第116話 精霊竜の探索へ
そして次の日の夕方。
村から少し離れている、最初に降ろしてもらった場所で待っていると、空からリントヴルムがやってきた。
着陸し、降りてきた人影を見て、俺は思わず駆け出していた。
「コーディ!」
子どものように飛びついた俺を、コーディは優しく受け止めてくれた。
「ライト、良かった、元気そうだね」
「コーディも」
「うん、お陰様で。……ライトが回復をかけてくれたから、生体部分の損傷が少なくて、早く治ったんだよ」
そしてコーディはリナベルを見た。
「あれ?リナベル、耳が……」
「うう、精霊竜の血を吸った私が悪かったのよ……興奮しすぎて全く集中できなくなっちゃって……」
コーディの視線の先には、耳が尖ったままのリナベルがいた。
「え?ええ!? ……どういうこと?精霊竜の血を吸ったって……?」
コーディは困惑している。
「ライト君、いいわよね?」
俺はうなずいた。
コーディにも知ってもらってた方がいい。
リナベルはコーディに俺が精霊竜となったことを話した。
「そんなことが……。確かに少し雰囲気が変わったかなって思ってたけど」
コーディは隣に立つ俺の顔を覗き込んできた。
「でも、ライトはライトだよね」
「当たり前だろ」
俺はにっと笑った。
コーディも笑みを返してくれた。
その後、一緒に家に戻ろうとすると、リナベルはちょっと行く所があると言いだした。
明日の朝、再びここで待ち合わせることにして、ふらりとどこかへ行ってしまった。
リントヴルムからご飯のおねだりがあり、魔力をあげた後、コーディと二人で家に戻ったのだった。
「……そういえば、島の外側が凄いことになっててびっくりしたよ。あれ、ライトがやったんだって?」
翌朝、リナベルとの待ち合わせ場所で、コーディが俺に尋ねてきた。
じいちゃんには数日出掛けるからと伝えてある。
「オイラも帰ってきた時、目を疑っちゃったよ。座標は合ってるのに景色が全然違ってたから」
リントヴルムも言葉を挟んできた。
「あはは……」
俺は半笑いだ。
「ご、ごめん……つい出来心で……。竜の宝玉の力を借りたらイメージ通りに出来るんじゃないかと思って……」
頭に乗っている竜の宝玉が、もぞっと動いた。
「あ、いや、責めてる訳じゃないんだ。あそこは母さん以外誰も住んでないし、母さんも心が安らぐって言ってたから問題ないよ。ただ……他の人の前では絶対にやらないでね」
「うん、リナベルにも釘を差されたよ。特にお貴族様の前では厳禁だって」
そうやってコーディやリントヴルムと話していると、空中からひらりとリナベルが下りてきた。“飛翔”で飛んできたらしい。
「お待たせ。それじゃ行きましょうか」
見ると、リナベルの耳はもう尖ってなかった。
「分かった」
俺とコーディはうなずいた。
今日、じいちゃんに教えてもらった精霊竜を探しに、原素神殿のさらに北にある高原に行くことにしていたのだ。
「コーディの動作確認も兼ねてるから、無理のないように行きましょ。それじゃリントヴルム、お願いね」
「了解ー!」
飛空機械のように姿を変えたリントヴルムに乗り込んで、俺たちは高原を目指し出発したのだった。




