第64話 ギガントゴーレム起動
地面のようなものが見えて少しすると、ようやく底に辿り着いた。
地面かと思ったら、土色の鉄板だったのだ。
「ここにギガントゴーレムが?」
周りを見るが、壁しかない。
「こっちよ」
リナベルの手招きで案内されたのは、とてつもなく大きな扉の前だった。
「これ……リントヴルムの3倍ぐらいあるよな……!?」
ほんとにこんなでかいゴーレムがいるのか……?
リナベルは聞いたことのない言葉で呪文を唱えた。
すると、その大きな扉に魔法陣が浮かびあがり、左右に開いた。
随分使われてなかったのか、埃のようなものが舞い上がる。
中から現れたのは、ほんとにでかい青銀色の鎧を纏ったゴーレムだった。
「すっげえ……!!」
「これは8体あるギガントゴーレムの内の1体、王の盾よ。強力な魔法障壁を操る、防御に特化したゴーレムね」
少し埃をかぶっており、所々に傷が付いているが、逆にそれが戦いを潜り抜けてきたことをリアルに感じさせた。
「あれ?でもこいつ、足がついてないぞ?」
「王の盾は浮かび上がって移動するから足は必要ないのよ。……じゃ、さっそく起動するわね」
リナベルは「飛翔」を使用し、ギガントゴーレムの左肩の辺りに下りた。
ここからじゃよく見えないけど、多分、中に入っていったようだ。
しばらくすると、頭部にある目のような部分に青い光がともり、ギガントゴーレムの巨体が浮かび上がった。リナベルの言った通りだ。
「……よし、エネルギーは足りたみたいね」
そう言ってリナベルが俺の前に下りてきた。
「マスター、ゴ命令ヲドウゾ」
「しゃべった!」
「あー、懐かしいわね。最初はコーディもこんな感じだったのよ。……そうね。ひとまずここで待機していてちょうだい。必要な時に呼び出すわ」
「了解シマシタ」
王の盾がうなずいたように見えた。
「よびだす……?」
「ええ。一応私をマスター登録したから、転移魔法陣を描けば王の盾が私の魔力を辿ってきてくれるのよ」
「へえ……」
「あと、護衛対象に私たち三人を登録しといたわ。王の盾が感知可能な範囲内だったら、魔法障壁で守ってもらえるからね」
「ほんとか!? そりゃありがたいな」
「でしょ。……そういうことで、無事起動できたし、スールブリッサに戻って報告しましょうか」
俺とコーディはうなずいた。
「けどリナベル、これをもう一度上がっていくのか?」
俺は若干げんなりした顔で階段を指差した。
「その必要はないわ。……王の盾、私たち三人を地上へ連れていって」
「了解シマシタ。ドウゾコチラニオ乗リクダサイ」
王の盾が大きな手を俺たちの前に差し出した。
リナベルとコーディはすんなりと、俺はおっかなびっくり手に乗った。
王の盾は俺たちを大事そうに胸の前に抱えると、ふっとジャンプをしたようだった。
なんと、その一瞬で俺たちは地上に戻ってきていた。
そこで待機していたリントヴルムがビクッとしたのがちょっと面白かった。
「うわあ……ギガントゴーレムだぁ。……やっぱりおっきいね」
リントヴルムは王の盾を見上げている。
俺たちは手から降りると、地下へ戻っていく王の盾を見送った。
外はすでに夕方になっていた。
「……今から戻っても夜中になるわね。今日はここで休んで、明日の朝戻りましょうか」
そう言って、リナベルは携帯用コテージを取り出し、展開した。
「今日は俺がソファーでいいからな」
「あら、残念ね」
「ライト、油断しちゃダメだよ。どうしても我慢ができない時は、君が深く眠ってる時に追加で吸血してるから」
なんだって!?
「コーディ、余計なことは言わないでいいのよ?」
うおっ、リナベルの目が怖い……。
対してコーディは肩をすくめただけだった。
「と、とりあえずお腹も空いたし、ご飯にしないか?」
「……それもそうね」
そうして俺たちは夕食をとったあと、床についた。
本日も吸血されたかは、夜空の星々のみが知っている。




