。
「ふむ、バカな真似はしなかったようで何よりだ。
……それにしてはあまり進んでいないようだが……まあいい」
手袋をしているのに中の状態分かるのか……?
「そなたたちに再び問おう。我が部下となる気はないか?」
「私たちが断っても、あなたはすでに決めているんでしょう?私たちを部下にするんだって」
「ハハハ、鋭いな、リナベルとやら。そうだ、我はすでに決めている。だが、無理にしようとすれば、精神洗浄などを行うことになろう……。それはできれば避けたい。自らの意志で我が軍門に下るならば、その必要はないだろうからな」
アクセラバードは真っ直ぐに俺たちを見た。
「……精神洗浄って……?」
聞き慣れない単語があって、俺は思わず声に出していた。
「記憶と感情をまっさらな状態にすることだ。その個体が今まで積んだ経験が台無しになるのでな、我は好まぬ。グラナギアは人形を得るためによくやっているようだが……最近手に入れたあの紅い奴に行ったと言っていたな」
なん……だって……!?
「そこでゆっくり考えるといい……と言いたいところだが、そなたたちにも立ち会ってもらおうか、考えが変わるかもしれんしな」
「立ち会う……?」
「そうだ。天の座の主、ヴァルドファード様が復活される、その瞬間に」
俺たち三人は揃って衝撃を受けていた。
あれは……ルフトカイザーの中だったと思う。フェルドが言っていた、高エネルギー結晶体を集めて三巨頭を復活させてるって……。
もう、そのためのエネルギーが集まったのか!?
アクセラバードが右手を掲げた。
すると部屋の奥の方が明るくなった。
そこには、大きな……金属の箱のようなものが壁に立てかけられるように置かれている。
その箱に接続されていた太い8つの管が下から順番に外れていく。
全て外れると、箱の前面が横にスライドし、中から光が溢れた。
……いる、強大な力を持った何かが。
光とともに現れたのは、白銀のアーマーを纏った天空の騎士のような機神だった。




