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ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


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第58話 報告

 俺たちがガーディアンフォース仮本部のジェラルド団長の部屋に入って直ぐだった。

「良かった。無事だったか!」

 ジェラルド団長がそう声をかけてきた。

悠久の翼(エターナルウイング)の方々のお陰で助かりましたよ。本当に死ぬかと思いました」

 カイロスはそう言ったあと、ジェラルド団長に報告を始めた。


 とある洞窟で偶然、高エネルギー結晶体「不滅の炎」を見付けたこと。

 そしてそれを機神に知られてしまい、しつこく追跡されたこと。

「……あとは悠久の翼(エターナルウイング)の方々からも報告があると思いますが、機神の空中要塞に吸い込まれて、中で大量の機神の兵士と戦ってなんとか生還できました。……こちらが“不滅の炎”です」

 カイロスは宙に手を突っ込むと、人の握り拳2つ分くらいの大きさの石を取り出し、机の上に置いた。

 カイロス、収納魔法(インベントリ)使えたんだ。


 石はほんのり光っており、内部に炎が閉じ込められているような揺らめきが見えた。

「間違いありません“不滅の炎”ですね」

 同席していたジェシカが石を鑑定し断定した。

「そうか、よくやった!ありがとう」

 ジェラルド団長も精霊の木霊(スピリッツエコー)のメンバーも嬉しそうだ。

「報告は以上です」

「ご苦労だった。ゆっくり身体を休めてくれ」

「ありがとうございます。それでは失礼します」

 カイロスが報告を終えると、精霊の木霊(スピリッツエコー)のメンバーはそれぞれ会釈して退室していった。


「……さて、君たちにはまず謝罪を。しばらく休暇の予定が予期せぬ戦いに巻き込んでしまってすまなかったな」

「ほんとね」

 リナベルが口を尖らせている。

「だが、おかげで助かった。救援連絡を受けてくれてありがとう。……いや、むしろ君たちで良かった。機神の空中要塞……そんなものと渡り合えるのは、君たちしかいなかっただろうからな……」

「リントヴルムがいてくれて良かったわ。ちゃんと破壊してきたから、褒賞金を弾んでくれると嬉しいわ」

 そこでリナベルはいい笑顔になった。

「むむ、そうだな、進言しておこう」

「やった」

 リナベルは小さくガッツポーズをしている。


「その他の報告はあるか?」

「あ、俺からちょっと……。機神の空中要塞、ルフトカイザーの中で、フェルドと会ったよ」

「何……!?」

 ジェラルド団長は目を見開いた。

「フェルドは……多分もう戻らない……。両腕が機神のような金属みたいになってて、機神の力に心酔してた……。フェルドは機神の側についたんだと思う」

 後ろでジェシカがひゅっと息をのむ音が聞こえた。

「何ということだ……」

 ジェラルド団長はショックを受けたようだ。

「あと……そのフェルドが言ってた。高エネルギー結晶体を集めて三巨頭を復活させてるって。もう少ししたら天のヴァルドファードが復活するらしい」

「ライト君、それ本当!?」

 リナベルが俺の肩を掴んだ。

 あ、そういえばリナベルとコーディにも言ってなかったな。

「フェルドが嫌がらせのように言ってたから……本当なんだと思う」

「そんな……」

 リナベルは力なく俺の肩から手を外した。

「……これは、機神の基地を探し出して、破壊した方がいいかもしれないな……」

 ジェラルド団長の呟きが聞こえた。


「ジェラルド団長、この“不滅の炎”を私に預けてくれない?」

 リナベルがどこか決意を宿した目で、ジェラルド団長を見ながら言った。

「どうするつもりだ?」

「ギガントゴーレムを動かすわ」

 ジェラルド団長とジェシカはびっくりしている。

「私が知ってるのは1体だけなんだけど、その“不滅の炎”があれば起動できると思う」

 ジェラルド団長は顎に手を当てて考えている。

「ううむ……俺の一存では無理だが、1日待ってほしい。会議で王たちを説得してこよう」

「わかったわ、お願いね」

 ジェラルド団長はうなずいた。


「他には……何かあるか?」

 俺は首を横に振った。

「私もコーディもないから、報告は以上ね」

「わかった、ありがとう。……そうだ、忘れるところだった。以前、君たちがクラウストルムで聞いた、機神に連れ去られたらしい冒険者の身元が判明した。……Sランクの“真紅の薔薇(クリムゾンローズ)”マリー・スプレンディアだそうだ。その後の行方は分からず、目撃情報も入っていないとのことだ。……まさかSランクがそんなことになるとは……」


 途中から言葉がまったく耳に入ってこなかった。

 頭に浮かんだのは、マキナプラントで見た魔法陣符(マジックカード)を持った紅い機神。

 嘘であってほしい。師匠……。

 俺はぼんやりと宙を見つめ続けていた。

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