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ある冒険者たちが世界を救うまで  作者: 如月つばさ


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120/122

第120話 ベヒモスのルーツ

 バハムートが発生させた球形の光は、すぐに俺の身体に吸い込まれていった。

「え……っと、いいのか?」

 困惑する俺にバハムートはうなずいた。

〝まだ大して役には立てないだろうが、君が草花などを芽吹かせたり、心を強く感じる瞬間に出会った時に、私に力が届くようにしておいた。力を蓄えることができたら、きっと君の力になれるだろう〟

 バハムートは俺を真っ直ぐに見た。

〝私にギンヌンガガプの力を届けられる君に……本当はこのままここに居て欲しいが……〟


〝そうはいかぬ〟

 突然声が聞こえたと思ったら、ベヒモスが現れた。

〝お前も知っての通りだが〟

〝ああ、そうだな。知っているよ、ベヒモス……私が捨てた執着心から生まれた精霊竜……。今はライトに執着しているのだな……〟

 ベヒモスとバハムートは見つめ合っている。


「ベヒモスは、元々バハムートの……!?」

〝その通りだ。……昔、私に仕えてくれていた、とある巫女に執着して、迷惑をかけてしまったことがあってな……〟

 ええっと……どう突っ込んでいいんだろ、これ……。

〝もう迷惑はかけないと決意して、執着心を切り離した。その頃の私は、かなりの力を持っていたから、切り離した心が精霊竜になってしまったという訳だ〟


 切り離した心から精霊竜が生まれた?そもそも心って切り離せるものなのか?

 まぁ、バハムートがでたらめを言ってる訳でもなさそうだし、現実としてベヒモスがいる訳だし……そのまま受け入れる、が正解か?

 でも、こんな所でベヒモスのルーツが分かるなんて……。精霊竜王から生まれたって、ちょっとびっくりだよな。


〝……ところでベヒモス、その翼はどうした?以前は無かったはずだが……〟

〝これはライトが与えてくれたのだ。……ライトが我を刃と成した時、精神世界にある深淵の扉が開き、我に力を与えてくれたのだ〟


「深淵の扉……」

 何故かリナベルが反応した。

「知ってるのか?」

 俺の問いかけに、リナベルはうなずいた。

「ほら、前にライト君が収納魔法(インベントリ)を使えるようにしてあげたじゃない?その時、ライト君の精神世界にアクセスさせてもらったんだけど、金色の竜がいて鍵穴まで案内してくれたのよ。その鍵穴がどうやら深淵の扉のものだったらしくて。 さらに深い精神世界に繋がってるって言ってたわ」

 リナベルの言葉にベヒモスがうなずいた。


〝我はずっとお前の深淵の扉を調べていた。……結果、お前はどうやらその扉の奥で原初の精霊竜と繋がっているようだ。扉は常に開いている訳ではないようだが……〟

「開くには条件がある……?」

〝恐らく我々が関係ありそうだが……扉が開くと膨大な量の力を原初の精霊竜より受け取れるようだ……先程のバハムートのように。……我はその力の動きを感じて、お前のもとに現れた訳だが……〟

 ベヒモスはバハムートを見た。


〝分かっている、ライトを引き止めたりはしない。ただ……届くか分からないが、少し我儘を言ってもいいだろうか?

 そう言ってバハムートは俺を再び引き寄せた。

〝……ギンヌンガガプ、今一度私に力を与えてはくれないか?〟


 ややあって、再び俺の背中から翼が生え、バハムートを包み込むと消えていった。

〝聞き届けてくれたようだ〟

 そう言って、バハムートは俺から身体を離した。

〝本当に随分楽になった……ありがとう〟

 バハムート……マジで結構ヤバかったんじゃないだろうか?

 存在を保つだけで精一杯ってとこまでいってたんじゃ……。


〝……我々から働きかければ、原初の精霊竜は応えてくれるのか……?〟

 その様子を見ていたベヒモスが呟いた。

〝この場所だからかもしれないが……、何を考えている?ベヒモス〟

 ベヒモスは意味ありげに俺を見たが、すぐにバハムートに視線を戻した。

〝我も我儘を言ってみようと思ったが……今はよそう〟

〝……そうか〟

 バハムートは短く答えると、空を見上げた。


〝そろそろ日が傾いてきたな。……ここには魔物はいない、今晩はここで過ごし、明日の朝発つといいだろう〟

「分かった、ありがとうバハムート。……わっ!」

 いきなりベヒモスが俺を咥えて背中に放り上げた。

 それを見たバハムートは苦笑いをしている。

〝今日は本当に助かった、ありがとうライト。また会うこともあるだろう、ではな〟

 バハムートは竜の姿になると、空気に溶けるように消えていった。

 俺はベヒモスの背からその様子を見上げていた。


 その晩、リナベルとコーディは携帯用コテージで休んだが、俺はベヒモスに離してもらえず、外でベヒモスの毛に埋もれて寝ることになったのだった。


 ベヒモスにどうしてそんなことをしたのか後で聞いたら、どうやら人型になれるバハムートに嫉妬していたらしかった。ハグしたり俺と同じことが出来るバハムートが羨ましかったみたいだ。

 バハムートの苦笑いは、それが分かってたからだったんだな。

 長い間存在していた筈なのに、意外と子どもみたいな所があるのに気付いて、ベヒモスのことをちょっとかわいいと思ってしまったのは内緒だ。 

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